
ソバを育ててお菓子パーティー
おいしい感謝のクリスマス
2024.03.22
2023年12月25日。クリスマスのこども食堂は、パンケーキを焼く香ばしい香りがいっぱいになりました。ちょっと特別な、そば粉を使ったパンケーキです。私たちRe.colab KOBE(通称リコラボ)は、神戸市北区の耕作放棄地をリコラボファームと名づけ、農作物を育てる活動を行っています。関西学院大学の学生を中心に始まった活動も今年で3年目。夏に始まったソバ栽培の締めくくりは、子どもたちの楽しそうな笑顔でした。
パーティー開始!
そばクイズに元気いっぱい
この日、私(岸名優佳)が初めて降りた神戸市営地下鉄の「妙法寺駅」から静かな住宅街を進み、10分かからないくらいで、石畳のお庭と迫力のある大きな屋根の古民家が目に入りました。ここは「古民家コトノハ」さん。推定築200年の日本家屋を改装したカフェです。こども食堂を開いたり、周囲の竹林を再生・活用する活動を行ったりしています。
広い玄関で靴を脱いであがると囲炉裏があり、囲炉裏を囲むように畳に低い机が並んでいます。つながった広い部屋にもテーブル席がいくつかあります。高い天井や大きな柱から、建物自体の歴史が感じられます。
私たちがホワイトボードや看板のデコレーションをしていると、コトノハさんのこども食堂に来ている子どもたち20人ほどがぞくぞくと集まってきました。小学校低学年から中学年くらいの子どもたちです。たくさんおしゃべりする子、静かに周りを見回す子…。私が受付をしていると、隣に座り込んだ一人の女の子がリップクリームを取り出しました。「かわいい!似合ってるよ!」と声をかけると、にっこり。
みんなそろったところでパーティーを始めようとすると、まずみんなを集めて静かにするのが大変です。「○○です。××と呼んで下さい」と自己紹介するたびに、笑い声が響きます。司会のマイクを持って、子どもたちのノリがつかめずちょっと焦っている先輩と子どもたちとのやり取りをほほえましく見守りながら、パーティーが始まりました。
まずは、スライドを用いて、私たちリコラボの活動や、これからみんなで食べるそばについての説明をしました。だれも使わなくなった畑を復活させていることや、それが生きものを守ることにつながるということを伝え、ソバが育つまでの道のりを、私たちが撮った写真と併せて紹介しました。
時折、そばに関するクイズを交えました。
「ソバの実は、3枚の写真のうちどれでしょう?」「世界で一番そばを食べている国はどこの国でしょう?」
「1番だと思う人――?」と聞いていくと、みんな一生懸命考えて次々にピンと手を挙げてくれます。スライドを動かすパソコンの画面に答えを見つけてしまう、一枚上手の子もいましたが……笑。
今の子どもたちにとって環境問題は、学校でさんざん教えられて飽き飽きするようなテーマなのかな、と少し不安に思っていましたが、私の想像以上にみんなが楽しく話を聞いてくれたことがとてもうれしかったです。
この日をきっかけに、みんなが少しでも畑や自然に興味をもってくれたらいいな、10年後、私たちと同じように環境問題を伝える立場になってくれていたらうれしいなと思いました。
その後はビンゴ大会やお正月の手遊びなどで盛り上がりました。お昼ごはんは、こども食堂の皆さんが作ってくださったカレーラーメンをいただきました。みんな大好きなカレーとラーメンの組み合わせは、やっぱり間違いなかったです。野菜たっぷりのカレーラーメンを、子どもたちはおいしそうにかきこんでいました。
その頃には最初のぎこちなさは消えて、子どもたちとすっかり仲良しになっていました。
思い思いにトッピング
ここからは太田帆香がお届けします。お昼ご飯を食べ終え、今回のパーティーのメインであるそば粉パンケーキの時間になりました。子どもたちに声をかけると、「今ラーメン食べたばっかでおなか空いてないよ」と言いつつ、着々と準備されるそば粉ミックスに興味津々の様子。
子どもたちは温められた5台のホットプレートをそれぞれぐるっと囲み、順番を楽しそうに決めていました。重たいボウルをリコラボメンバーが支え、子どもたちがミックスを流す共同作業です。
きれいな丸いパンケーキを目指す子、大胆にミックスを流し独創的な形のパンケーキを作る子。クリスマスの古民家に、楽しそうな声が響きます。どんな形になっても子どもたちは楽しそうで、見ている私まで笑顔になりました。
パンケーキ作りの中でも特に大人気だったのが、トッピングを使ったデコレーションでした。生クリームやアイスクリーム、みかんやパインなどのフルーツ、カラースプレーやチョコソースなどをかけて、子どもたちは思い思いのパンケーキを作っていました。
おいしい!の声にうれしさ
さっそく、出来上がったパンケーキを食べている子に味を聞いてみました。「どう? そばの味する?」「おいしいよ!普通のパンケーキみたい」。1枚目をぺろりと食べきった子が次々と「次はチョコソースかける!」などと2枚目を作りに駆け出していきました。
みんながパンケーキを作ったり食べたりしているのを見ていると、一人の子が私に「お姉ちゃんは食べないの?」と話しかけてくれました。「さっきお昼ご飯食べたばかりだから、大丈夫だよ。○○ちゃんはもう一枚食べる?」と聞くとその子は首を横に振りました。「お姉ちゃんの分のパンケーキ、作ってあげる!」。
そう言って、私をホットプレートの前まで連れていってくれました。「一番きれいなパンケーキにするね!」
心の距離がぐっと近くなったように感じました。その子が作ってデコレーションしてくれたパンケーキは、私にとって今までで一番おいしいパンケーキでした。

