新聞記事を活用した
SDGs授業デザイン
日本NIE学会理事 有馬 進一氏
ワークショップは、当日の朝日新聞朝刊を全員に配ることから始まりました。「SDGsという新しい物差しで新聞を読み、考えてみましょう」と有馬さん。まず、SDGsの17ある目標から、自身が興味がある目標に関連する記事を紙面から探し、手元の新聞に付箋とコメントを付けていきます。
次は手元の新聞に貼った付箋を剥がし、会議室の壁面に貼られた新聞に貼り付けて参加者全員で共有。すると、同じ記事でもSDGsの異なる目標の付箋が貼られていたり、付箋が集中する記事やそうでない事があることに気付きます。有馬さんは、この付箋を見ながら、なぜこの記事を選んだのか参加者に質問。「このように新聞を詳細に読み解き、思考を言語化し、対話を通して考えることが学習になります」
ワークショップの後半は、これまでの付箋を貼った学習をどう発展させられるかをグループで検討。そのアイデアを模造紙に書き、発表しました。参加者からは「実際の日本のSDGsの達成度が高い項目が、記事になっているかを比較する」「1つのテーマを選び、日ごとに追いかけて変化を見る」「SDGsの18番目の目標を考える」などの意見が出ました。
有馬さんは新聞記事を活用する利点として、「①情報を多面的に読み解くことで読解力が鍛えられる。②新しい物差しで読むと社会課題が見えてくる。③自分と社会の接点を発見し行動する手がかりを得られる」とまとめました。


ありま・しんいち/米国、韓国、北欧のNIE事情を視察。 日韓交流NIEシンポジウムや日米NIEセミナーなどでパネリストを務める。2005年から6年間、横浜国立大学で「新聞と教育」講師。SDGs出前授業や防災教育の講師としても活動。 共著に『はじめて学ぶ学校教育と新聞活用』(ミネルヴァ書房)、『新聞で育む、つなぐ』(東洋館出版社)などがある。
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