Life Style
2022.05.24

「リスナーの想像力を広げられる、“余白”のある“声の情報”でありたい」
秀島 史香 さん(ラジオパーソナリティー・ナレーター)

(撮影:天日恵美子/取材・文:宮本恵理子)

長く続くコロナ禍は、私たちの暮らしにさまざまな影響を及ぼしていますが、人と人のコミュニケーションの取り方もその一つです。「5月20日に発売した新刊には、緊張すると言葉が出ない、会話が続かない。そんな方々が無理なくすぐできる話し方がつまっています」と語る秀島史香さんに10の質問。

Q1 新刊『なぜか聴きたくなる人の話し方』に込めた思いは?

仕事柄、友人や知人から相談を受けることが多いのが「話し方」について。特にこの数年は気軽に人に会えない期間が続いたからこそ、「人と会って話すことの価値」を見つめ直した人が多いように感じていました。同時にコロナ禍でラジオがよく聴かれた反響から、「声で伝えることの魅力」を私自身も再認識できました。音声メディアの良さは、聴き手の想像力に委ねられる余白。例えば、波の音を流すときには「茅ヶ崎の東海岸から」などと詳細を伝えるより、あえて情報を“引き算”するほうが、リスナーそれぞれの記憶や感情にフィットするんです。

そんな発見も踏まえながら、「初対面の人と話すと緊張する」「誤解されない伝え方を身につけたい」といった、皆さんの日常会話の悩みに応えられるような本を目指しました。

Q2 感性を磨くためにどんなインプットを?

書店や図書館にはよく行きます。本は、自分の体内では作り出せない“心の栄養”。雑読であっても日常的に本を読んでおくことで、いつの間にか私の血肉となるものだと思っています。書店に行くだけで、「私の悩みの答えは、ここのどこかにきっとある」と安心できるんです。

Q3 これからチャレンジしたいことは?

仕事では、いろいろな地方を旅しながら地元の人をインタビューするような企画をやってみたいです。一般の方々にマイクを向けて。あまり緊張せずに話していただきやすいのも音声収録の魅力なんです。

プライベートでは、1年前から習い始めたチェロの練習を頑張りたいです。ずっと習いたかった楽器を始めるのが嬉(うれ)しくて、純粋に自分の趣味に浸れる贅沢(ぜいたく)を味わっています。

Q4 暮らしを心地よく楽しむ習慣は?

早起きして「ひとり時間」を楽しんでいます。5時半頃に起きて、お風呂掃除や床拭きをして部屋をスッキリ整えたら、近所を散歩。焼きたてのパンやコーヒーを買って朝ごはんに。夫や娘が起き出す前、体力もある朝のうちが心を満たす時間です。

Q5 長めの休みが取れたら何をしたい?

コロナ禍であらためて知った日本の地方の豊かさを味わう旅に出たいですね。特に四国や九州に興味があります。旅先で「道の駅」で買い物をするのも大好き。ご当地のスーパーを巡って、郷土総菜をリポートする番組なんて、やってみたいです。スポンサーの皆様、お待ちしております(笑)。

Q6 子育てを楽しむコツは?

子育ては、自分の力量が試される修業の連続。11歳の娘はマイペースで、思わず「キーッ!」となりそうなこともしばしば。私がイライラしても、娘はなんのその。「これは“どっちが面白がれるか対決”なのかも」と、最近は割り切って楽しんでいます(笑)。

Q7 自分の性格を一言で表すと?

ものすごく慎重派。子どもの頃から心配性で、「石橋をたたく」前に「石橋を補強しないと渡れない」タイプ(笑)。新しいことを始めるときには入念な準備や下調べがないと動き出せません。だからこそ、しっかり準備できたと思えたときには、チャレンジする勇気も湧くのかもしれないです。

Q8 バッグの中身の定番は?

のどあめとハンドクリーム。のどあめは自分のセルフケアのためでもあり、共演者の方がちょっとつらそうなときにサッと手渡す思いやりグッズとして。大阪のおばちゃんの“あめちゃん”みたいに、コミュニケーションのきっかけになる優れものです。手指の保湿も、原稿をスムーズにめくるために欠かせないケアです。

Q9 20歳の自分へのアドバイスは?

当時の私は大学生で、ラジオの道を志し始めた頃。オーディションを受けてはダメで落ち込むこともたくさんありました。「そのまま悩み続けて頑張れば大丈夫だよ」と言いたいです。やっぱり自分の未熟さを自覚して努力しないと、成長しないですからね。

Q10 10年後の自分への約束を。

もうちょっと自分をいたわってもいいんじゃない?と声をかけたいです(笑)。ベテランと言われる年代の人があまり根を詰めると、周りの人も疲れさせてしまうかなって。いい意味で力を抜いて、ゆとりを楽しめる大人になっていたいです。

秀島 史香 さん
ラジオパーソナリティー・ナレーター

ひでしま・ふみか 1975年神奈川県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。大学在学中にラジオDJデビュー。FMヨコハマ「SHONAN by the Sea」をはじめとするラジオ番組のほか、テレビ、映画、CM、アニメなどのナレーション、絵本の朗読、美術館の音声ガイドなどで幅広く活躍。最新刊『なぜか聴きたくなる人の話し方』(朝日新聞出版)が好評発売中。