Life Style
2020.06.21

「体にいいものを食べていたら、幸せになれる」
岩城 紀子 さん(SmileCircle株式会社社長)

(撮影:久保田狐庵/文:宮本恵理子)

withコロナの今、「守るべきものを守り、未来に継ぐ」という信念で兵庫県芦屋市を拠点に“食の女神”としてエネルギッシュに全国各地を飛び回る岩城さん。行動の人、岩城さんに10の質問。

Q1 「とっておきのおいしいを、表舞台へ」をビジョンに、日本の食を支える事業を創業して13年。

一筋に「おいしくて、きちんと作られた食べ物を守りたい」という思いでした。添加物を研究する会社に勤めていましたが、安全な食品の作り手が失われつつある現状を知り、「早く行動しないと、間に合わない」と運命を授かったような気持ちで、会社を興しました。常時約20社ほどの商品開発やコンサルティング、百貨店や通販会社へのバイヤー業務を行うほか、芦屋と六本木に厳選した商品を集めたショップ&デリを展開しています。昔の商店街にあったような「この人が薦めるなら買いたい」という信頼関係に基づく食の流通を目指しています。

Q2 “食の目利き”となった原体験は?

「いいものを食べたら、幸せになれる」が口癖だった祖母に鍛えられました。「こっちとこっち、どっちがおいしい?」「今日の夕食で気づいたことは?」と毎日のように聞かれるうち、砂糖やお米の種類の違いにも気づけるようになり、誕生日プレゼントに包丁やまな板をもらって喜ぶような子どもでした。祖母が作る「柴漬けのおにぎり」は絶品で、いまだに私の同級生たちの間で思い出話にのぼるほどです。

Q3 全国をまわり、商品を発掘。一番大事にするポイントは?

まずは体が喜ぶか。そして、これを販売することで苦しむ人はいないか?という視点です。原材料や製造方法にこだわりがあって、未来につなげる価値があるもの。もちろん、思わず笑顔になるほど「おいしい!」ことは大前提です。

Q4 「やっていてよかった!」と思うのはどんな瞬間ですか?

真面目なメーカーさんが喜んでくれる時。ある方は大晦日に電話をかけてきて「あなたのおかげで無事に年を越せる。年を越す前に感謝を伝えたかった」とおっしゃってくださいました。誠実な生産者がしっかりと稼げて、次世代にも継げるようなサイクルが生まれることが、私の願いです。

Q5 健康を保つコツは?

やっぱり体が喜ぶ食習慣!試食三昧の生活ですが、添加物の摂取が少ないからか、健康診断の結果はいたって良好。社員も病気知らずの皆勤賞ばかりなんですよ。「酸っぱいものが食べたい」「生野菜が食べたい」といった体の声を素直に聞くようにしています。

Q6 コロナ禍の影響で「食の価値」に変化は?

「免疫力を高める食のパワー」に注目がより集まりましたね。また、飲食業界が揺らぐ中で「大切にしたいお店や生産者」への応援活動も見聞きしました。この危機によって再確認できた“守るべきもの”を、忘れないようにしたいですね。私にとって、食とは「愛」そのもの。例えば、「おかゆ」は、その昔、誰かが大切な人の病後を案じて作ったことが始まりだったはず。そんな食の原点を大事にしていきたいです。

Q7 ご自身の性格を一言で表すと?

回遊魚。動いていないとダメなんです。(笑)「根拠のない前向きさ」を備えていることも私の強み。

Q8 落ち込んだときの解消法は?

落ち込むことはあまりありません。日々困難には直面しますが、「乗り越えられない壁はない」と信じているので。料理は最高のリフレッシュ。家族や気心が知れた人たちと、おいしい料理を囲んで食べて笑えばスッキリします。毎朝の習慣にしているのは、神棚と仏壇に手を合わせて、気になっていることを口にすること。自分の中の優先順位がわかって、やるべきことが見えてくるんです。

Q9 今日は「父の日」。思い出を教えてください。

私の父は、突然「発明家になりたい」と言い出して商社マンから転身したような豪快な人でした。私が中学生の頃、すき焼きを囲んだ食卓で、食べたらダメと注意されていた牛脂をパクッと食べて「今日は父の日だから!」と笑っていた父。母は「もう!」と怒り、祖母はニコニコと微笑んで。食いしん坊だった父のDNAを、私も受け継いでいるようです。

Q10 10年後の自分と交わしたい約束を。

まず、経営者として社員を幸せにする義務があります。日本にある宝のような食品を守るために、仲間と共に闘って、食の業界、さらには日本の社会全体に石を投げ入れ、波紋を広げていけるように。健全な食を広げ、健康な人を増やし、医療費の削減や子どもたちの環境改善につながる活動を続けていきたい。今と変わらぬ決意を、将来の私とも交わしたいです。

岩城 紀子 さん
SmileCircle株式会社社長

いわき・のりこ 1972年兵庫県生まれ。ギャップジャパン、機能性食品開発のバイオベンチャーを経て、2008年にSmileCircle株式会社を設立。「素晴らしい食品をつくりながらも商売下手な」生産者に代わって販路拡大、商品開発を担う傍ら、14年に株式会社グランドフードホールを設立。兵庫県芦屋市と東京・六本木に店舗を展開。百貨店など約100社の販売先、全国各地の約2600社のメーカーと取引する。