Life Style
2019.10.17

「自分でもビックリするくらい、チャレンジ精神が溢れてくるんです」
石田ゆり子 さん(俳優・映画『マチネの終わりに』出演)

(撮影:天日恵美子/スタイリスト:藤井享子/ヘアメイク:岡野瑞恵/ 取材・文:宮本恵理子 )

11月1日(金)から公開する映画『マチネの終わりに』に出演する石田ゆり子さん。原作本に“恋”をして、どうしても小峰洋子を演じたかったと語る石田さんに10の質問。プライベートのお話も!

Q1 映画『マチネの終わりに』、どんな思いで演じた?

平野啓一郎さんの原作が大好きで、「もし映像化されるならぜひ演じたい」と願っていました。40代の最後に出会った作品に、「これが最後の出演作になってもいい」というくらいの強い気持ちで挑めたことは、本当に幸せなこと。

東京・パリ・ニューヨークを舞台に繰り広げられる、ギタリストとジャーナリストの大人の恋。その世界観の魅力に甘んじず、ちゃんと丁寧に演じなければと思いました。全編を通して流れるクラシックギターの音色にゆったりと身を委ね、旅するように映画の世界を味わっていただきたいです。

Q2 演じた小峰洋子はどんな女性?

知的であり、優しさを超えた清らかさと強さを兼ね備えた、精神の美しい女性。こんなに完璧な女性を演じるのは、ハードルが高くて、一つくらい欠点があればよかったのに、なんて(笑)。物語も劇的な事件が起きるわけでなく淡々とした日常の中で展開されるので、“素”の洋子を自然に演じることが課題でした。その意味で、長期のロケでパリに滞在して洋子の暮らしの風景を吸収できたことは、とてもよかったです。

Q3 流暢(りゅうちょう)なフランス語はいつ習得を?

脚本をいただいてからクランクアップまでの半年間、学びました。語学はいつか挑戦したいと思っていましたが、今回の役柄では付け焼き刃では太刀打ちできないと思い、基礎からしっかりと。少しずつ身につくのが嬉しくて、レッスンは今も続けています。

Q4 パリのロケも充実していたとか。

2週間超の滞在という贅沢(ぜいたく)な時間でした。欧米では労働時間の規制が厳しいので、より集中力が必要。撮影中、パリチームのスタッフの温かさに支えられて、思わずホロリとしそうになることも。言葉が通じない分、お互いを理解しようという姿勢が強くなって、かえって心が通じるような感覚がありました。動物とのコミュニケーションにも似ているかも、と思いました。

Q5 エイジレスな印象を保つ習慣は?

オススメは運動。ピラティスと筋トレの指導を週に2回受けています。10代の頃に水泳をやっていたので、自分に厳しいトレーニングを課すほうが心地よく日常を過ごせるのかも。特に背筋を鍛えると、顔もキュッと持ち上がる感じがしていいですよ。そして、栄養と睡眠ももちろん大切。この三つがちゃんとしていたら、何歳からでも体は絶対に変わります。

Q6 美を保つパワーフードは?

タンパク質、大事です! なぜなら筋肉や肌、髪をつくる材料になるから。髪のために亜鉛も積極的に。カキやお肉、豆乳などなど、できるだけ食材でおいしくとるようにしています。自分にとっての“食の基本ポジション”を決めておけば、食生活が乱れても戻れます。「諦めずに戻る」のが大切です。

Q7 ご自身の性格を一言で表すと?

いつまでも青二才(笑)。もう50歳なのに、自分でもビックリするくらい、チャレンジ精神が溢(あふ)れてくるんです。「ここで収まりたくない。もっと先まで行ってみたい」って。思い立った瞬間にいつでも走り出せるような若い肉体と精神に憧れます。ジムの先生に目標を聞かれた時も、「小学生に戻りたい」と言って驚かれました(笑)。今、中学3年生くらいの気持ちにはなれているかな?

Q8 好きな家事は料理派? 掃除派?

どちらかというと料理。ただ、なかなか上達はしないですね。体に良さそうな食材をたくさん買ってきて、冷蔵庫にしまう時の「あ〜、私、いかにも料理上手みたい」という充実感が好きです。

Q9 展覧会巡りも趣味だとか。

人の手を介して創られた美に触れるのが大好きで、疲れているときほど行きたくなりますね。一つ知ると、また知りたい世界が広がって、飽かずに楽しめます。

Q10 なりたい人間像は?

歳は誰でも平等にとるものだから、抗(あらが)う気はありません。くすまずに、よどまずに、透明な心を持ったおばあちゃんになりたいです。透明に近づくためには、深い慈愛と人の幸せを願う利他の精神がきっと必要。私はまだまだ未熟ですが、世の中の役に立てる存在になれたらうれしいです。

いしだ・ゆりこ
1969年生まれ、東京都出身。88年、ドラマ『海の群星』で女優デビュー。以後、ドラマ・映画・舞台・執筆活動など多岐にわたり活躍する。映画『北の零年』(05年)で第29回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。平野啓一郎の同名小説、福山雅治との初共演が話題の映画『マチネの終わりに』は11月1日公開。

インタビュー後記

「よどみのない、いつまでも透明な女性でありたい」と語ったその言葉どおりの、まさにその途上を歩く人。かといって壁をつくらず、ユーモアたっぷりの表現で自身を形容しては、周囲を笑わせる。時に少年のようにいたずらっぽく、時にアスリートのようにストイックに。