今、旅したいのは、イタリア人も憧れる― 北イタリアの“湖水地方”と“山岳の町”
ヨーロッパ有数の景勝地 モンテチェルビーノ
フランス、スイス、オーストリア、スロベニアと国境を接する、イタリア北部の湖水地方と山岳地帯。行く先々で異なる表情を持つこの地域は、一口にイタリアとは言い切れない複雑で奥深い魅力に満ちています。歴史も古く、イタリア人も憧れるリゾート地です。
(取材・文:安藤菜穂子/写真協力:阪急交通社、アマナイメージズ)
教えてくださったのは

大平美智子さん(イタリア専門コーディネーター&ライター)
おおひらみちこ
武蔵野美術大学油絵科卒業後、グラフィックデザイナーを経て渡伊。美術、美食、ライフスタイルをテーマに雑誌、テレビなど多方面でイタリア全国を取材すること25年。
http://www.italmedia.co.jp
イタリアの、もう一つの魅力
イタリアと聞くと、ミラノやローマ、フィレンツェといった街の風景が思い浮かびますが、北イタリアの湖水地方とドロミテ街道は、まったくイメージが異なります。どれほど違うかといえば、当のイタリア人ですら“外国”と感じるほどの異国情緒。それゆえ、憧れのリゾート地でもあります。
緑の山々を湖面に映す、風光明媚(めいび)な湖水地方。ヨーロッパ特有の澄んだ紺碧の空を刻むようにそびえる山々が望めるドロミテ街道。ともに、エリアによって異なる、古くからの町並みや生活文化が今も残っているのが大きな特長です。その理由は、古代ローマ時代から、豊饒の地であるイタリア半島を征服するために多くの北方民族が押し寄せ、さまざまな文化圏の国々に支配されてきたから。そんな背景を持つ多種多様な文化と美しい風景が、各時代の為政者や文化人を魅了し、リゾート地としての歴史を積み重ねてきたのです。
湖水地方は一年を通して比較的温暖で、ヴィスコンティ家、ボッロメオ家などの豪族・貴族を輩出し、数々の文豪が滞在した場所。スタンダールの『パルムの僧院』やヘミングウェイの『武器よさらば』は湖水地方を舞台に描かれているので、読んでおくとさらに旅の醍醐味(だいごみ)が増しそうです。小さな湖が数多くあり、世界レベルのセレブの別荘も多数。遊覧船に乗ると、ドラマチックな景観とともに、超が付くほど優雅なお屋敷をダイジェストに眺められます。
北イタリアを代表する美しい湖 コモ湖 ©Stefano Politi Markovina/awl images/amanaimages
ドロミテ街道は、イタリア人にとっての夏の避暑地&冬のスキーリゾート。イタリア中部以北の富裕層の別荘地でもあるので、バカンスシーズンには優雅な社交場となります。とくに冬場は、家族で1〜2週間雪山に出掛けるという国民行事レベルの「Settimana Bianca(白い一週間)」の行き先として、人気No.1。点在する小さな村は、緑豊かな高原に、石と木を積み上げた素朴な家がポツリポツリと建つ、まさに“アルプスの少女ハイジ”の世界です。一方、可愛らしい車体で渓谷を行くチェントヴァッリ鉄道の車窓からは、太古の自然そのものの景色が楽しめます。
Prisma by Dukas Presseagentur GmbH / Alamy Stock Photo
雄大なアルプスの自然に抱かれるチェントヴァッリ鉄道
北イタリアは、もう一つのイタリア。ここでしか味わえないスペシャルな体験が待っています。
豊かな自然!憧れの村と町がここに
イタリア最大の湖、
ガルダ湖畔の「シルミオーネ」
湖畔に建つヴェローナの名門スカラ家の古城跡を中心とした、風情ある中世の街並み。可愛らしい店が建ち並び、散策が楽しめる。古代ローマ時代から温泉保養地でもある。
©KATSUHIRO YAMANASHI/SEBUN PHOTO/amanaimages
コモ湖畔の超セレブ村
「ベッラージョ」
コモ湖のほぼ中央に位置する半島にある村。ヨーロッパ王室や世界の富豪たちが贅を尽くして建てた別荘が湖畔に建ち並び、遊覧船から見学することができる。
©R. Ian Lloyd/Masterfile/amanaimages
イタリアを代表するリゾート地
「コルティナ・ダンペッツォ」
イタリアNo.1の優雅さを誇るエリアで、日本でいうと軽井沢のようなイメージ? 高級ブティックやお洒落な店が並び、ウィンドーショッピングだけでも楽しい!
©MASAMI GOTO/SEBUN PHOTO/amanaimages
ドロミテ街道の小さな村
「サンタ・マッダレーナ村」
緑豊かな高原がどこまでも続き、思わず深呼吸したくなるような空気がきれいで静かな村。住民たちがこつこつと修復して守り続けている、可愛らしい石積みの家が点在。
©KATSUHIRO YAMANASHI/SEBUN PHOTO/amanaimages
illustration by Akira Sorimachi
