血液中のブドウ糖が適正範囲を超えて上昇した状態が慢性的に持続し、それに由来する様々な組織・臓器障害(合併症)が生じる一連の症候群です。と言われても、なんのことかよくわかりませんよね。高血糖になる原因も、合併症の出方も非常に多彩で、総合的に理解するためにはかなりの勉強が必要です。少しずつ勉強していって下さい。
糖尿病に関するQ&A
はじめに
糖尿病とは?
食べ物に含まれるブドウ糖は体内に取り込まれると、エネルギーとして利用されます。しかし、インスリンの作用が弱いとブドウ糖(血糖)を上手く利用できず、血糖値が高くなります。このような状態が続くと様々な合併症を発症します。糖尿病があると診断された人は、定期的に医療機関で受診してください。
日本糖尿病協会 : 糖尿病とは? - YouTube
糖尿病の合併症について
網膜症、神経障害、腎症、動脈硬化、歯周病があることを解説。
糖尿病の合併症|公益社団法人日本糖尿病協会 (nittokyo.or.jp)
Q&A
糖尿病全般について
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糖尿病ってどんなことですか。
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糖尿病がある方の人数について教えてください。
日本では糖尿病がある方や予備群は何万人ぐらいいるといわれているのでしょうか。
統計にはかなりばらつきがありますが、よく使われる数字で、糖尿がある方の数は、600万人(ちゃんと受診しているのは200万人)、その予備群1200万人~1500万人、と言われています。
ちなみに、公式な統計では、厚生労働省発表の平成11年の患者数が次のホームページに出ています。http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/kanja99/5.html
これによると、糖尿病がある方の総数は212万人、男性112万人、女性100万人となっていますが、これはあくまで受診数を元に割り出した数で、受診せずに放置している人を含めると、約3倍に増えると推測されています。 -
糖尿病にならないためにはどうしたらよいでしょうか。
糖尿病の発症自体を防ぐためには、どのようなことを心掛ければ良いのでしょうか?運動をして、食べ過ぎないようにするのが良いとは聞きますが、具体的にはどのようなものを多く食べれば良いのでしょうか?飲酒や喫煙は糖尿病発症の危険因子となるのでしょうか?
糖尿病の発症自体を防ぐことを、糖尿病の一次予防といいます。
「こうすれば絶対に一次予防できる」という必勝法則はありませんが、 日本糖尿病協会理事長清野裕先生が薦めておられる7ヶ条は下記です。
1、バランスのとれた食生活 (総エネルギーと脂肪の摂取量に注意)
2、夜食をしない、間食をしない
3、アルコールはほどほどに
4、適正な体重の維持
5、毎日の食後の歩行(30分位)
6、ストレスの解消
7、禁煙または節煙
食事に関して、「多く食べればよいもの」という考え方はあまりありません。摂取エネルギー(カロリー)がオーバーにならない、脂肪をとりすぎない、食物線維をしっかりとる、規則正しい食生活を守る、多くの品目をバランスよくとる、などが大切です。
糖尿病の合併症について
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1型と2型とでは、合併症の違いはありますか。
身内に糖尿病が原疾患の透析患者がいますが循環不良のため指が黒色化して最後には壊死し切断という例があると聞きました1型と2型とではこのような事に違いはありますか?また予防策としてどの様なことをすればよいのでしょうか。
1型と2型で合併症の質に大きな違いはありません。ただし、1型2型をとわず合併症の出易さや進展経過には個人差はかなりあります。また、1型の方が血糖マネジメントが難しくなりやすいため、合併症そのものの頻度はやはり多くなる傾向はあります。
合併症のリスクを減少させる方法としては、なによりも早期からしっかりとした血糖マネジメントを行うことです。また、高脂血症や高血圧などがあると動脈硬化などの血管障害が進みやすくなります。したがって、血糖マネジメントのみでなく、血清脂質(コレステロール、中性脂肪など)や血圧も適切にマネジメントすることが望まれます。最近は糖尿病がある方では血清脂質、血圧ともに、糖尿病がない方に比べて厳しい管理目標が設定されるようになってきています。
また、いつも手足を清潔に保ち、異常がないか毎日チェックすることも非常に大切なことです。とくに、糖尿病性神経障害が現れて足のしびれなどがある場合には、目で見て確かめる習慣をつける必要があります。 -
糖尿病と目の関係について教えてください。
糖尿の人は眼科にも行かないと駄目と言われました。糖尿から目にはどのような影響があるのですか?
