Beauty
2021.12.15

齋藤薫の美しい歳の重ね方
年末年始にクラシックを聴く意味を改めて考えた。
その時々の心持ちを音にするなら、こんな曲!

年末は第九、元日にウィンナ・ワルツを聴くのも、もはや年中行事。ベートーヴェン交響曲第9番合唱付きを年末に聴くのは日本だけの慣習だが、でも何だか理にかなっている。喜怒哀楽すべてが詰まった構成は、一年いろいろあったけど、でも最後は歓喜のうちに終わりたい、という年末の心持ちにぴったりなのだ。またウィーン・フィルのニューイヤーコンサートは90を超える国と地域で放送され、視聴者は4億とも5億ともされる。快活で華やいだ音楽が始まりの時と波長が合う証しだろう。

「モーツァルトを聴くと頭が良くなる」説には疑問の声もあるが、約400年前から聴き続けられている事実だけとっても、クラシック音楽に人を癒やしたり勇気づけたりする不思議な力があるのは疑いようがない。説得力があるのは、規則性の中に不規則性が程よく組み込まれる複雑な構成がα波によるリラックス効果を生むという説。また、好きな曲を繰り返し繰り返し聴くと、欲求が満たされる時に分泌されるドーパミンやオキシトシンが感動レベルをどんどん高めていくという説。これらは信じていいはず。感動の涙が出るのは何よりの証拠だ。

そうした観点から年末年始に聴きたい曲を考えてみた。年末は気持ちを追い立てつつも上げていく緻密(ちみつ)で濃厚な音楽が良く、苦悩もあるが高揚感があり、第2楽章では癒やしもある、美しくも劇的な構成のピアノ協奏曲を! ラフマニノフ2番・3番、グリーグ、リスト、 ベートーヴェン3番・5番、ショパン1番・2番、もちろんチャイコフスキー1番も良い。ソリストの超絶技巧は聴いている方の潜在能力も覚醒させそうだから、時間制限ありの大掃除、自らを鼓舞したいときにはじつに効果的だ。

年始はむしろ大地の目覚めや春の訪れを喜ぶような透明感ある音楽が良く、それこそヴィヴァルディ「四季」の春、モーツァルトのクラリネット協奏曲、チャイコフスキー弦楽セレナーデ。個人的には森の目覚めを感じるラヴェルの「ダフニスとクロエ」に浸りたい。ちなみにカウントダウンの直後、心静かに一年の始まりを迎えたい時には、ワーグナー「ローエングリン」の前奏曲。「ボレロ」などもこのタイミングで聴きたい曲。どちらにせよその時々の気持ちを再現してくれる曲を的確に選ぶと、心が浄化され、感動がエネルギーに変わるはず。試してみて欲しい。

本特集でご紹介している一部楽曲を収載した「ボンマルシェオリジナルプレイリスト」は、音楽配信サービス「Spotify」で視聴可能です!

齋藤 薫 さん
美容ジャーナリスト/エッセイスト

さいとう・かおる 女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。『“一生美人”力』ほか著書多数。Yahoo!ニュース「個人」でコラム執筆中。