Interview with Old Parr
Interview with Old Parr

能楽師大藏流狂言方 大藏基誠
Vol.03

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オールドパーと語ろう。

酒は人を饒舌(じょうぜつ)にする。それが、旨(うま)いウイスキーであるならなおのこと。
重なり合う言葉と言葉の間に、黄金の雫(しずく)と透明な氷が、カラカラと合の手を入れる。
今宵(こよい)、語るのは狂言界の革命児である。

能楽師大藏流狂言方 大藏基誠

AERA STYLE MAGAZINEエグゼクティブエディター 山本晃弘

Interview

一瞬一瞬を見逃すな。
父と祖父は、そう教えてくれた

山本大藏さんは、「狂言は見て盗んで覚えるものだ」とおっしゃっていましたね

大藏稽古とレッスンは違うと思っています。狂言では、稽古してきたことを先生に見てもらう。先生が、手取り足取り教えてくれるわけじゃない。

山本おじいさまやお父さまの教え方も、そういった感じでしたか?

大藏祖父の教え方は、よく見とけよと一回舞って、はいやってみろと。その一瞬を逃すと怒られる。何を見ていたんだ、と。一瞬一瞬を大事にするのが稽古。

山本演じ方を教えているっていうよりも、一瞬一瞬を大事にしなさいよ、集中しなさいよ、と伝えようとされているように思えます。お父さまの教えはどうでしたか?

大藏父は、また違った厳しさがあった。自分で稽古をしないと教えてもらえなかった。ある意味、試されている感じですね。ちゃんと聞くことに対しては答えてくれたし、ただ自分から進んで聞いていかないと、教えてくれませんでした。

山本基誠さんが息子さんの康誠(やすなり)くんに対するときは、どちらのタイプですか?

大藏父のやり方のほうに似ていると思います。

山本「KYOGEN LOUNGE」で舞台に遊びを入れるときに、自分のなかで、これ以上やったら遊びすぎだな、というところはあるんですか? 自分のなかでの自主規制みたいなもの。

大藏ありますね。たとえば、お酒を飲みながら狂言を見るのはだめで、真剣に見るものなんです。「KYOGEN LOUNGE」でも、演目の前後にだけお酒を楽しめます。

山本それが面白いですよね。なんでもいいよ、好きに自由にやってというよりは、決まりがあって、そのうえでどこまで楽しめるか。

大藏決まりがないなかで遊んでいるのは、面白くない。ある程度、ルールがあるから面白いんじゃないかなって。そうでないと、とんでもないことになってしまいますからね。

山本その意味では、何百年にもわたる伝統とルールを背負って、遊び心を持って面白いことをやっている。

大藏遊び心って、すごく好きですね。例えば、デートで「KYOGEN LOUNGE」を見に行く。そのときに、おしゃれをして行くと楽しいとか。

山本「KYOGEN LOUNGE」の演目が終わったあとに、舞台に大藏さんが出てこられて、狂言の解説するのが面白かったです。お客さまの質問に、演者同士でやり取りをしながら答える。あれはアドリブですか? すごく間がよくて、これも含めてすべて演目かと思ってしまいました。狂言方の演者って、普段からそうなんですか?

大藏そうじゃないですかね。楽屋でも、狂言の言葉で遊びはじめたりすることもあります。

山本基誠さんのお父さまである彌右衛門(やうえもん)さんが、酔っ払いが歩いていると、「基誠、見ておけ。あれが千鳥足だから」と狂言に結びつけて教えてくれたと聞きました。

大藏そうですね。僕も人を見るのが好きで、狂言の演じ方を考えたりしますね。

山本どんなときにも、狂言が体に染みついているという感じですかね。

大藏狂言方の大藏家は、将軍様たちに抱えられていた家なんです。例えば、いきなり豊臣秀吉さんから今日あの演目が見たいって言われたときに、すみません、準備していないのでそれはできないんですと言ったら切腹。そういう時代もあったそうですから。

山本いま男たちが、それほど真剣に仕事をしているだろうかと、思ってしまいます。

大藏狂言をご覧いただくと、舞台の後ろに紋付を着た人が控えているのを不思議に思われるでしょう。それは、誰かが何かあったときに代役ができるようにと。何があっても、地震があろうが、事故が起ころうが、絶対に舞台を止めないのがルールなんです。

山本まさに、SHOW MUST GO ONですね。

一張一弛を大切に。
それが自分のスタイル

山本大藏さんにとって、狂言とはなんですか?

大藏自分の人生ですね。自分の命と同じです。

山本真っすぐなお答えです。では、オールドパーって、大藏さんにとってなんですか?

