板谷由夏の“今日から、もっと。アップデート”
アーティストの菊池宏子さんと語る
街の変化に立ち会う“身近なアート”
(撮影:ミズカイケイコ)
「アート」というと、芸術家の作品のような“モノ”で、日常から少し距離がある存在というイメージを抱きがち。でも、アートってもっと身近にあって広い意味を持つものなのかもしれない。そう思える活動をしている女性に会えました。
NPO法人インビジブルのクリエイティブ・ディレクター、菊池宏子さん。「“目に見えないけれど、大切なもの”に目を向け、形にしていく過程で生まれるコミュニティ、共感や共鳴の連鎖」を作り出すアーティスト。アメリカで20年以上活動していた菊池さんは、39歳の時に起きた東日本大震災を機に日本に拠点を移したのだそう。
六本木に昔から暮らしている住民やゆかりのある方々と都市の未来について対話する「つむぐプロジェクト」や、被災した福島県双葉郡富岡町の学校に、さまざまなクリエイティブな分野で活躍する大人を“転校生”として呼ぶ「プロフェッショナル・イン・スクール」など、その活動はとってもユニーク! 「“教室を仕事場としながら子どもたちと学生生活をともにする”活動の初年度は、大工さんをお呼びしました。再開1年目の象徴として、地元の松の木を使い、子どもたちみんなが食卓を囲めるテーブルを制作しました。以後、働く姿を見ることで、子どもたちは道具を大切にし、掃除も進んでやるようになったようです」。大人の生き様を見せる“教えない教育”と言われているそう。素敵だなぁ。
富岡町の地元の松の木で作られたテーブル。子どもたちみんなで食卓を囲める。
印象的だったのは「生々しいものが好き」という言葉。思想だけに留まらず、たくさんの人と関わりながら変化に立ち会っていく行動派。“暗黙の了解”が得意な日本人はつい忘れがちな「見えないものの大切さ」をカタチにしてくれるのは、海外で長く暮らし、アートを営みとしてきた菊池さんならではの視点なんだろうな。
@takarajimasha
いたや・ゆか
女優、ファッションブランド「SINME」のディレクターなど多彩に活躍中。
