ベストシーズンに合わせて計画を― 憧れの絶景を求めてスイスを旅する
ツェルマットの村から望むマッターホルン ©Zermatt Tourism
アルプスの名峰や世界遺産の高架橋からの眺め、花で溢(あふ)れる中世の街。スイスへの旅は、ブログやSNSにアップしたくなる絶景の撮影ポイントが満載です。ベストシーズンは、明るい陽光がきらめき、緑が美しい6〜8月。さあ、今から準備を始めましょう!
(構成・文:安藤菜穂子)
Point 1 名峰マッターホルンをベストな角度から眺める
スネガ展望台にあるレストランのテラス。絶景を眺めながら、最高のティータイムを。 ©swiss-saiki
5大アルプスといわれるピッツベルニナ、ユングフラウ、ミシャベルアルプス、モンブラン、マッターホルン。なかでも霊峰として崇(あが)められてきたマッターホルンの切り立った山頂は、アルプス山脈を代表する絶景です。東壁と北壁が均等に美しく見える人気スポットが、麓(ふもと)の村ツェルマットから最も近いスネガ展望台。地下を走るケーブルカー「スネガ・エクスプレス」に乗って約3分で到着します。レストランの広々としたテラスでゆったりとお茶をいただきながら、その美しい姿を眺めることができます。思い出に残るベストショットがきっと撮れるはず。すぐそばのライ湖は、湖面が穏やかなときは“逆さマッターホルン”を映すことで有名。周辺は日光浴しながらリラックスする人々で賑(にぎ)わいます。さらに、ツェルマットは有数の日の出スポットでもあります。単独でそびえる山の頂上がまず光を受け、徐々にピラミッド型のシルエット全体が赤々と浮かび上がります。自然が私たちに見せてくれる、約15分の息を飲むショー。天候に恵まれることを祈りながら早起きを。
朝焼けに染まるマッターホルン。
Point 2 峡谷にそびえる石橋 アルブラ線からの眺め
高さ65mのラントヴァッサー橋は、石灰岩を積み上げて造られている。 ©Richard_Rebmann
100年以上の歴史を持つスイス最大の私鉄、レーティッシュ鉄道。そのうちのアルブラ線とベルニナ線は、スイスとイタリアが共有する「国境を越える世界遺産」に登録されています。これには、自然の景観を壊さずにアルプスの難所を切り開いた鉄道技術と、鉄道と共存する周辺の美しい景色、2つの要素が含まれています。この鉄道のハイライトは、なんといってもアルブラ線が通るラントヴァッサー橋。トンネルを出るといきなり広がる絶壁に立つ、高さ65mの美しいアーチを持つ石橋です。息を飲む絶景とともに驚嘆するのは、この橋の完成が1903年だということ。路線全体の建設はなんと1898年に始まり、当時の技術で55本の橋と39カ所のトンネル、数々のカーブを建設し、1904年にトゥージスとサンモリッツ間の全線が開通しているのです。最大の難所だったラントヴァッサー橋のほかには、約400mの高低差を調整する5つのループトンネルや、長さ5866mのアルブラトンネルなど、鉄道ファンならずとも、つい興奮してしまう見どころがいっぱい。ただ眺めるだけでなく、体験できる世界遺産として、一生の思い出に残ることでしょう。
トンネルを出るとすぐに橋が。カーブもシャッターチャンス。
Point 3 どこを見ても絵になる中世の街、ルツェルン
花が飾られたカペル橋。ロイス川には白鳥も。内部に歴史や伝統を描いた絵が。
街の中央にロイス川が流れるルツェルンは、チューリッヒから電車で約45分の場所に位置する人気の観光地。駅周辺は、駅舎がスペインの建築家サンティアゴ・カラトラバ、すぐそばにある文化会議センターがフランス人建築家ジャン・ヌーヴェルによる設計と、名現代建築が並びます。その様子と鮮やかなコントラストをなすのが、石畳の旧市街。見事なフレスコ画が描かれた建物や、彫像が付いた水飲み場など、童話の世界に紛れ込んだかのような街並みに心が躍ります。なかでもロイス川にかかるカペル橋が、絶好の撮影スポット。14世紀に建設されたヨーロッパ最古の木造橋です。途中に八角形の塔がある屋根付きの橋は可愛らしく、セルフィーにもぴったりなのですが、この塔は、牢獄や拷問所など、穏やかでない目的で使用されていたこともあるそう。城砦の一部として建設されたというのもうなずけます。とはいえ、両側にゼラニウムの花が掲げられた橋の入口は、なんとも魅力的。ルツェルンにはもう一つ、15世紀に建てられた屋根付きのシュプロイヤー橋も。どちらも橋の中に絵が掲げられているので、のんびりと鑑賞しながら渡りましょう。
ルツェルンの旧市街。カペル橋が新市街と旧市街を結ぶ。
Column
足をのばして訪ねたい美しい花の村「アヌシー」
アヌシー旧市街。花が飾られた 運河沿いの遊歩道も人気。
ドイツ、フランス、イタリア、オーストリアと国境を接するスイスは、旅の途中で隣国の街を訪ねられるのも魅力。その一つが、フランスのアヌシー。12世紀から17世紀に建てられた古い街並みが広がり、春から夏にかけては家々の軒先にあふれんばかりの花が飾られる、美しい街です。車の通行が禁止された石畳の道をそぞろ歩きし、活気あるマルシェを覗けば、中世にトリップしたような気分に。ヨーロッパ随一の透明度を誇るアヌシー湖の遊歩道も、絶好の散策路です。
illustration by Akira Sorimachi
