伝統芸能と海の旅を満喫― 飛鳥Ⅱ“文楽クルーズ”に乗ってみよう!
青い空と海に浮かぶ鮮やかな航跡、そして文楽。異色の取り合わせが楽しい!
日本が誇るクルーズ船「飛鳥Ⅱ」。ラグジュアリーな船旅と伝統芸能文楽の両方が楽しめるクルーズがあるのをご存知ですか?演者の方々と同じ船に乗って旅をする、まさに文楽三昧の2泊3日。作品上演のほか、トークショーや講演会も開催されるので、文楽ファンの初クルーズ、クルーズファンの初文楽、初クルーズ&初文楽、どんな方にも楽しい船旅が待っています。
(協力:人形浄瑠璃文楽座/写真:郵船クルーズ提供/文:安藤菜穂子)
文楽について聞きました

ばんどうあやこ
大阪市出身。新聞社文化部勤務を経て、フリーランスの演劇記者として活動。新聞、雑誌等に演劇に関する記事を執筆。伝統芸能の魅力を伝える講演も行う。片岡秀太郎著『上方のをんな 女方の歌舞伎譚』(アールズ出版)、片岡愛之助著『愛之助日和』(光文社)の編集を担当。
Point1 文楽って面白い!魅力と楽しみ方を解説
人形浄瑠璃文楽は、日本が世界に誇る伝統芸能のひとつ。敷居が高いと感じている人も多いのでは。文楽や歌舞伎など、伝統芸能を専門に執筆する坂東亜矢子さんに、魅力と楽しみ方を教えていただきます。
「文楽は、義太夫節を語る“太夫”と、“三味線”、そして3人で1体の人形を操る“人形遣い”とが力を合わせてひとつの物語を表現する、視覚と聴覚に訴えかける総合芸術です。太夫は、たった一人でストーリーや情景を描写し、さらに男女問わず子どもから老人まで登場人物のセリフを語り分けて、物語を牽引します。三味線は単なる伴奏ではなく、一音一音で心情や場面の雰囲気を表現。太夫とともに観客をゾクリとさせたり、泣かせたり、うっとりさせたりします。人形遣いは、首(かしら)と呼ばれる頭の部分と胴、右手を操る“主遣い”と、左手の“左遣い”、両足を動かす“足遣い”に分担されています。主遣いが出すサインなどによって、ほかの2人が息を合わせ、人形に命を与えます。人形で、人間ではあり得ないような動きをさせることもでき、驚くほど豊かな感情が表現されます」
飛鳥Ⅱ文楽クルーズで上演されるのは、『曾根崎心中 天神森の段』と『花競四季寿 万歳』です。この演目について教えてください。
「近松門左衛門の『曾根崎心中』は、文楽の代表的な演目のひとつです。とくに天神森の段は、近松作品の美文中の美文で心中の道行きが展開されるハイライトシーン。主人公の徳兵衛は、主遣いの二代目吉田玉男さんの師匠、初代吉田玉男さんの当たり役で、二代目も師匠譲りの品格ある演技にますます磨きがかかっています。『花競四季寿 万歳』は、新春を寿(ことほ)ぐ、おめでたい晴れやかな踊り。どちらも見やすく、入門編としてもうってつけの演目です。文楽は、伝統芸能ではありますが、江戸時代の庶民の娯楽。人のために尽くすような美しいドラマが主流です。江戸時代の人になった気分で、古き良き日本の美徳に触れ、自分の感性のおもむくままに、自由に物語の世界にタイムトリップしてください」
船内の舞台では、人形の動きや表情を間近に鑑賞することができる。写真/青木信二
Point2 船上で演者とともに過ごす
飛鳥Ⅱに乗船し、文楽の舞台と講演やトークショーなどを楽しむ文楽クルーズは、同船で人気の“テーマクルーズ”のひとつだ。ほかには、歌舞伎や大相撲、宝塚などの企画例もあったそう。文楽クルーズでは、太夫、三味線、人形遣いの演者さんと船上の2泊3日をともにします。中日に行われる文楽の上演は、船内のショーホールに設置した舞台で。通常の文楽公演よりも小振りで客席との距離が近いため、演者の熱を感じながら鑑賞できるのがポイント。人形の美しさや絢爛(けんらん)たる衣裳も間近に目にすることができます。トークショーや講演で文楽の知識がさらに深まり、新たな楽しみが見つけられそうです。もちろんクルージングならではのラグジュアリーな時間が過ごせるうえ、演者の方々がリラックスする姿もみられ、まるでご近所さんのような親近感を覚えることも。ひと味違うクルーズの旅へ、気軽に出かけてみませんか?
吹き抜けのラグジュアリーなラウンジ、アスカプラザ。
船上で鏡開きをすることも。中央が人形遣いの名跡・二代目吉田玉男さん。
グランドスパから水平線を眺めながら至福の時間を。
※写真は過去に実施したクルーズで撮影したものであり、 実際に乗船するゲスト・人形と異なる可能性がございます。
illustration by Akira Sorimachi
