Life Style
2022.10.27

Event Report リアルイベント 「ボンマルシェMovie&Talk~今日から、もっと。~」開催!
「大地の再生」に取り組む造園家で環境再生医、矢野智徳さんの活動を追った

ドキュメンタリー映画『杜人(もりびと)』上映!

造園家であり、植物や大地を治療する環境再生医の矢野智徳さんが、弱った大地を蘇(よみがえ)らせるために、全国を飛び回るさまに密着したドキュメンタリー映画『杜人 環境再生医 矢野智徳の挑戦』は全国45の劇場で公開。自主上映会も受け付け中。
詳細は→ https://lingkaranfilms.com/

10月17日の夕刻、東京・築地の朝日新聞本社「読者ホール」で、応募者から抽選で当選されたボンマルシェ読者をお招きして、久しぶりにリアルイベントを開催しました。第一部、第二部の二部構成で、実に3時間に及ぶイベントでしたが、会場は終始、熱気に満ちていました。
この日のメインは、第二部の、造園家で環境再生医の矢野智徳さんの、大地の再生の活動を3年半にわたって追ったドキュメンタリー映画『杜人』(制作・配給 リンカラン フィルムズ)の上映。
じつは、ボンマルシェ10月号の特集企画「「土」のこえ、聞こえていますか?」は、この映画との出会いから生まれたものでもあります。そして、上映後には、前田せつ子監督をお招きして、矢野智徳さんとの出会いや撮影秘話をお話しいただきました。

映画上映に先立つ第一部には、「デカボスコア」の生みの親として注目を集める、関根澄人さんがご登壇。「無理なく、楽しくSDGsに貢献しましょう!」との呼びかけに皆さん興味津々でした。(詳細は後半に)

ゲストの前田せつ子監督に聞きました

矢野智徳さんのドキュメンタリーを撮ろうと思ったきっかけは?

私が、東京・国立の市議会議員を務めていたときに桜の街路樹の伐採計画が浮上して、元国立市民である矢野さんに、桜を見にきていただいたのが、今に至る出会いのきっかけでした。お話を聞くうちに、"人間って、ろくでもないことばかりをやってきたけれど、まだできることはあるんだ"と、光が見えて。矢野さんの言葉や姿を全部伝えるには映像だと思い、知識も、経験も、プロ用のカメラもない中で、2018年5月、矢野さんの本拠地の山梨県上野原市をたずねました。「想(おも)いは技術に先行する」と信じてスタートした撮影の旅は、屋久島、福島、安曇野、気仙沼……と続き、3年半でのべ500時間の撮影をし、2年半かけて編集し、ようやく完成しました。

前田せつ子(まえだ・せつこ):ソニー・ミュージックで音楽雑誌、映画雑誌の編集をしたのち、1999年よりフリーランス。雑誌『Lingkaran』他で環境・料理系の記事の編集/執筆に携わる。2011年~2015年、国立市議会議員。『杜人』は初の映像作品。

「杜人」という言葉の意味は?

『この場所を 傷めず 穢(けが)さず 大事に使わせてください』と、人が森の神に誓って紐(ひも)を張った場が「杜」です。忘れ去られたこの言葉が、かつての記憶の小箱を開く鍵となることを願ってタイトルにしました。

矢野さんに初めて会ったときの印象は?

まるでナウシカのような人だなと思いました。植物や虫、大地、生きとし生けるものの声を代弁するかのような言葉は衝撃的でした。『虫たちは葉っぱを食べて空気の通りをよくしてくれている』『草は根こそぎ刈ると反発していっそう暴れる』『土砂崩れは大地の深呼吸。息を塞がれるから、それを取り戻そうとしている』。聞いているとこの世界への肯定感、信頼を取り戻せるというか、救われる気がしました。

矢野さんに密着する中で感じたことは?

野生動物のような人なので追いかけるのは大変でした。予測不能でスリリング、ボロボロに疲れる。でも、不思議にまたその嵐に巻き込まれたくなるんです。「生きていることの本質は不安定。だからこそ過不足を調整しようとして循環が生まれる」。現場でその言葉を聞いたとき、ハッとしました。私たち人間は安定を求め過ぎている。もっとリスクを背負って、他の生きものたちとスクラムを組んだほうが豊かに生きられる。いや、他の生きものと一緒でなければ、生きることなんてできない、と。

今、私たちは何から始めれば?

地面の表層5cmに穴をあけるだけで大地は呼吸しやすくなります。弱っている木があれば、周りに「点穴」をあけてやる。かつての人々がそうしたように、移植ゴテ一本、ノコ鎌一本でもっと自然と仲良くなれる。「大地の再生講座」(左面も参照を)の参加者さんは、泥だらけでイノシシのように土を掘り、汗だくで草を刈った後に「楽しかった」と満面の笑顔で帰っていかれます。きっと、私たちの遺伝子にはそういう記憶がまだ刻まれている。環境再生って、自分を再生すること。楽しいことなんだと思います。

(取材・文:小松宏子)

無理なく、楽しく! 「脱炭素」を進める
注目の"デカボスコア"をつくった関根澄人さんも登場!

「脱炭素って大きな問題に個人で何ができるの?」。その疑問に答えるために、僕たちは個人の自主的な行動で脱炭素社会を推進する共創プラットフォームとなるEarth hacks(アースハックス)を立ち上げ、デカボスコアという指標を作りました。デカボスコアはdecarbonization(脱炭素)の言葉をもとにしたCO2削減比を示す新しい指標です。

例えば新しいポリエステルから作ったリュックと、車の廃材を活用したリュック(下写真)では、製造過程で排出したCO2の量がどれくらい減っているのかという、削減量を「59%off」(下図)のように数値化したものです。普段の買い物で、デカボスコアのついた商品を選ぶことで、無理せずに、脱炭素社会の実現に向けて貢献できる仕組みです。扱っているサービス・製品は素敵なものばかりです。

リュック:Backpack(AIRPAQ)

関根 澄人 さん
Earth hacks プロジェクトマネージャー

せきね・すみひと 学生時代から環境問題に興味を持ち、その大切さを多くの人に伝えていくことを仕事にしたいと、博報堂に入社。現在三井物産に出向中。