大藏意識しているのは、「一張一弛(いっちょういっし)」という言葉。弓を張るだけでなく、緩めるのも大事だよと。舞台も稽古もあって、張り詰めているのが日常。だからこそ、意識的に緩めないといけない。その緩めるときには、オールドパーを飲みながら緩めるんです。

山本夜にお酒と向き合って、ゆるめながらも、次に張り詰める準備をしているんですね。

大藏オールドパーは、ひとりのときも、仲間たちとも飲みたいお酒。歴史のいろいろな人たちが、これを飲みながら会話していたのを思うと、やっぱり僕も向き合いたくなりますね。

山本家でも飲むんですか?お酒は、夫婦円満の秘訣にもなりますよね。

大藏同感!先週は妻と久々にゆっくりと話しましたよ、オールドパーを傾けながら。

After Interview取材を終えて

狂言とはなんぞや? そんな大きなお題を持ってインタビューに臨んだ私だったが、大藏基誠さんの優しい語り口にすっかり引き込まれた。基誠さんからさかのぼること、約700年。「流祖の玄恵法印は、戦の続く武士の時代に、人格の養成と人としての生きる道を説くために狂言を創始した」というのだ。言い換えれば、人生を楽しむための知恵。そこには、いまを生きるビジネスパーソンにも学べる、いや、楽しめる何かが詰まっている。
オールドパーを飲みながら、インタビューはどこまでも続いた。大藏基誠さんから感じられる余裕、話を進めていくときの楽しい間合い。それは、まるで狂言の舞台を見ているように感じられた。狂言界の革命児。彼が挑んでいる新しい取り組みは、本物だけが持っている懐の深さなのかもしれない。
王道だけど、ユーモアがある。古いけれど、新しさもある。思えば、オールドパーも同じだろう。150歳を越えるまで生きた、ウエストミンスター寺院に眠るというトーマス・パー爺(じい)さんの名を由来に持つお酒。いまもボトルのラベルには、パー爺さんの肖像画が描かれている。この酒を飲むたびに、それを見て、クスリと笑って楽しくなる。
大藏さんは、その時間が愛(いと)おしくて、毎夜オールドパーと向き合っている。

取材を終えて

Profile

  • Motonari Okura

    Motonari Okura

    1979年、東京生まれ。狂言方の2大流派のひとつ「大藏流」宗家25世大藏彌右衛門の次男。700年余続く伝統を重んじながら、狂言とパーティーを融合させた「KYOGEN LOUNGE」を企画するなど、柔軟な姿勢で普及活動を展開。さまざまなジャンルとのコラボレーションで、伝統文化の新境地を開拓している。親子初共演の映画「よあけの焚き火」も絶賛公開中。

  • Teruhiro Yamamoto

    Teruhiro Yamamoto

    1963年、岡山生まれ。「AERA STYLE MAGAZINE」のエグゼクティブエディター兼WEB編集長。「MEN’S CLUB」や「GQ JAPAN」などを手掛けたのち、2008年に編集長として「AERA STYLE MAGAZINE」(朝日新聞出版)を創刊。ビジネスパーソンのリアルな声に応えるコンテンツを作りつづけている。

時代を超えて愛され続ける
スコッチウイスキー、オールドパー

152歳9ヶ月の長寿を全うしたという伝説の人物トーマス・パー。彼の叡智になぞらえて名づけられたスコッチウイスキー「オールドパー」は、20世紀初頭の最先端技術と文化教養を象徴するブランドとして渡来。日本の近代化に邁進する偉人たちの社交の場から現代に至るまで100年以上、変わらぬ味わいと風格で愛され続けています。また、斜めに立つことができるユニークなボトルは、「決して倒れない」「右肩上がり」と、縁起が良いと親しまれています。

オールドパー 12年

調和のとれた柔らかな味わいが魅力。奥行きのある香りと長い余韻は、和食とも好相性。時代を超えて日本人に愛され続けている スコッチウイスキーです。ブラッドオレンジや金柑のすっきりした甘さと、ほのかな蜂蜜の香り。柔らかな舌触りの先に、暖かみのある余韻が続きます。ストレートやロックの他に、ウイスキー1:水2の水割りや、ウイスキー1:ソーダ2~3のハイボールスタイルがおすすめです。

オールドパー ウェブサイト

Photograph/Kentaro Kase,Tetsuya Niikura(SIGNO)
Styling/Akihiro Mizumoto
Interview & Text/Teruhiro Yamamoto (YAMAMOTO COMPANY)
Edit/Ai Yoshida(AERA STYLE MAGAZINE)
Web design/Yuki Umemoto(ADLAY)

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