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2019.06.11

目も舌もおいしい!
感動の南イタリアへ

シチリア島随一のラグジュアリーなリゾート地、タオルミーナ。歴史的な建造物の向こうに真っ青なイオニア海が。
©Hiroshi Murakami/a.collection/amanaimages

南イタリアは、ブーツ形にたとえられる国土のアキレス腱あたりから下と、つま先に位置する三角形のシチリア島を合わせた地域。イタリア在住20年を超え、シチリア料理についての著書もある南イタリア通の料理ジャーナリスト池田匡克さんに、その魅力を解説していただきます。

(取材・文:安藤菜穂子)

お話を伺ったのは

池田匡克 さん
いけだ・まさかつ

ジャーナリスト、写真家 1998年渡伊。イタリア食文化に関する著作多数。2017年シチリア州の料理イベントCous Cous Festで日本人初の審査員に。同年イタリアの食文化に貢献したジャーナリストに贈られる「レポーター・デル・グスト」受賞。

驚きの景色とおいしい料理。
光が降り注ぐ、陽気なイタリア

縦に長いイタリアは、北部、中部、南部に分かれます。ミラノやベネチアのある北部、ローマやフィレンツェのある中部、そしてナポリ、地中海最大の島シチリア島のある南部。気候や文化がそれぞれ異なり、個性が豊か。

フィレンツェにお住まいで、南イタリアの食に関する著書も多く出版されている池田匡克さんは「ひとことで言えば、北部や中部に比べて、町も、食材の色も、空気も、人も、とにかく濃厚です」といいます。陽気で情熱的な人々、トマトソースのパスタやピザなど、私たちがイメージする“イタリア”が詰まっているのが、南イタリア。

「かつてゲーテが『イタリア紀行』で表現したように、ほかの地域では見られない豊かな色彩があります。一度訪れたら忘れられないはず」と池田さん。

海岸線には紺碧の海。輝くオリーブの木の葉。夏はほとんど雨が降らず、気温は高いもののカラリと爽やかで、冬も北イタリアに比べると暖かく過ごしやすい地中海性気候。降り注ぐ明るい陽射しによって、すべてのものや景色が、くっきりと鮮やかに見えます。ゲーテに限らず、北ヨーロッパに住む人々の憧れの地といえるでしょう。

アルベロベッロ、マテーラ、シチリア島。
個性あふれる南イタリアの都市

それぞれが強烈な個性を持つ南イタリアの町や村のなかでも、プーリア州にあるアルベロベッロは、その名前と見た目のインパクトが最大級。オリーブで有名な農村地帯にある人口1万人ほどの小さな村ですが、トゥルッリと呼ばれる円錐形の屋根を持つ白い家が立ち並ぶ様子は、おとぎ話の世界さながらです。この屋根は強い陽射しを遮るだけでなく、傾斜によって雨を集めて床下の貯水槽に溜め、生活用水として使用するという機能も。1996年に世界遺産に登録されています。「旧市街を少し離れると、畑の中に点在する古いトゥルッリや廃墟となったものが見られ、雄大な時間の流れを感じることができます」と池田さん。チャンスがあれば足を延ばしたい!

バジリカータ州のマテーラは、斜面の岩肌を掘って造られたサッシと呼ばれる洞窟住居がグラヴィーナ渓谷を埋め尽くす景観が見事。1993年に世界遺産に登録され、今年はEUが指定する欧州文化首都に選定されています。

6つの世界遺産を擁するシチリア島は映画『グラン・ブルー』や『ニュー・シネマ・パラダイス』の舞台としてあまりにも有名。ヨーロッパ最大の活火山エトナ山もあります。新鮮な魚介と野菜を使った料理も魅力です。

洞窟住居群サッシが3000~4000軒も折り重なるように建てられているマテーラ。約7000年前から人類が住み着いたといわれる。©William Perugini/Westend61/amanaimages

南イタリアでコレを食べなきゃ!

アランチーニ

シチリアを代表するファストフード。「元はアラブ人がシチリアに持ち込んだ料理で、ライスコロッケによく似ていて日本人の口によく合います」。ナポリやローマでも。

ブッラータ

プーリア州アンドリア周辺で作られる生タイプの牛乳チーズ。「モッツァレッラで生クリームを包んだような濃厚な味わい。日持ちしないので、現地で食べるのが一番」。

インボルティーニ

インボルティーニはイタリア語で、巻く、包むという意味で、香味野菜やドライフルーツ、チーズ、サラミ、パン粉などをメカジキなどの魚や、肉で巻き、焼いたり煮たりするイタリアの家庭料理です。地方によってさまざまなものがあり、呼び名も変わることもあるのだそうです。

カンノーロ

筒状の揚げ菓子の中に甘いリコッタ・チーズを詰めたお菓子。「映画『ゴッドファーザー3』では殺人シーンの小道具に使われ、日本でも一躍有名になりました」。

illustration by Akira Sorimachi