まず、糖尿病の恐ろしい合併症の一つである、糖尿病性網膜症があげられます。糖尿病の治療をおろそかにしたまま放置すると、最悪の場合失明に至ります。
この糖尿病性網膜症は、現在の医学で確実な対処が可能な時期にはまず自覚症状が現れません。自分で大丈夫だと思っていても油断せずに、かならず眼科で検査を受ける必要があります。 -
腎機能が低下してきた時の食事の注意について教えてください。
私の父のことで伺います。30年来の糖尿病で、インスリン注射をはじめました。もともと腎臓が弱かったそうで、機能がかなり低下しているそうです。病院の先生には、いずれ(1年以内に)透析をしなくてはいけないといわれていますが、食事はどのようなものがよろしいのでしょうか。一応、カリウムに気をつけて、野菜をゆでたものを多く食べています。また、最近体力が落ちたなどと話していますが、腎臓の関係から運動は控えています。体力をつけるためにはどのようなことが効果的でしょうか?
このお話だと、恐らく、既に血清クレアチニンが上昇し、腎不全期にさしかかっているのだろうと想像しています。この時期になると、食事療法の主眼は、血糖値のマネジメントよりも、残った腎機能を保護することになります。そのためのポイントは、以下のようになります。
摂取エネルギー制限の緩和 蛋白制限の強化 塩分制限の強化 (血清カリウム値に応じて) カリウムの制限 (浮腫や心不全などの傾向に応じて) 水分の制限
しかし、具体的な内容は、個々の患者さんの病状によって違いますので、主治医によく相談なさって下さい。
食事以外の面では、体が疲れてしまうような運動は、かえってマイナスになる恐れがありますが、体調によっては軽い散歩などは大丈夫かも知れません。この時期になると、風邪をひいたりしただけで、腎症の悪化を早めてしまうことが少なくありませんから、体力を付けると言うよりも、ふだんからの体調の維持に気を付けて下さい。
糖尿病の検査・診断について
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体重増加、のどの渇きが気になります。病院で検査をうけるべきでしょうか。
毎年、春の健康診断では、すべて異常なしですが、3年前の一泊二日の人間ドックでは、「境界型糖尿病に近いので、気をつけるように」とのことでしたが、特に何もしておりません。最近、体重増加・ウエスト増加が気になりだしています。症状は、喉の渇き・お茶等の多飲・だるさが取れない等です。運動は、自転車通勤(片道約3km、15分)くらいで他は特にしていません。病院で検査をうけるべきかどうか迷っています。
通常の健診では、軽症の糖尿病は見逃されてしまう可能性が十分あります。3年前の人間ドックで「境界型糖尿病に近い」と指摘されたのは、恐らくもう少し詳しい検査で、糖尿病になりやすい体質が確認されたのだろうと思います。最近の喉の渇きなどの症状からも、是非近いうちに、糖尿病に関する精密検査を受けられた方が良いと思います。
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尿に甘いにおいがしますが、検査を受けた方がいいでしょうか。
私はお酒を飲む機会がとても多く、週に3から4日、昼間から夜まで飲みつづけている事も多々あります。ここの所体かだるく、小便に甘いにおいが感じられる様になりました。検査を受けた方が良いでしょうか?また、その場合どんな病院に行けば宜しいでしょうか?
