PROGRAM

2025年度 かんきょう新聞

出張授業

持続可能な社会の実現のために
~長く住み続けられる家の大切さを学ぼう~

旭化成ホームズ株式会社
授業の内容
  • ● 日本と欧米の住宅寿命
  • ● 家の建て替えが環境に与える影響
  • ● 長持ちする家に必要なことは?
  • ● 考えよう! 理想の家と街
講 師
河合慎一郎先生
旭化成ホームズ株式会社
LONGLIFE総合研究所 所長
河合慎一郎先生
断熱性能の異なる建築材に触れる子どもたち。「こっちは温かいよ」「こっちは全然熱を通さないね」
断熱性能の異なる建築材に触れる子どもたち。「こっちは温かいよ」「こっちは全然熱を通さないね」

家に対する考え方が住宅寿命に影響する

家が建てられてから取り壊されるまでの年数を考えたことはあるだろうか。国土交通省の資料によると、日本の場合は平均年数が38年と欧米よりも格段に短い。授業の冒頭、先生からこの事実が示されると教室には「そんなに短いの?」と驚きの声があがった。対してアメリカは55年、イギリスは68年だという。

欧米では、家は自分や家族だけでなく「みんなで住み継ぐもの」と考えられているが、日本では「自分たちが住むもの」と捉えて新築する文化が根強い。日本には「もったいない(MOTTAINAI)」という、物を大切にする価値観がある一方で、家に関しては必ずしも生かされてこなかったのだ。

これは地球環境にも大きな影響を与える。日本で家を1軒取り壊して新しく建てる場合、約3万5000㌔グラムものCO2が排出されるという。 「これは100人が1年間の生活で排出する量に相当します」と先生が説明すると、子どもたちは一斉に身を乗り出した。「そんなにたくさん?」「知らなかった!」という反応からも、住まいと環境問題が直結していることは、子どもたちにとって新鮮な学びだったようだ。

出所:第4回日本LCA学会研究発表会講演要旨集(2009年3月)、住宅金融支援機構資料、EICネットより算出

長く住み継ぐためには何をすればいいの?

では、家を長く使い続けるためには何が必要なのか。先生からは三つの視点が示された。一つ目は「よいものをつくる」ことだという。災害に強く、暑い夏でも寒い冬でも快適に過ごせる家は、住む人の命と健康を守る。先生は「耐震性に加えて、断熱性能がカギになります」と述べ、熱中症が屋外よりも家の中で多く発生しているというデータを紹介した。

「家の中なら安全だと思っていた」と驚く子どもたち。さらに先生からは、家の断熱性を高めることは、冷暖房に使うエネルギーを減らし、環境負荷の軽減にもつながると解説された。子どもたちは、先生が準備した断熱性能の異なる建築材に触れて違いを実感。「ほんとだ、熱を全然通さない」と目を丸くした。

二つ目は「手入れをして守る」ことだ。定期的な点検やメンテナンスをすれば、家は長持ちする。HEBEL HAUSでは家を長く使ってもらうために、顧客へ60年間の無料点検を実施しているという。そして三つ目が「古い家を生かす」こと。建て替えだけでなく、修繕やリフォームなどの選択肢を持つことが、持続可能な暮らしにつながるのである。

大切に使い続けることは「かっこいい」

授業の後半は、「理想の家や街」を考えるグループワークが行われた。子どもたちからは「地震の被害を受けにくい、空に浮く家」や「みんなでバーベキューができるような、広い屋上のある家」など、自由な発想による理想の家が発表された。イラストや間取り図など、多彩な表現方法も多く見られた。

締めくくりに先生が伝えたのは、「物を大切に使い続けることは、実はとてもかっこいい」というメッセージである。先生が以前おこなった授業の後に、「これまで姉のおさがりのTシャツを着るのが嫌だったけれど、先生の話を聞いて、物を大切にすることはとてもかっこいいことだと気が付いた」と感想を述べた子どもがいたという。家だけでなく身近な物を長く使うことも、地球環境を守る大きな一歩につながるのだ。

家をどう使い続けるかは家庭の価値観が色濃く表れるテーマである。授業後は、「今日聞いた話を家族に伝えたい」と話す子どももいた。家の話題から始まった学びから地球環境に思いをはせ、自分にできることを考えて実践する機会となった。

