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相続手続き

最終更新日:2025.01.31

続手続きの代行は誰に依頼する?
士業や銀行に頼むメリット、
費用相場を解説

相続手続きの代行は誰に依頼する?士業や銀行に頼むメリット、費用相場を解説

このコンテンツでわかること

  • ■ 相続手続きの代行サービスとは?
  • ■ 相続手続きの代行を依頼できる専門家
  • ■ 相続手続き代行サービスの依頼先を選ぶコツ

相続税の申告や不動産の名義変更などの相続手続きは、自分で行うこともできますが、相続手続きは複雑なものも多く、手続きにかなりの時間と労力を費やすことになります。しかしながら、専門家に依頼して相続手続きを代行してもらいたいものの、誰に依頼すればよいかわからず、判断に迷っている方もいらっしゃるでしょう。

今回は、相続が発生したときに必要な手続きや、相続手続きの代行を依頼するメリット、代行を依頼できる専門家の費用相場などをわかりやすく解説します。

相続手続きの代行サービスとは?

法定相続人や相続財産の調査、相続税の申告など相続手続きをすべて自分で行うには、かなりの時間や労力がかかります。また、相続手続きのなかには専門的な知識が必要となるものもあります。相続手続きの代行サービスとは、このような手間のかかる相続手続きを専門家が代行してくれるサービスのことです。

まずは、相続手続きの流れを確認していきましょう。

相続が発生したときに必要な手続きの流れ

被相続人(亡くなった人)の葬儀などが終わったら、相続に関する手続きを始めていくことになります。相続とは、被相続人が所有していた財産を引き継ぐことです。一般的には、以下のような流れで相続手続きを進めていきますが、状況によっては相続放棄や限定承認の手続き、被相続人の所得税の申告(準確定申告)などが必要になる場合もあります。

(1)遺言書の確認および家庭裁判所による検認

はじめに、被相続人の自宅などにある遺品を整理しつつ、遺言書が残されていないかを確認します。遺言書には、遺産の分け方や子供を認知する旨などが記載されていることもあり、遺言書の内容によっては相続手続きに大きな影響があるため、遺言書の有無をしっかりと確認しなければなりません。

遺言書が残されている場合は、公正証書遺言と法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言を除いて、家庭裁判所で検認を受ける必要があります。検認とは、遺言書の存在や内容を相続人全員に知らせ、遺言書の偽造などを防ぐための手続きです。

(2)相続人および相続財産の調査と確定

相続人とは、被相続人の財産を引き継ぐ権利を持つ人のことで、相続手続きにおいては相続人を確定することがもっとも重要になります。そこで、被相続人の出生から死亡までの連続する戸籍謄本などを取得して、誰が相続人となるのかを確認します。あとから養子や認知された子供など新たな相続人の存在が明らかになった場合には、遺産分割協議がやり直しになるなど相続手続きに支障をきたすため、相続人の確認は慎重に行う必要があります。

相続人を確認するとともに、被相続人がどのような財産を保有していたかも明らかにしていかなければなりません。そのためには、預貯金や不動産、その他の資産などのプラスの財産と負債などのマイナスの財産を漏れなく調査し、土地や建物などの評価額も算定する必要があります。被相続人の財産を引き継いだときに、その引き継いだ財産に課される税金が相続税です。基本的には被相続人のすべての財産が相続税の対象となり、プラスの財産からマイナスの財産を控除した課税価格に対して相続税がかかります。

なお、被相続人に多額の借金などがあった場合には、家庭裁判所に相続放棄(プラスの財産もマイナスの財産も引き継がず、権利や義務をすべて放棄すること)や限定承認(プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐこと)の申し立てができます。ただし、申し立ての期限は自己が法律上相続人となった事実を知ったときから3カ月以内であるため、相続財産の洗い出しを後回しにすることはできません。また、相続税の申告後に相続財産の計上漏れが発覚すると、ペナルティとして加算税などが課されることがあるため注意が必要です。

(3)遺産分割協議および遺産分割協議書の作成

相続人と相続財産が確定したら、相続人で遺産を分け合います。遺言書が残されている場合は、原則として遺言書の内容にしたがって遺産分割を行うことになります。

遺言書が残されていない場合には、遺産分割協議によって相続人全員で遺産をどのように分けるか話し合います。遺産分割協議は相続人全員の参加が原則であるため、遺産の分割方法でもめてしまうと、何度も相続人全員が集まらなければならず、時間がかかってしまいます。遺産分割の期限は定められていませんが、遺産分割が確定していないと、相続税の申告において税額を軽減できる特例を活用できなくなることもあります。