「甘いにおい」が何からきているのか、ここではわかりかねますが、体調に不安を感じたときには、すぐに受診して、医師に相談されたほうがいいと思います。最初から専門医に拘る必要はありません。(何処が悪いのかもまだはっきりしませんから)まずは、安心して相談できる内科医を探して下さい。
もちろん、ご自分でも気付いておられるように、現在の飲酒習慣が好ましくないことは間違いありませんから、なんとか改善するよう心がけて下さい。 -
糖尿病で受診したいのですが、どこの病院・医院に行けばいいでしょうか。
人間ドックで糖尿病があると認定されました。高血圧もあります。どこか最寄の適切な医療機関がないか探しています。
日本糖尿病協会のホームページで、日糖協医師検索・日糖協歯科医師検索・各都道府県糖尿病協会・友の会の一覧を公開しております。この中の医療機関の質を保証するものではありませんし、この他にも優れた病院・医院は数多くあります。
ただ、糖尿病の友の会があるということは、少なくとも糖尿病に力をいれているスタッフがいると思います。よろしかったらご参考になさって下さい。
また、日本糖尿病学会のホームページには、糖尿病専門医を検索できるコーナーも公開されています。 -
専門医を受診したほうがよいでしょうか。
2年前に2型糖尿病と診断され、薬を飲んでいます。2週間に一度通院していますが、仕事の関係で今の病院に通えなくなり、新しく通う病院を探しています。近くの内科で良いのか、それとも、少し遠くても専門医のいる病院に通ったほうがいいのかアドバイスをお願いします。
糖尿病は、一生涯の長きにわたって付き合わざるを得ません。その治療のパートナーとなる主治医やかかりつけ医療機関を選ぶのは重要な問題です。
一般的に言えば専門医の方が望ましいでしょうが、専門医以外でもよく勉強して適切な治療を行っている医師も大勢おられます。また、糖尿病がその医師の得意分野かどうかは非常に大切ですが、それに加えて、十分な説明をしてくれる、人間的に信頼感を持てる、自分と馬が合う、なども見過ごせない要素だと思います。
近くに糖尿病を得意とする医師がいない場合には、近所にかかりつけ医をつくって、糖尿病専門医と連携してもらう方法もあります。毎月の投薬や検査はかかりつけで受けて、3ヶ月に一度くらいはその結果をもって専門医を受診して治療方針のアドバイスをもらうのです。 -
医師から入院を勧められましたが通院でも治療は可能でしょうか。できるだけ入院ではなく、
通院で治療を行いたいです。私の親戚の者が最近急激に痩せ、(実際には15kg)先月検査をしたところ糖尿病と診断されました。そのときの血糖値は400あり、即入院ということでしたが、1~2週間後に入院しました。その間自宅での食事療法と、低血糖の薬を飲んだところ300まで下げることができました。
入院してから2週間病院の食事では満足できず、しかも血糖値は思うように下がらなかったため、無理やりに退院してしまいました。膵臓に腫瘍の疑いもあるとも言われているので、その検査もあわせて、一刻も早く新しい病院へ通ってほしいのですが、どんな施設の病院へ行ったらいいかわかりません。できるだけ入院ではなく通院を勧めてくれる病院があればおしえていただきたいのですが・・・。血糖マネジメントが難しい状態の糖尿病がある方に治療を導入する際は、通常、あまり急激に血糖を下げることはしません。かえって体調不良を訴えたり隠れていた合併症が急激に進んだりする恐れがあるからです。
体重減少や口渇、多尿といった急性症状が落ち着く程度までは、急いで下げますが、あとは体調や合併症の程度を見ながら2~3ヶ月かけてゆっくり下げて行くことが多いです。入院して2週間で、満足出来るまで下がらなかった様ですが、ちょっと気が早すぎる様に思えます。
できるだけ入院したくないとのことですが、糖尿病で激しい体重減少を伴うようなケースでは、一歩間違うと糖尿病性昏睡に陥って命取りになりかねません。したがって、入院治療が原則です。それに、「腫瘍の疑い」まであるとなると、文字の上でいくらアドバイスしても、話が進みません。病院にかなり不審・不満をお持ちなのかも知れませんが、なによりもまず、ご本人が納得して話を聞ける病院を探して、ゆっくり相談なさって下さい。
