
誰もが使う寝具の「つくる責任」「つかう責任」について考える
ヘア&メイクアップ:山下光理
国連がSDGs(持続可能な開発目標)の達成期限とする2030年まで、あと10年。SDGs研究の第一人者である慶應義塾大学大学院の蟹江憲史教授は、17の目標の中でも私たち生活者が始めやすいのは「目標12 つくる責任 つかう責任」だと言う。今回、その蟹江教授と、廃棄される花の再利用に取り組むフラワーアーティストの前田有紀さんの対談が実現。環境に配慮した寝具の素材で知られるマニフレックスのショールームを訪れ、つくる・つかう責任への向き合い方、そして廃棄問題が起こりやすい寝具の環境配慮について語り合った。
花一輪にも生産者のストーリーがある 使い終わった後までを考えたい
前田 有紀 さん
フラワーアーティスト/オリジナルブランド「gui」代表
まえだ・ゆき 10年間テレビ局に勤務した後、イギリス、東京で修業を積み、2018年花屋ブランド「gui」を設立。イベントやウェディングの装花や作品制作など、さまざまな空間での花のあり方を提案。
SDGsを見据えて開発した技術は 今の時代に選ばれる寝具になる
蟹江 憲史 さん
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科教授/同大学SFC研究所xSDG・ラボ代表
かにえ・のりちか 「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」に日本政府代表団顧問として参加後、数々の委員を歴任。SDGsの検討・推進メンバーとして国内外で活躍し、企業との共同研究や学生の指導にも力を入れている。
もののストーリーを知り持続可能性を考える
――SDGsの目標の中で、企業の「つくる責任」について、今どんな課題があげられますか。
蟹江 過剰生産によるフードロスや洋服ロスなどの問題が大きいですね。必要なところに行き渡らないのに、一方では大量に捨てられ、それによって経済が維持されている。また、海を汚染するプラスチックごみの削減も進んでいません。
前田 〝ロス〞といえば、私は自分のフラワーブランドを運営しているのですが、花は店頭に並ぶまでに年単位の時間と労力、輸送エネルギーも使っているのに、売れ残ると当たり前のように廃棄されています。そこに疑問を感じ、私たちの会社で販売するときには、産地など花の背景を知っていただく。そして売れ残った花は、近しい人に配ったり、ドライフラワーを使ったアクセサリーにしたり、再利用しています。
蟹江 いいですね。持続可能な事業に大切なのは、「ストーリー」です。ものがどういう風に作られ育てられてきたか、そのストーリーを消費者に伝えることで、価値を理解してもらえる。たやすく捨てられることもなくなります。使われなくなったものを利用するベンチャービジネスも期待されています。SDGsはそういう気づきを与えるツールでもあるんです。
前田 消費者としては「つかう責任」を考え、SDGsを掲げている企業の商品を選ぶ、という行動ができますね。
蟹江 そう、SDGsは世界のルールではありますが、強制ではないので、やるかやらないかは自由です。でも、だからこそ環境に留意している企業と、何も気をつけていない企業とではどんどん差がついてしまいます。
身近なものを買うときにも少し立ち止まって考える
前田 企業側の取り組みや経済構造というと、消費者からはちょっと遠い「人ごと」となりがちですが、私たちが身近でできることもあるんですよね。私の住む地域では、農家の人が直売している野菜や果物を買うときはむき出しの状態で渡されますし、魚屋さんでは新聞紙で包んでくれる。街全体でプラスチックバッグをなくす活動をしているので、買い物をしていて前向きな、明るい気持ちになれるんです。
蟹江 まず身の回りから見直して、毎日ペットボトルでお水を飲んでいたら、それを2日に1本にしてみるとか。また、何かを選ぶ基準として、安いけれどすぐダメになってしまうものと、高いけれどずっと使えるものを、10年のスパンで比べてみる。そうすると今高いもののほうが安くつくかもしれませんよ。
前田 ものを買うときに「忙しいから」「今だけ便利だから」「安いから」と、流されるとその視点が持てなくなってくるので、ちょっと立ち止まって、選んでみる。手入れしながらずっと使えるもの、ストーリーのあるものを持つことは、長い目で見ると快適な暮らしにつながるんですよね。
未来の常識となる技術に着眼し、実現する力を
――前田さんは、ずっとマニフレックスの枕を愛用されているそうですね。
前田 そうなんです。前職のとき、アナウンサーの仕事上寝る時間が不規則になってしまい、「質の良い睡眠を取りたい」と思って、アスリートの方々が愛用されているマニフレックスの枕を購入しました。使ってみると、肩の方までサポートしてくれて、快適にぐっすり眠れたんです。結婚後も持ってきて、今は息子と取り合いながら(笑)使っています。
蟹江 私も、今月に完成する新居に、マニフレックスのマットレスを入れたんです。実は若い頃の運動で腰を痛めたので、昔から寝心地にはこだわっていました。睡眠って大事ですよね。先日そのマットレスで試しに寝てみたら、すごく気持ちよくて、これなら家族にもいいなと。新居はSDGsの達成先取りを目指して建てた「SDGsハウス」なので、そこで使う寝具の素材にプラスチックを使っていないことは、重要な要素でもありました。
前田 私は、プラスチックや金属のスプリングを使わない、しかも処分のときに有毒ガスが出ないという環境への配慮をしている企業のものだと知らずに使っていたんです。1962年の創業以来の姿勢だったんですね。
蟹江 企業が何かをつくるときは、20年、30年後の世界で「良い」といわれるものにすることが重要です。SDGsの目標に沿った技術開発は、未来に必要とされる商品を生むことになるんです。そうした概念が普及していなかった50年以上前に、マットレスのスプリングが廃棄困難なことを認識し、プラスチックを使わずに済む技術を開発したマニフレックスには、先見の明があったんですね。世の中は、ちゃんと行動している企業が選ばれるような方向に向かっています。サステナブルな取り組みをしているということは、企業自体が持続可能、ということにもなるんです。
前田 感銘を受けました。「つくる責任 つかう責任」を常に考えることは、生き方に関わること。消費者として、そして経営者としても念頭においていこうと思います。
SDGsに貢献する、マニフレックスの3つのゼロ
1. プラスチックゼロ
2. スプリングゼロ
3. 有毒ガスゼロ
住まいの中の、大きな家具のひとつである寝具。そのマットレスについては、世界中で廃棄が問題になっています。芯材に使われるプラスチック、金属製のスプリングは分解が困難で、環境に配慮した捨て方をするにはかなりの労力を必要とします。また、それらを焼却すると、大気中に有毒ガスが放出されることもあります。プラスチックについては、海の生態系に悪影響を与えることが問題視されています。
マニフレックスは、芯材フォームに、水を基に生成したエリオセル®を使用し、製造過程にも、廃棄の際にも地球環境や人の健康を脅かしません。「眠り」という、健康に直結するものを扱う企業だからこそ、優れた品質を追求し、地球環境を守る持続可能な商品を提供しています。

