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相続手続き

最終更新日:2022.07.29

続税の更正の請求とは?
必要なケースや手続きの流れ・
必要書類について

このコンテンツでわかること

  • ■ 相続税の更正の請求の制度概要がわかる
  • ■ 相続税の更正の請求を行う主なケースがわかる
  • ■ 更正の請求を行う流れや必要書類がわかる
  • ■ 更正の請求が認められないときの対処法がわかる

相続税の申告・納税には財産評価や税額計算が必要ですが、評価額の計算ミスから税金の払い過ぎになるケースがあります。

また、相続税を申告した後に状況が変わってしまい再計算した結果、当初の納税額が変わってしまうケースも珍しくはありません。こうした場合に申告そのものをやり直し、払い過ぎた税金を還付してもらうことを更正の請求といいます。

相続税は更正の請求ができるので、手続きの流れや必要書類などを知っておけば払い過ぎた相続税を取り戻すことができます。

今回は相続税の更正の請求をわかりやすく解説しますので、「相続税を払い過ぎてしまった」という方は、ぜひ最後までお読みください。

相続税の更正の請求とは

払い過ぎた相続税は、更正の請求によって還付されます。請求期限は相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10カ月以内)から5年以内なので、実質5年10カ月の間は更正の請求が可能ということです。

一方、相続税を少なく申告したときは修正申告が必要となり、不足分の税金を追加納付しなければなりません。なお、更正の請求の特則に該当する事由がある場合、請求期限は以下のように分かれます。

  • 5年10カ月を超えても更正の請求が可能な場合

  • 5年10カ月以内に特別な事由が発生した場合、発生日の翌日から4カ月以内に請求する

具体的には次のようなケースになりますが、後者の場合は請求可能な期間が短くなるので注意してください。

相続税の更正の請求を行う主なケース

次のような事情があれば相続税の払い過ぎが発生するので、更正の請求をして税金を還付してもらいましょう。ただし、ケースによって請求期限が異なるので、更正の請求を行うときの起算日にも注意してください。

相続財産を過大評価していたとき

過大評価しやすい財産には土地がありますが、路線価×面積だけで相続税評価額を算出し、補正率や立地条件を考慮していないケースがあります。

減額要素を考慮していない土地は過大評価になり、相続税を払い過ぎている可能性が高いので、相続専門の税理士に再評価を依頼してみましょう。

なお、財産の過大評価で更正の請求をする場合、相続税の申告期限から5年以内が請求期限になります。

相続税の申告期限後に遺産分割がまとまったとき

相続税の申告期限までに遺産分割協議がまとまらない場合、以下の書類を税務署に提出して、仮申告(ひとまず法定相続分どおりに分割)しておくことができます。

  • 申告期限後3年以内の分割見込書

  • 遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書(期限後3年以内の分割が困難な場合)

申告期限後に遺産分割がまとまり、当初の相続税よりも低い税額になった場合、更正の請求によって払い過ぎた部分を還付してもらえます。

ただし、更正の請求の特則に該当するため、遺産分割がまとまった日の翌日から4カ月以内に更正の請求を行うことが必要です。

遺産分割がまとまったことで控除や特例が使えるとき

前述のケースと関連しますが、相続税の申告期限から3年以内に遺産分割が決着したときは、以下の控除や特例が使えるようになります。

  • 配偶者の税額軽減

  • 小規模宅地等の特例 など

このケースも特則に該当するので、更正の請求をするときは遺産分割がまとまった日の翌日から4カ月以内が期限になります。

遺留分の侵害額が確定したとき

法定相続人が最低限取得できる遺産の分割割合を遺留分といい、民法により兄弟姉妹以外の法定相続人に保障されています。

遺留分を侵害している相続人が返還請求に応じる場合、最終的な取得額が減少するため、相続税の払い過ぎが発生します。

このようなケースも更正の請求の特則に該当するので、侵害額が確定した日の翌日から4カ月以内に更正の請求を行いましょう。

遺言書の発見や遺贈の放棄があったとき

相続税申告を済ませた後で遺言書が発見されたときは、原則として遺言書どおりに遺産分割をやり直さなければなりません。

遺言書に従うことで当初の取得分より財産が少なくなるときや、遺贈(遺言書による財産承継)の放棄で納税が不要になる場合も更正の請求の特則に該当します。

したがって、遺言書の発見日や、遺贈を放棄した日の翌日から4カ月以内に更正の請求を行うことになります。

相続人に異動があったとき

相続人が増える、または減る状況を相続人の異動といい、以下のような例があります。

  • 遺言書による非嫡出子の認知(遺言認知)

