相続登記の期限は決まっていない
相続税の申告期限は相続が発生してから10ヶ月以内と決まっていますが、相続登記の期限は決まっていません。相続登記をするかしないかは相続人に任されているため、何十年とそのままにしておいたとしても、ペナルティーが課されることはありません。しかし、最近になって所有者不明の土地が全国的に増えていることが問題になり、相続登記の義務化について議論されるようになってきました。将来的には相続登記が義務付けられるようになると考えられています。相続登記が義務化になっていない今でも、相続登記をしないでおくと様々なデメリットが出てきます。
相続登記をしないデメリット
ここでは、相続登記をしない3つのデメリットについて解説していきます。
権利関係が複雑になる
1つ目のデメリットは、権利関係が複雑になることです。不動産を被相続人(亡くなった方)名義のまま放置しておき、さらに相続人が死亡してしまうと、利害関係人がどんどん増えていきます。いざ相続登記を行おうとした段階で、相続人が何十人もいて話し合いがまとまらないということもあります。また、相続人がどこに住んでいるかがわからなくなってしまい、話し合い自体を行なうことができないということもありえます。相続登記をしないで放っておくと、登記をしたいと思った段階でできなくなってしまうことがあるというのは大きなデメリットの1つです。
不動産を売却したり担保に入れたりすることができない
2つ目のデメリットは、相続登記をしないと不動産を売却したり担保に入れたりすることができなくなることです。相続した不動産を売却したいときや不動産を担保にして銀行からお金を借りたい時には、相続登記をしておく必要があります。相続登記にはある程度時間がかかりますので、相続登記をしておかないと、売却や融資のタイミングを逃し、せっかくのビジネスチャンスを無駄にしてしまうかもしれません。
不動産が差し押さえられる可能性がある
3つ目のデメリットは、不動産が差し押さえられる可能性があることです。相続登記がされていないと、相続財産の不動産は相続人全員の共有状態になります。もし、相続人のうちの誰かが借金を返せなくなってしまった場合、その人の債権者が不動産の持ち分を差し押さえてしまう可能性があります。そうすると、全く見知らぬ第三者と不動産を共有することになり、売るに売れない状態になったり、誰かに貸したりすることもできない状態になる可能性があります。
相続登記の申請方法・必要書類
相続登記は、不動産を管轄する法務局に申請します。窓口、郵送、オンラインのいずれかの方法で申請できますが、自分で相続登記をするときは、窓口で担当者に相談しながら申請することをおすすめします。オンライン登記は電子署名が必要となりますので、個人で利用する方はほとんどおられないのが現状です。相続登記の種類は大きく分けて3つありますので、それぞれのパターンで必要となる書類について解説していきます。
遺産分割協議に基づく相続登記
1つ目のパターンは、遺産分割協議に基づく相続登記です。このパターンが一番多いかもしれません。相続人が皆で話し合い、誰が不動産を取得するかを決めて、その決定に基づいて相続登記を行います。必要書類は、以下の通りです。
登記申請書
相続登記を法務局で行う際に提出する書類です。法務局のホームページから事前にダウンロードすることができます。
不動産登記の申請書様式について:法務局 (houmukyoku.moj.go.jp)
相続登記のための申請書は何種類か用意されているので、相続・遺産分割と書いてあるものを選んで使用してください。
被相続人の死亡から出生時までの戸籍謄本
被相続人の戸籍謄本は、相続人を確定するために必要な書類です。まずは、被相続人の最後の本籍地を管轄する市区町村役場で、亡くなったことが記載されている除籍謄本を取得します。取得した謄本には、ひとつ前の戸籍謄本についての情報が載せられていますので、その情報を手掛かりにして、さらに前のものを取得します。これを順に繰り返していき、出生時までの戸籍謄本を取得できたら、相続人が誰であるかを確定できるようになります。相続人が1人でも欠けると遺産分割協議は無効になりますので、戸籍謄本をすべて揃えて相続人を確定するのは、非常に大切です。
相続人全員の戸籍謄本
相続人が確定できたら、相続人全員の現在の戸籍謄本を取得します。相続人が生きているかどうかを確認できればよいので、現在の戸籍謄本のみの取得で問題ありません。被相続人の戸籍を集めたら、実は認知していた子どもがいたなど、他の相続人が全く知らなかった人が相続人として登場することもありますので、必ず被相続人の戸籍に基づいて相続人を確定してください。
被相続人の住民票の除票
これは、被相続人の最後の住所を証明する書類です。住民票の除票は被相続人が最後に住んでいた市区町村役場で取得することができます。この書類を取得し忘れることが意外と多いので、注意してください。
遺産分割協議書
相続人全員で遺産分割協議を行い、全員が合意すると遺産分割協議書が作成されます。遺産分割協議書には、相続人全員が実印で押印する必要があります。
