春がやってきた
暮らしの中に植物を!
上写真:切り花は自由な発想で生けましょう。丈の高いガラスの花器なら、敢えてガラス越しに花が見えるように生けても楽しい。
日増しに暖かくなる日射しや、風に春の匂いを感じて、心が浮き立つ季節。移ろう日本の四季に寄り添いながら植物のある暮らしの楽しさを提案するフローリストの猪飼牧子さんに、この春、植物を暮らしに取り入れる方法を教えていただきました。
「植物を育てることに苦手意識を持つ方は、育てやすいハーブを中心とした草花で楽しんでみませんか?根のあるものだけではなく、切り花、ドライ、アロマなど楽しみ方を自由に広げて!」(猪飼さん)
(撮影:結城剛太/アレンジメント:猪飼牧子/取材・文:安藤菜穂子/構成:ボンマルシェ編集部)
Profile 教えてくださったのは……
猪飼 牧子 さん
フローリスト

いかい・まきこ フラワーアレンジメントやアロマセラピー、ハーブ、エディブルフラワー、蒸留などの植物教室「NERO LIDOL」主宰。オリジナルブレンドハーブティー、ドライフラワーやプリザーブドフラワーを使用したアクセサリーの制作販売、植物全般の空間トータルプロデュースなどを手がける。共著に『二十四節気 暦のレシピ』(日本文芸社刊)がある。 http://nerolidol-flower.com
気負わず、いつもそばに植物を感じていたい。
寄り添い方のお手本は"自然"にあり
猪飼牧子さんは、「季節の移ろいを五感で味わい、より深く楽しむには、植物と触れ合うことが最善の方法」だと言います。
とはいえ、植物を育てることが得意な人には"グリーン・サム(緑の指を持つ人)"の称号が与えられるほど、苦手意識をもつ人も多いもの。どうすれば無理なく植物を暮らしに取り入れられるの?
「わざわざどこかに出かけていかなくても、私たちは思っている以上にたくさんの植物に囲まれて暮らしています。野菜やハーブも植物。たとえば、菜の花は食用だけでなく、生けて花や葉を愛(め)でる楽しみも。じゃがいもや大根も季節が来れば花が咲く。植物を観賞用とか食用とかスパイス用とか決めているのは人間の都合で、植物たちは生きるために根をはり、芽を出し、花を咲かせます。人と同じく地球に生きる存在なのです」。そう聞くと、植物がより近しく愛(いと)しい存在に思えます。
「私は、植物を見るときに温度や湿度を強く感じます。暑くてぐったりしているか、寒さに凍えているか、パサパサしているか、しっとりしているかなどは、人間の体調と一緒です。みなさんも目でキャッチしているはず。人間も自然の一部なのですから、"お手本は自然"と思えば、ぐっと気楽にお世話できますよ」
植物を育てる苦手意識を払しょくするためにはまず、「観賞するのも食べるのも馴染(なじ)みやすいハーブを、1鉢から育ててみてはいかがでしょう。生命力が強くて、たくましく育つものが多く、香りを楽しんだり、料理に加えたりなど五感で楽しめます」。根付きのフレッシュハーブや生花に限らず、ハーブティー、精油も植物の力として暮らしに取り入れるのも猪飼さん流。 「植物のもつ力を上手にいただいて、春を楽しみましょう!」
Tasting
飲む・食べる
猪飼さん流Tip
ハーブティーの湯気でパワーチャージ
植物から精油と芳香蒸留水を抽出するには、植物を蒸して、香りのある湯気を採取し、それを徐々に冷やします。冷やされた湯気は、液体に戻りますが、その際に精油と芳香蒸留水に分離します。つまり、「ハーブティーから立つ湯気には、精油が含まれているということ。ポットから上がる湯気にもリフレッシュ効果があります。湯気を楽しんだあと、飲み頃になったハーブティーをどうぞ」。写真は、ネトル、エルダーフラワー、ホーリーバジル、アニスヒソップ、マロウなど。
猪飼さん流Tip
いつものお酢に爽やかな風味をプラス!
手軽にできるハーブビネガー。好みの酢に、ドライハーブなら酢の量の約5%、フレッシュハーブなら約15%を入れるだけ。約2週間浸し、ハーブを取り出せば完成です。写真は、ローズマリー、タイム、セージ、ミントなど。「ドライよりもフレッシュハーブのほうが見た目が美しいのですが、水分が多く腐敗しやすいので、早めに使い切って」
Arrangement
自由な発想で愛でる
猪飼さん流Tip
草花の変化を最後まで楽しもう!
水上げのために茎や枝を切り、丈が短くなった花は皿に生けて最後まで愛でて。茎や花の向きを自然に生かし、バランスよく。写真は、ラナンキュラス、コデマリ、菜の花、ブルーレースフラワー。
猪飼さん流Tip
茎の長い花を寝かせて生ける
茎の長いチューリップは、茎を優しくさすりながら器の側面に合わせて寝かせる。コデマリなど細くしなりやすい枝ものも同じように。水の深さは約2cm。「テーブルフラワーの背が高いと視界を遮り、向かいの席の人の顔が見えませんよね。浅い器に平たく生けると、花の"顔"もより身近に楽しめます」(猪飼さん)。写真はチューリップ・プリティーウーマンとコデマリ。
Drifting in the air
香りを遊ぶ
猪飼さん流Tip
余りがちな精油を消臭剤に生かす!
ガラス器に入れた重曹に精油をたらせば、ナチュラルな消臭剤に。さらに、お好きなドライハーブを入れれば、見た目もきれい。香りが薄くなったら、精油をプラスして。
猪飼さん流Tip
ハーブで箸置きやカトラリーレストを
フレッシュハーブを小さく束ねてリボンで結ぶ。テーブルに爽やかな香りが広がり、料理も一層おいしそうに見える。料理で使い残したハーブがよみがえるのもうれしい。