グループワークで理想の住まいを発表!
先生の問いかけに次々と手が挙がった
理想の家ってどんな家?
「空に浮く家」を先生に説明する子どもたち
自由な発想から続々と「理想の家」が発表された

出張授業を終えて

さいたま市立宮前小学校 (埼玉県/2025年12月8日)
さいたま市立宮前小学校の出張授業
白倉大輔教諭
白倉大輔教諭

本校では、探究的な学びの授業「STEAMS TIME」に取り組んでいます。今回のような外部の有識者による授業で、子どもたちが熱心にノートをとりグループワークに取り組む姿が印象的でした。今後も環境に対する学びを深め、日々の行動につなげてほしいです。

東浦町立森岡小学校 (愛知県/2025年12月16日)
東浦町立森岡小学校の出張授業
小山宏之教諭
小山宏之教諭

国語や社会などの授業で、環境について学んでいます。今回の授業で企業が実践する内容を知り、子どもたちの学びが深まったと感じます。データを具体的に示してくれるのがとても良いですね。「かんきょう新聞」づくりにも、この後取り組む予定です。

かんきょう1日学校

講 師
河合慎一郎先生
河合慎一郎先生
LONGLIFE総合研究所 所長
かんきょう1日学校:旭化成ホームズ株式会社の様子1
「LONGLIFEの実現」を掲げているHEBEL HAUS(旭化成ホームズ)。河合先生は、なぜ家を長く住み継ぐと環境に良いのか教えてくれました。

まず先生は「日本の住宅は平均で何年使われているでしょう」とクイズを出題しました。①約40年②約80年③約120年。多く手が挙がったのは②番です。しかし、正解は①約40年でした。これはアメリカの約55年、イギリスの約68年と比べても短い期間です。「日本ではみんなで住み継ぐ」という考え方ではないからではないかと先生は考察します。

近年は夏になると、家の中で熱中症になる人が多いそうです。防ぐ方法の一つは、家の断熱を高めることです。外の熱を中に伝えにくくし、その分室内は快適になり、電気代も節約できます。何より、木造住宅を壊して新たに建て替えると、温暖化の原因となるCO₂が約3万5千㎏も排出されるため、長く住めば環境問題にも貢献できます。

HEBEL HAUSでは、「よいものをつくる」「きちんと手入れをして守る」「ふるい家をいかす」の三つの取り組みで、長く住み続けられる家づくりを目指しています。災害に強い構造や、通常の壁より10倍断熱できる壁にした家を建て、建築後は60年間の無料点検を実施。さらに中古物件の循環も積極的に行っています。

先生は授業の終わりに、「みんなもできることから環境問題に取り組んでほしい」と話しました。

※コンクリートの壁との比較(旭化成ホームズ調べ)
HEBEL HAUSの取り組みの一つ「よいものをつくる」で紹介された高断熱の壁。外の気温を伝えにくい家は、猛暑時の熱中症リスクを減らし、快適な住空間を実現する。会場に設置されたHEBEL HAUSブースでは、実際に片面を温めた壁材を使い、反対側にどのくらい熱が伝わるのか触って確かめられるコーナーもあった。
  • かんきょう1日学校:旭化成ホームズ株式会社の様子2
  • かんきょう1日学校:旭化成ホームズ株式会社の様子3
  • かんきょう1日学校:旭化成ホームズ株式会社の様子4

豊かな地球環境と子どもたちの
未来を守るために

河合慎一郎さん
「LONGLIFE」を次世代へ
旭化成ホームズ株式会社 LONGLIFE総合研究所 所長

河合慎一郎さん

旭化成ホームズは、「いのち」「くらし」「人生」に寄り添う価値の提供を目指すビジョンとして、「LONGLIFE」を掲げて事業を展開しています。住む人、地域の人々の暮らしが良い状態で長続きするための家づくり。LONGLIFEは、サステナビリティーの実現そのものです。

しかし、こうした取り組みは一企業だけでは進められません。かんきょう1日学校は、子どもたちに住まいの考え方や環境に大切なことを学んでもらうことを目的に参加しています。それが次世代を担う人々に広がり、根付いていくことを願っています。

環境問題は、自分たちの視点を少し変えるだけでも、良い方向につながることがあります。例えば「出来そうなことから、やってみる」「今日学んだことを周りの人に話してみる」。それだけでも環境を大切にする輪が広がっていくのではないでしょうか。(談)

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