遺産分割協議がまとまったら、合意した分割協議の結果を遺産分割協議書としてまとめ、相続人全員が署名押印します。遺産分割協議書は、のちのちのトラブルを防ぐためだけでなく、不動産など相続した財産の名義変更を行うときや相続税を申告するときにも必要となるため、誰がどの遺産を引き継ぐかを具体的に記載します。

(4)相続財産の名義変更

相続財産の名義変更手続きは、遺産分割が確定したら、トラブルが発生しないようにできるだけ早めに相続した財産の名義変更をしましょう。たとえば、預貯金の解約払い戻しのほかに、株式などの有価証券、不動産、自動車などの名義変更が必要になります。

なお、不動産については、2024年4月1日から相続登記が義務化され、原則として不動産の取得を知った日から3年以内に名義変更を行わなければなりません。正当な理由なく義務に違反した場合、10万円以下の過料の適用対象となります。

(5)相続税の申告および納付

遺産を相続したとしても、必ずしも相続税が発生するわけではありません。相続税においては、遺された遺族の生活を守るため、法定相続人の人数に応じて相続財産の一定金額までは税額が発生しないように、基礎控除が設けられています。よって、遺産の相続税の課税価格の合計額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下の場合は、相続税はかからず相続税の申告も不要です。

遺産の相続税の課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合には、相続税を計算し、相続税の申告と納付が必要になります。相続税の申告と納付は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内に行うことと定められています。申告や納付の期限に遅れると延滞税などが課されます。なお、相続税の特例や税額控除の適用を受けるには、結果として相続税がかからない場合でも期限内に申告することが要件とされているものもあるため、注意してください。

相続手続きの代行を依頼するメリット

このように相続手続きは多種多様で複雑なため、相続税の計算のほかにも専門知識が必要となる場面があります。そのため、相続手続きの代行を専門家に依頼すると、円滑かつ正確に相続手続きを進められるというメリットがあります。

スムーズに相続手続きを進められる

相続手続きには期限のあるものが多く、たとえば相続税の申告が期限までに間に合わなければ、ペナルティとして延滞税などが課されることがありますが、相続人や相続財産を調査して確定するだけでも想像以上に時間がかかります。また、相続手続きに必要な書類(戸籍謄本などの被相続人や相続人に関する書類、預貯金や有価証券、不動産などの相続財産に関する書類)は多岐にわたるため、書類を収集するだけでも相当な労力を要します。

忙しくてなかなか時間が取れない場合だけに限らず、財産の評価方法がわからない場合や相続人同士がもめている場合などは、専門家へ相続手続きを任せると時間や手間を減らすことができます。特に、不動産などの財産評価や相続人同士のもめごとの解決は、専門家でないと難しいでしょう。このように専門家に相続手続きの代行を依頼すると、トラブルを未然に防止でき、時間や労力をかけずにスムーズに手続きを進めることができます。

相続手続きに不備が出るリスクを抑えられる

相続手続きは、正確に行わなければなりません。相続手続きは時間や手間がかかるだけでなく、複雑で間違いも起こりやすいものです。たとえば、遺産分割協議書の記載内容に不備があると、相続財産の名義変更や相続税の申告などに支障をきたすことがあります。また、相続財産の調査で財産を見落としたり、財産の評価方法を間違えたりすると、相続税の過少申告となり加算税などが課されるリスクがあります。

相続手続きに不安がある場合などは、専門家へ任せると相続手続きの誤りや不備などの発生リスクを抑えることができます。このように専門家に相続手続きの代行を依頼することで、申告漏れなどのリスクも回避でき、安心して相続手続きを進めることができます。

相続手続きの代行を依頼する際の注意点

ただし、相続手続きの代行を専門家に依頼するにあたっては、いくつか注意しなければならない点があります。

専門家によって依頼できる業務が異なる

専門家であっても、すべての相続手続きを行えるわけではありません。専門家ごとに、相続手続きにおいて取り扱うことができる業務の範囲や内容が異なっています。そのため、相続手続きを依頼する際には、それぞれの専門家が代行できる業務の範囲を把握したうえで、代行してもらいたい業務を取り扱っている専門家を選ぶ必要があります。具体的には、ホームページなどで実際にどのような業務を取り扱っているのかを確認するとよいでしょう。