糖尿病の治療について
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糖尿病で極端な食事療法をしている父が心配です。
数年前に糖尿病と診断され、悪化を防止するために極端な食事療法と運動療法を続けています。炭水化物は多めにとらなければならないと言って、ご飯を大盛り食べ、その他に野菜を大量に食べます。タンパク質の量などは自分で加減しているようですが、毎日大量の食事をとるので胃の調子が悪いと言っています。そして、時折我慢できなくなるのか、ナッツ類をたくさん食べたり、おいもをたくさん食べたりします。
糖尿病食の基本は高炭水化物・低脂肪食といわれますが、これは炭水化物をたくさんとりなさいという意味ではありません。一日の総摂取エネルギー(カロリー)を適正な値に制限して、その中で炭水化物の配分を多くして脂肪の配分を減らしましょう、という意味です。
胃をやられるほどの大食が好ましいとは思えません。ナッツやお芋を間食として食べるのでしたら、なおのこと、好ましくありません。 -
低血糖時の食事について
低血糖になった時またはなりそうな時に摂った、糖分や1単位程度の食事というのは1日の制限カロリーの中に含まれるのでしょうか。それとも別に考えてよいのでしょうか。
低血糖の時10~20gの砂糖かブドウ糖を勧めていますので0.5~1単位になります。低血糖はいわば非常事態ですので一日の指示エネルギー量と別に考えていいのではないでしょうか。
以前DITN(Diabetes in the news)でアメリカでは夜間の低血糖に対してびっくりするほど沢山食べるようアドバイスしている記事を読んだことがあります。低血糖はおこってから対処するより予防的に対応する方が少ない補食ですむと思います。 -
血糖マネジメントがうまくいかず、高血糖時の運動療法の対策について
ストレスと環境の変化とくに睡眠時間の極端な減少によって高血糖が4ヶ月位続いています。運動量も減ってしまって,悪循環です。不安ですが、このまま運動を適度にするのが,得策でしょうか?
具体的な血糖マネジメント状況などがわからないため、一般論しか言えません。
一般的には、血糖マネジメントが狂い出すと、高血糖がさらにインスリン分泌の低下やインスリン抵抗性を誘導し、体内の環境がさらに悪化し、血糖マネジメントもさらに悪くなるといった悪循環を招くことがあります。こうなってくると自己努力だけで悪循環を絶ちきることは困難です。一時的に薬物療法を強化する、入院などによって食事療法を徹底する、といった治療が必要になる事が多いです。
また、血糖マネジメントが極端に悪いときに運動をすると、かえって逆効果のこともあり得ます。とにかく、信頼できる専門家に納得いくまで相談することが大切です。 -
インスリンを一度打ったら一生続けるんですか。
一般的にはその様に思われている方が多いですが、実際にはいろいろな場合があり得ます。
1型糖尿病(インスリン依存状態)の場合には、インスリンによる治療が必須となりますから、一生やめることが出来ないと考えていいでしょう。2型糖尿病(インスリン非依存状態)でも血糖マネジメントの都合によって、インスリンを使用する場合がありますが、この場合には血糖マネジメントの改善と共に代謝機能が全般的に安定してきて、インスリン注射が不要となる場合も少なくありません。
大切なことは、次の2点だと思います。
1)インスリン注射を自己判断でやめることは非常に危険ですので、絶対にしないでください。
2)インスリンが必要な状態に体が陥っているのに、インスリン注射をしないことは、百害あって一利なしです。むしろ、経験的には早めにインスリンを使い始めた方が、体が元気を取り戻しやすく、またインスリンをやめられる可能性が高いように思います。 -
インスリン自己注射を続けていると体に弊害が出るのでしょうか。
母(56歳)が1年前から糖尿病の治療としてインスリン自己注射を行なっています。他の患者さんからの話で、長くインスリン注射を続けていると体に悪く、寿命が短くなってしまう途中で経口投与薬に切り替えて、いずれは食事療法のみにするべきだとの情報を得まして、大変不安になっています。インスリン注射を続けると身体に弊害が出るのでしょうか?
