板谷由夏の“今日から、もっと。アップデート”
金継師、黒田雪子さんに学ぶ
欠けた器に新たな“景色”を描く喜び
(撮影:ミズカイケイコ/構成:宮本恵理子)
様々な世界で挑む女性たちに会いたい。そんな衝動から、今号からリニューアルしたこの連載。最初に話を伺ったのは、割れた器を美しく繕う職人、“金継師”の黒田雪子さんです。グラフィックデザイナーだった黒田さんがこの世界に入ったきっかけは、「大切にしていた器が割れてしまい、その姿が可哀想に映ったこと」。塗料であり接着剤でもある漆に魅せられ、伝統工芸師の門戸を叩き、12年前に独立したのだそう。
私も器が大好き。少しずつ買い集めてきた器たちは、使い込むうちに割れや欠けがちらほらと。近所のママ友と金継ぎを習いにも行きました。
「今、愛猫が倒して割ってしまった壺を修理中です。ショッキングピンクのテープで仮留めしているのはご愛嬌(笑)」(板谷)
欠けた部分に土と漆を混ぜた素材を埋め、研いでラインを整え、黒漆を塗り、さらに研ぐのを繰り返す。金や銀の粉を蒔いて化粧し、磨いて仕上げる。丁寧な手仕事に惚れ惚れ。粉の色は、「器を使う方が日頃身につけるアクセサリーに合わせて選ぶこともあります」という黒田さんの言葉に、金継ぎも装いの一部になるのだと納得。別の器の欠片を合わせる“呼び継ぎ”、ホチキスのように針で留める“かすがい”、江戸時代に流行した乳白色の素材を使った“白玉継ぎ”という名称も味わい深くて……。
黒田さん(メイン写真左)が持参くださった金継ぎ作品。木片で呼び継した現代作家の黒釉皿と、同じく呼び継ぎして金で化粧した古唐津。※黒田さんへのオーダーは今年度内は終了。
世界的にブームになっているという金継ぎの魅力を淀みなく語ってくれながら、ふと「でもね、実は私、自分の器はあまり直してないんです。特に土物は傷も味のうちだと愛着が湧いちゃって。おかしいでしょ(笑)」と肩をすくめる黒田さん。「傷跡さえも“景色”に見立てて愛でる文化は日本独自のもの。直せるのだから、妥協せず好きな器を使ってほしい」とも。ああ、また私の中の器愛が暴れ出してきた!
@takarajimasha
いたや・ゆか
女優、ファッションブランド「SINME」のディレクターなど多彩に活躍。テレビ朝日系帯ドラマ劇場「やすらぎの刻〜道」に出演中。