  • 相続人の廃除または廃除の取り消し

相続人の異動も更正の請求の特則になるので、相続税の払い過ぎが生じる場合は、異動の確定日から4カ月以内に更正の請求が必要になります。

相続税の更正の請求を行う流れ・必要書類

更正の請求を行うときは、払い過ぎとなっている税額を確定し、必要書類を揃えて税務署に請求します。具体的な流れや必要書類は次のようになるので、期限に間に合うよう準備しましょう。

1)必要書類の準備

相続税の更正の請求には以下の書類が必要です。

  • 相続税の更正の請求書

  • 申告に係る課税価格、税額等及び更正の請求による課税価格、税額等(更正の請求書の次葉)

  • 更正の請求に至る事由の証明資料(遺言書や遺産分割協議書など)

  • マイナンバーカードの写しと本人確認書類(運転免許証など)

  • 修正申告書

更正の請求書と次葉は税務署窓口、または国税庁ホームページで入手できます。修正申告書は必須ではありませんが、税額計算の参考資料として添付しておくとよいでしょう。

相続税の更正の請求書(国税庁)
相続税の更正の請求書の次葉(国税庁)

2)更正の請求と税額の還付

更正の請求書と添付書類が揃ったら、当初の申告先税務署へ期限までに提出してください。必要書類の提出後は税務署で審査が行われ、必要に応じて電話や面談で請求内容が確認されます。

審査には更正の請求書の提出から2~3カ月程度かかり、請求が認められた場合は相続税の更正通知書が送付されます。更正通知書の送付から数日後には国税還付振込通知書が到着し、2週間以内に指定口座へ還付金が振り込まれます。なお、税務署の審査状況によっては、更正通知書と国税還付振込通知書が同時に到着し、すでに還付金が振り込まれているケースもあり得ます。

更正の請求が認められないときの対処法

税務署が更正の請求を認めなかったときは、更正すべき理由がない旨の通知書が送付されます。

審査結果に不服があれば、国税不服申立制度を利用する、または税務訴訟を起こすこともできるので、次のように対応しましょう。

国税不服申立制度を使う

国税に関する課税処分に納得できないときは、国税不服申立制度を利用して、処分の変更や取り消しを求めることができます。

更正の請求が認められなかったときにも利用できますが、以下のどちらかを選択することになります。

  • 国税不服審判所長に対する審査請求

  • 処分を行った税務署長に対する再調査の請求

審査請求・再調査の請求ともに提出書類が多く、専門知識がなければ作成が難しい書類もあるので、弁護士や税理士に相談しながら検討するとよいでしょう。

なお、上記のいずれも、更正すべき理由がない旨の通知書を受け取った日の翌日から、3カ月以内に請求しなければなりません。

税務訴訟を起こす

国税不服申立制度の裁決に不服があるときは、以下の裁判所のいずれかに税務訴訟(原処分取消訴訟など)を起こすこともできます。

  • 東京地方裁判所

  • 課税処分した税務署長の所在地を管轄する裁判所

  • 納税者(相続人)の住所地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所

税務訴訟にも多くの書類や専門知識を必要としますが、勝訴の可能性が高いとはいえないため、専門家を交えて検討した方がよいでしょう。

また、税務訴訟を起こすときは、裁決書を受け取った日の翌日から6カ月以内が期限となります。

まとめ

払い過ぎた相続税について更正の請求を行う場合、税務署が認めてくれるとは限らないため、十分な下準備が必要になります。

特に、過大評価した財産を再評価するときは、「何を理由にいくら減額するか?」といった根拠が必要になるので、専門家以外の対応はかなり難しいといえます。また、更正の請求期限は原則として5年間ですが、請求事由の発生から4カ月が期限となる場合、短期間で必要書類を準備しなければなりません。

一度決まった課税処分は容易に覆らないため、相続税の更正の請求を行うときは、税理士や弁護士などの専門家に関与してもらいましょう。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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