「長くインスリン注射を続けていると体に悪く、寿命が短くなってしまう」などと言うことは絶対にありません。間違った情報に惑わされないように注意してください。
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インスリンには副作用はありますか。
インスリンには副作用はないのでしょうか? もし副作用がないのだったら、すきなように食べるだけ食べてインスリンで血糖値を下げるという治療方針でよいような気がるのですが。
インスリンは正しく使うと非常に有益な治療法ですが、そのインスリンにも残念ながら副作用はあります。食事摂取などと、インスリンのバランスが悪いと、血糖値が下がりすぎる「低血糖」の危険があることはよく知られていますよね。それ以外に・・・
インスリンには血糖を下げる以外の副作用として体に脂肪を蓄積させて肥満を招く 脂質代謝に悪影響を及ぼす 動脈硬化を促進する恐れがある 血圧を上昇させる恐れがある など、様々な作用をもたらす可能性が指摘されています。
したがって、食事制限をきっちりせずに、インスリン注射だけに頼って血糖を下げると、どんどん肥満が進んで、動脈硬化を起こしやすい不健康な体質になっていく危険が大きいのです。しかし、この様な副作用は適正な食事摂取を守って、体にあった量のインスリンを注射している限り、まず問題にならないだろうと思われます。
だから、インスリン注射をする場合でも、絶対に食事療法をおろそかにしてはいけません。
コロナ禍で気をつけること
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最近外出を控えています。食事療法で注意すべきことは何ですか?
外来を受診した際に、「最近外出しないから、体重が増えて血糖値も上がってしまった・・・」と感じた方、いらっしゃいますでしょうか。
糖尿病の治療の基本はご存じの通り、①食事、②運動、③薬物です。②の運動については、外出を控えてなかなか実行できないときこそ、①食事療法の重要性が高まります。このような時に今一度、日常の食事を見直してみるのも良い取り組みですね。
最も簡単なのは、検温とともに体重を測ってみることではないでしょうか。外出しないとおそらく運動量はそれほど変わらないので、日々の体重変化は食事の影響が大きいはずです。徐々に体重が増えていくことがあれば、食事の量が多すぎないか振り返ってみましょう。
就労者でテレワークを行っている方は、生活リズムの乱れに注意が必要です。出社時間が決まっていなければ、朝遅く起きてしまうかもしれません。朝食の欠食や就寝前の夜食は血糖マネジメントを乱す可能性がありますので、やはり規則的な生活習慣と食事をとるタイミングを意識すること大事です。
また単身赴任などで普段は自身で調理せず、外食中心の方もいらっしゃると思います。食堂やレストランが休業しているとき、コンビニなどで食事を買うことが多いのではないでしょうか。テイクアウトは良くない、自炊しなければならない、などと杓子定規に考えるよりも、テイクアウトをうまく利用する、という発想の転換はいかがでしょうか。例えば、コンビニでの購入の際は、おにぎりやサンドイッチだけではなく、卵やチーズなどのたんぱく質と野菜サラダなどを加えることで、食後の血糖値がゆるやかになります。
この日本糖尿病協会のホームページでは、食事療法に関する動画を公開していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
動画:糖尿病がある方のための「食事を考える」
筆者:日本糖尿病協会 幹事/北海道大学大学院医学研究院 免疫・代謝内科学教室 中村昭伸 -
最近外出を控えています。運動療法の工夫について教えてください。
不要不急の外出が制限されるなか、これまでの様な運動治療が難しくなっている、という方も多いのではないかと思います。まずは、日常生活の中で体を動かす時間を増やすことを考えてみてはどうでしょうか。家の中で座って過ごしている時間を、意識して短くして、立っている時間や動いている時間を増やすことが、エネルギー消費を増やすことにつながります。
また、部屋の中でできる片足立位保持(バランス運動)や、腹筋や腕立て伏せ、椅子を使ったスクワットなど(レジスタンス運動)をすることも良さそうです。外出する際には、早足で歩いたり自転車を使ったり(有酸素運動)して、運動の時間をとるようにしてみるのはいかがでしょうか。
この日本糖尿病協会のホームページでは、自宅でできる運動療法の動画を公開していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
動画:みんなお家でエクササイズ‼
(出典)
1)日本糖尿病学会・日本老年医学会:高齢者糖尿病治療ガイド2018
2)日本糖尿病協会:「糖尿病ライフさかえ」2016年12月号p6-11 鈴木瑠璃子、染谷由希、田村好史「有酸素運動とレジスタンス運動」
3)日本糖尿病協会:「糖尿病ライフさかえ」2019年8月号p5-10 浅原哲子「体重をマネジメントするコツ」
筆者:日本糖尿病協会 幹事/弘前大学大学院医学研究科 内分泌代謝内科学講座 松橋有紀 -
生活サイクルが普段と違ってきました。血糖値で注意すべき点は?