代行サービスの費用が発生する

専門家に相続手続きの代行を依頼する場合には、代行サービスの費用がかかります。依頼する専門家や依頼する相続手続きの内容によって、費用は異なります。そのため、相続手続きを依頼するときは、代行してもらいたい業務の費用について事前に確認しておく必要があります。ホームページにも報酬の目安が掲載されていますが、必要に応じて見積もりを出してもらって比較するとよいでしょう。

相続手続きの代行を依頼できる専門家

相続手続きの代行を依頼できる専門家には、弁護士、司法書士、税理士、行政書士などの士業や銀行があります。ただし、専門家ごとに代行できる相続手続き業務の範囲が決められているため、その専門家でないと取り扱うことができない業務もあります。したがって、相続の状況や依頼したい手続きの内容に適した専門家を選ぶことが大切になります。

士業による相続手続き代行サービスと費用相場

相続手続きの代行を士業に依頼する場合、専門家ごとに取り扱うことができる業務内容が異なるため、依頼したい手続きの内容によって依頼する専門家が異なります。また、士業に依頼するときの代行費用は、手続きの内容に応じて設定されるケースが一般的です。以下では、それぞれの士業について、具体的にどのような業務を代行できるのか、費用はどれくらいかかるのかを解説していますので、相続手続きの代行を依頼する専門家を選ぶ際の参考にしてください。

弁護士が代行できる業務

弁護士は法律の専門家で、あらゆる法律問題を取り扱っています。

相続手続きにおいて、弁護士は、相続人や相続財産の調査、遺産分割協議での交渉、遺産分割協議書の作成など、相続に関する主な業務はすべて行うことができます。

相続手続きで弁護士にしかできない業務は、相続に関する紛争の解決(交渉・調停・審判)で、相続人間の紛争などトラブルの解決を取り扱えるのは弁護士だけです。弁護士と他の専門家の大きな違いは、弁護士は代理権を持っていることです。代理権とは、本人に代わって契約などの法律行為を行う権利のことです。このため、弁護士は、当事者の代理人として遺産分割の交渉や調停にのぞむことができます。

たとえば、相続人間で遺産分割についてトラブルが発生し、それを解決したい場合などは、弁護士に依頼するのがよいでしょう。弁護士には代理権があるため、たとえ家庭裁判所での調停や審判に発展したとしても、依頼者本人に代わって裁判などの手続きを進めてくれます。

なお、弁護士に依頼した場合の費用相場は、依頼する案件によって異なります。たとえば、弁護士に遺産分割の調停を依頼する場合、着手金(依頼したときに当初かかる費用)は20万円~60万円程度、報酬金(解決したときにかかる費用)は依頼者の得られた経済的利益(取得した遺産の価額)の4~16%程度が目安となります。

司法書士が代行できる業務

司法書士は登記の専門家で、不動産登記や会社などの商業登記の登記手続きを取り扱っています。

相続手続きにおいて、司法書士は主に、相続人や相続財産の調査、遺産分割協議書の作成、不動産の相続登記、預貯金・有価証券の名義変更などを行うことができます。それに対して、遺産分割協議での交渉、相続税の申告は行うことができません。

相続手続きで司法書士にしかできない業務は、不動産の相続登記(所有権の移転登記)です。これは弁護士でも行うことができますが、実務として取り扱っているケースは少ないです。

たとえば、相続により取得した不動産の相続登記が必要な場合は、司法書士に依頼するのがよいでしょう。2024年4月1日からは相続登記が義務化されています。不動産の相続登記には多くの書類が必要となり、登記申請書などの作成には一定の決まりがあります。さらに不動産の権利関係や相続関係によっては、煩雑な手続きが必要になることもあります。

なお、司法書士に依頼をした場合の費用相場は、不動産の相続登記の場合、10万円程度(登録免許税は別途)が目安となります。

税理士が代行できる業務

税理士は税金の専門家で、所得税や法人税、相続税などの税金について、申告書を作成したり、税額を計算したりする税務を取り扱っています。

相続手続きにおいて、税理士は主に、相続人や相続財産の調査、遺産分割協議書の作成、相続税の計算や申告などを行うことができます。それに対して、遺産分割協議での交渉、不動産の相続登記は行うことができません。

相続手続きで税理士にしかできない業務は、相続税の計算と申告です。国税局長に通知を行った弁護士であれば、税理士業務を行うこともできますが、税金のことは税理士に任せるのが安心です。

たとえば、相続税の申告を任せたい場合は、税理士に依頼するのがよいでしょう。相続する遺産が多額になる場合や不動産の評価方法がわからない場合なども、遺産の相続税評価額によって税額が大きく変わるため、税理士へ依頼すると相続税対策に関するアドバイスがもらえます。

