Life Style
2021.01.20

「やると決めたら、うまくいくまで知恵を尽くします」
佐々木 かをり さん(イー・ウーマン代表)

撮影:撮影:宮本直孝/文:宮本恵理子

昨年のコロナ禍のさなか、国内外の大切な友人の悲報を受け取ったと語る。「いつこの世からいなくなるかわからない……。だからこそ、今日を全力で生きたい。ほんのわずかでも共に過ごせる時間を大切にしたい。感謝したい」と語る佐々木さんに10の質問。

Q1 女性起業家の先駆け。ターニングポイントは?

私が自分の会社を立ち上げたのは「起業」という言葉すらなかった1980年代。最初は通訳業から始めて、「働く女性」を基軸にさまざまな発信やコンサルティングをする会社、「イー・ウーマン」を2000年に立ち上げたことが大きな転機でした。着眼は早かったという自信がありますが、それゆえに経営はラクではなく……(苦笑)。この20年余りで日本の企業社会にもダイバーシティー推進が叫ばれるようになり、ずいぶんと風景は変わった実感があります。

コロナ禍でセミナーなどさまざまな事業をオンライン化する決断をした2020年は、第2の転機。25回目を迎えた「国際女性ビジネス会議」は、完全オンラインで10時間ノンストップで開催。国内外から1,100人が参加して大成功に終わったことに、「よくやった!」と自分で自分を褒めてあげたいです(笑)

Q2 「ダイバーシティー」とは?

とくに日本では、ダイバーシティー=女性活躍と思われがちですが、正しくは「多様性」。つまり、年齢や性別、育った環境、文化などさまざまな属性を持った人たちが集まって、よりよい答えを出せる関係性を意味します。女性活躍がその第一歩になることは間違いありませんが、女性の人数が増えればいいという問題ではない。私はよく「ダイバーシティーの本質は、日本古来の『三人寄れば文殊の知恵』の精神ですよ」と話しています。大事なのは、一人ひとりが自分を主語にして「私はこう思う。なぜなら……」と素直に思いを伝え合い、答えを探すプロセスを共有する姿勢。そんなコミュニケーションを醸成するきっかけになるような場づくりも、積極的に行ってきました。

Q3 時間管理を上達させるコツは?

私が得意とする時間管理の手帳術のそもそもの発端は、大学生の頃、全授業に出席し、なおかつアルバイトも休まないために編み出した方法です。大学の授業料は全額、自分で納めていましたから。

時間管理は「約束の管理」にあらず。私が提唱する手帳術は、「どう時間を使ったら自分の人生がハッピーになるか?」という視点で、土日も含めてすべての時間の過ごし方のシナリオを書くというもの。自分の機嫌がいい状態を維持すれば、仕事や家事の生産性はよくなり、思考も前向きになれます。

Q4 仕事と子育て、両立の極意は?

子どもたち2人はすでに成人しましたが、そもそも「両立させよう」と考えたことはありません。「両立」という言葉には、それが難しいものというニュアンスが含まれると思うから、「私にはできそうもない」と身構える人を増やしてしまうのでは? 私自身は、〝子育ては20年プロジェクト〟と長い目で捉えて、肩の力を抜くようにしていました。今日できなかった分は、明日カバーすればいい。できるだけ笑顔を見せて、愛情を伝えます。

Q5 リフレッシュ法は?

あまりオン&オフの区切りをしないほうかもしれませんが、あえて言うなら、夜寝る前に照明を暗くして、スイスのラジオ局から流れるジャズを聴いたり、お茶が好きなので、ハーブティーを楽しんだり。コロナ禍の前までは、ゴスペルも歌っていました。

Q6 自粛期間中の新習慣は?

留学時代の旧友とオンラインで再会を楽しんでいます。命の尊さを感じる日々だから余計に、たとえオンラインでも今日この瞬間を一緒に過ごせる人との時間を大切にしたいという思いが強くなりました。

Q7 これから挑戦したいことは?

独自に開発した〝ダイバーシティインデックス〟の普及です。企業のダイバーシティーを数値化で明らかにするのですが、単に数値目標の達成をチェックするのではなく、全従業員がテストを受けた結果を分析して、改善のための助言を私が社長に直接するもの。非常に高い効果が出ています。

Q8 ご自分の性格を一言で表すと?

超前向き。即断即決するタイプです。

Q9 好きな家事は料理派? 掃除派?

どちらかというと掃除。料理は材料を買う時間も必要になるので、今はなかなか……。「もう少し落ち着いたら、一緒に料理しようね」と息子と話しています。

Q10 10年後の自分への約束は?

人に囲まれ、笑いながら暮らしていきましょう。そして歳を重ねても、ハッピーでチャーミングで自立できる程度に稼ぎ続けられるおばあちゃんを目指しましょう。

佐々木 かをり さん
イー・ウーマン代表

ささき・かをり 神奈川県生まれ。上智大学外国語学部卒業。1987年に国際コミュニケーションのコンサルティング会社、ユニカルインターナショナルを設立。2000年には働く女性の声を発信するサイト「イー・ウーマン」(ewoman.jp)をオープン。“自分を予約する”をコンセプトにした手帳「アクションプランナー」の開発でも知られる。自身が総合プロデュースする「国際女性ビジネス会議」は次回2021年9月12日開催予定。