「運動量が普段よりも少ない」、「間食の回数が増えてしまう」など、普段とは異なる生活が続くことで、気が付かないうちに高血糖状態に至る場合があります。新型コロナウイルス感染症の流行期を乗り切るまでは、今までとは違った生活になるのは仕方のないことかも知れません。このような時こそ、「体重」や「食事内容」、「運動量」などをこまめに記録することで、自分自身の生活を振り返る配慮が肝要です。
例えば、食事を写真で日記のように残したり、スマートフォンに記録される歩数を記録することで、手軽に生活を振り返ることができます。病院や診療所に通院されている方は、気付いた変化を医療スタッフに教えてあげてください。
より良い糖尿病との歩みを目指すとき、血糖値の日内変動(例えば、朝から昼にかけての変化)や日差変動(例えば、平日と休日の変化)を小さく抑えることが重要になりますね。生活サイクルが普段と違ってしまう場合には、往々にしてこの日内変動や日差変動が大きくなることが知られています。具体的な数字や内容を記録することが、良い糖尿病との歩みに立ち返るきっかけ創りになるのです。
さて、日本糖尿病協会では「自己管理のノート」や「糖尿病連携手帳」を編纂・発行しています。治療薬や血糖値の記録に限定せず、生活を記録するツールとしても活用できます。そうした取り組みが、皆さんの健やかな明日に繋がることを願っています。
(出典)
1)日本糖尿病学会:糖尿病診療ガイドライン2019(南江堂、2019年)
筆者:日本糖尿病協会 理事/川崎市立川崎病院 糖尿病内科 津村和大 -
「コロナ太り」はなぜ起きる?糖尿病との関係は?
世界的な新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、日本においては不要不急の外出自粛、海外では都市封鎖など、世界各地で様々な対策が取られています。それに伴い、私たちは生活様式を大きく変更せざるを得なくなりましたが、糖尿病がある方々にとってもそれは例外ではありません。
<都市封鎖下での生活・健康状況の変化についての報告>
1)インド:2型の糖尿病がある方の20%でフルーツの摂取が増加し、42%で運動時間が減少した
2)インド:糖尿病の家族歴のある人の40%で体重が増えていた
3)イタリア:地域住民の34.4%で食欲が増え、48.6%で体重増加を自覚した
このように、食習慣や身体活動の変化は糖尿病があってもなくても起こりうるものですが、糖尿病がある方の場合、生活様式の変化は血糖マネジメントが難しくなる要因となりうることがあり、一層の注意が必要になります。日本では比較的緩やかな外出自粛要請にとどまりましたが、それでも活動量が減った、おやつが増えた、体重が増えたなどの話をよく聞きます。糖尿病がある方のコロナ対策としては、やはり日頃の血糖値を安定させることにつきますので、おやつ、運動量、体重の管理について、もう一度見直してみる必要があるのかもしれません。
(出典)
1) Sci Total Environ 2020;728:138914.
2) Diabetes Metab Syndr Clin Res Rev 2020;14:949-5
3) J Transl Med [Internet] 2020;1-15.
筆者:日本糖尿病協会 幹事/関西電力病院 糖尿病・内分泌代謝センター 田中永昭