なお、税理士に依頼をした場合の費用相場は、遺産総額によって異なります。相続税の申告手続きの場合、一般的には遺産総額の0.5%~1%が目安となります。

行政書士が代行できる業務

行政書士は公的書類作成の専門家で、主に官公署に提出する書類作成を取り扱っています。

相続手続きにおいて、行政書士は主に、相続人や相続財産の調査、遺産分割協議書の作成、預貯金・有価証券の名義変更、自動車の名義変更などを行うことができます。それに対して、遺産分割協議での交渉、不動産の相続登記、相続税の申告は行うことができません。

たとえば、被相続人が不動産を所有しておらず、相続税も発生せず、相続人間での争いもないケースにおいて、遺産分割協議書の作成や自動車の名義変更だけを任せたい場合などは、行政書士に依頼するのがよいでしょう。

なお、行政書士に依頼をした場合の費用相場は、遺産分割協議書の作成や自動車の名義変更の場合は3万円程度が目安で、ほかの専門家よりも費用を安く抑えられる可能性があります。

銀行による相続手続き代行サービス

身近な存在である銀行でも、相続手続きの代行サービスを取り扱っています。銀行による相続手続きの代行サービスは、銀行が窓口となって、遺産分割協議での交渉、不動産の相続登記、相続税の申告などの相続手続きを、銀行と提携している弁護士、司法書士、税理士などの専門家がそれぞれ行います。

たとえば、資産管理を含め、相続手続き全般について相談したい場合は、窓口として銀行に依頼するのもよいでしょう。

なお、銀行に相続手続き代行の依頼をした場合は、相続手続きを担う専門家の費用のほかに銀行の手数料もかかるため、一般的に費用の総額は高く、手数料の最低額として100万円程度が設定されていることもあります。

相続手続き代行サービスの依頼先を選ぶコツ

相続手続きの代行サービスを依頼するにあたっては、それぞれの専門家の特徴や費用相場などを踏まえ、以下のようなポイントを参考にして、安心して相続手続きを任せられる専門家を選びましょう。

依頼前に相続に関する状況を整理する

これまで解説したように、専門家によって相続手続きを代行できる業務の範囲が決められており、その専門家でないと取り扱うことができない業務もあります。そのため、依頼する際はそれぞれの相続の状況に適した専門家を選ぶことが大切です。

たとえば、「遺言書がなく遺産分割について相続人の意見が分かれることが想定される」「遺産に土地などの不動産がある」「遺産が多額のため相続税の特例などを活用して相続税対策をしたい」など、相続に関する状況を整理することで、専門家への依頼内容が明確になります。

相続に強い専門家に依頼する

同じ専門家でも、専門分野が多岐にわたる場合は、それぞれ得意とする分野が異なっています。たとえば、刑事事件を得意とする弁護士、商業登記を得意とする司法書士、所得税や法人税を得意とする税理士など、それぞれ得意とする分野があります。従って、相続手続きに不慣れな専門家に依頼すると、手続きがスムーズに進まず、トラブルが起きることもあります。

相続手続きを依頼するときは、相続に関する専門性が高い専門家を選ぶことが大切です。日常生活では相続の専門家を利用する機会も少ないため、ホームページや評判などを確認して、相続手続きについて実績が豊富で信頼できる専門家に依頼しましょう。

まとめ

大切な家族を失った悲しみのなかで、相続手続きをすべて自分で進めていくことは大きな負担となります。相続手続きの代行サービスを利用すると、費用はかかりますが、必要な書類の収集や手続きなどを専門家が代行してくれます。これによって、相続手続きに費やす時間や手間を減らすことができます。また、期限を過ぎるとペナルティが発生する手続きも多いため、相続手続きの代行を専門家に依頼するメリットは大きいといえます。

相続手続きの代行を依頼できる専門家には、弁護士、司法書士、税理士、行政書士や銀行があります。これらの専門家は、それぞれ業務範囲が定められているため、どのような相続手続きの代行を依頼するのかによって依頼先が異なります。相続の状況に応じて、専門家の特徴や費用相場を勘案し、相続手続きの代行をどの専門家に依頼するのかを判断することが大切です。

相続の状況や依頼する手続き内容によって、基本的には、法律に関することは弁護士、登記に関することは司法書士、相続税に関することは税理士といったように、それぞれ信頼できる専門家に依頼するのがよいでしょう。また、すべての相続手続きを任せたい場合には、複数の専門家が在籍する事務所に依頼することで、ワンストップで相続手続きを完結することもできます。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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