相続人全員の印鑑証明書
遺産分割協議書に実印で押印したことを証明するために、相続人全員の印鑑証明書が必要になります。特に期限は決まっていませんので、いつ取得したものでもかまいません。
不動産を取得する人の住民票
登記する時には、新しく名義人になる人の住所に関する情報が必要ですので、不動産を取得する人の住民票を添付します。遺産分割協議書に添付した印鑑証明書で代用することも可能です。
固定資産評価証明書
登記するときに発生する登録免許税額を計算するために必要な書類です。不動産がある市区町村役場で取得することができます。不動産を全国各地に持っている場合は、それぞれの場所から取り寄せる必要があります。
法定相続に基づく相続登記
2つ目のパターンは、法定相続に基づく相続登記です。遺言書もなく、遺産分割協議も行わない場合は、法定相続分に基づいて相続登記を行います。必要書類は、以下の通りです。
登記申請書
法務局のホームページに申請書が載せられています。相続・法定相続と書いてあるものを選んで使用してください。
被相続人の死亡から出生時までの戸籍謄本と相続人全員の戸籍謄本
戸籍謄本については、遺産分割協議のときと同様の種類のものが必要です。
被相続人の住民票の除票か戸籍の附除票
こちらも、遺産分割協議のときと同じく必要です。
不動産を取得する人の住民票
法定相続の場合は、印鑑証明書が不要ですので、必ず不動産を取得する人の住民票を添付します。
固定資産評価証明書
登録免許税額を計算するために必要な書類となります。
遺言に基づく相続登記
3つ目のパターンは、遺言に基づく相続登記です。必要書類は、以下の通りです。遺言の場合、必要書類は一番少なくなります。
登記申請書
法務局のホームページに申請書が載せられています。遺言の種類に応じて、 相続・公正証書遺言、相続・自筆証書遺言と書いてあるものを選んで使用してください。
被相続人の死亡時の戸籍謄本と不動産を取得する人の戸籍謄本
遺言の場合は、遺産分割協議や法定相続のときと異なり、戸籍謄本の種類がぐっと少なくなります。必要なのは、被相続人の死亡時の戸籍謄本と、不動産を取得する人の現在の戸籍謄本のみです。
被相続人の住民票の除票か戸籍の附除票
こちらは、すでに紹介した2パターンのときと同じく必要です。
不動産を取得する人の住民票
遺言の場合も、印鑑証明書が不要ですので、必ず不動産を取得する人の住民票を添付します。
遺言書
遺言書に基づく登記ですので、遺言書はもちろん添付書類となります。
固定資産評価証明書
すでに紹介した2パターンのときと同じく、登録免許税額を計算するために必要な書類となります。
相続登記の申請にかかる費用
では、相続登記の申請にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。かかってくる費用について確認していきたいと思います。
登録免許税
相続登記の際には、国に納める税金として、登録免許税というものがかかります。登録免許税の計算式は、不動産の評価額×0.4%です。
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計算式
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不動産の評価額×0.4%
不動産の評価額は、固定資産評価証明書に載せられています。
たとえば、固定資産税評価額が5,000万円の不動産を相続登記した場合は、登録免許税は以下のようになります。
5,000万円×0.4%=20万円。
窓口や郵送で申請する場合は、20万円分の収入印紙を購入し、申請書に貼って申請します。
司法書士報酬
相続登記を専門家である司法書士に依頼する場合は、司法書士報酬がかかります。司法書士に依頼するメリットは、必要書類の収集を代わりに行ってくれることや、登記手続きがスムーズに行うことなどです。
また、法務局は平日しか開いていないので、働いている方にとっては、専門家に頼むことで時間の節約にもなります。司法書士に依頼したときの報酬ですが、自宅の土地と建物の相続登記を1件依頼すると、約10万円程度といわれています。これには、遺産分割協議書の作成や、戸籍を取得する費用も含まれます。報酬の額は自由に決めることができるので、司法書士に依頼するときは必ず見積もりを取ってから依頼することをおすすめします。
まとめ
相続登記をしないで放っておくと、権利関係が複雑になったり、不動産が売れなくなったりと様々なデメリットがありますので、可能な限り早めに手続きをすることをおすすめします。
期限は決められていませんので、時間に余裕があれば、自分で相続登記を行うこともできます。法務局には、自分で相続登記を行うときにサポートしてくれる担当員がいますので、このコンテンツも参考にしつつ、相談しながら手続きを進めてください。もし、複雑な相続手続きの場合は、頼んだ方が早くて確実ということもありますので、費用とも相談しつつ専門家に依頼することも検討してみてください。



