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相続手続き

最終更新日:2025.07.31

続税の延納とは?
適用要件や延納期間、
申請手続きの流れをわかりやすく解説

相続税の延納とは?適用要件や延納期間、申請手続きの流れをわかりやすく解説

このコンテンツでわかること

  • ■ 相続税の延納の概要、適用要件
  • ■ 相続税を延納できる期間
  • ■ 相続税の延納にかかる利子税の割合
  • ■ 延納の申請手続きの流れや必要書類

相続税の申告・納付期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月で、原則として現金一括納付となります。しかし、相続財産や手持ちの財産に現預金が少なく、現金一括納付が難しいケースもあるでしょう。

金銭で納付することを困難とする事由があるときは、相続税の延納が認められる場合があります。

今回は延納が認められる要件や延納期間、申請手続きの流れ、必要書類をくわしく解説しますので、相続税の納付に困っている方はぜひ参考にしてください。

相続税の延納とは?

延納とは、税金を分割で納付することです。

相続税は原則として現金一括納付ですが、現金納付が困難な場合に限り延納が認められます。

延納期間は相続財産に占める不動産などの割合によって異なり、5~20年の間で分割納付が可能になります。

ただし、延納が認められる要件は細かく定められており、所定の申請手続きも必要になるため、どのような状況で延納が認められるのかを十分に理解しておくことが大切です。

相続税の延納が認められる要件

延納は、現金一括納付が困難なときに認められますが、以下の四つの適用要件を満たしていなければなりません。

  1. 相続税額が10万円を超えること
  2. 金銭で納付することが困難な金額の範囲内であること
  3. 延納税額に相当する担保を提供すること(※担保不要となる条件もあり)
  4. 延納申請書と担保提供関係書類を期限までに提出すること

延納は相続税額が10万円を超える場合に認められます。その他、上記2~4の各要件については、以下でくわしく解説します。

金銭で納付することが困難な金額の範囲内であること

多額の相続税額を目にして「払えない」と思ったとしても、1円も払えないということはないでしょう。相続した現預金や納税者がもともと持っていた現預金などから、当面の生活費などを差し引いた額は余剰資金として、「納税に回せる金額」といえます。つまり、相続税額から「納税に回せる金額」を差し引いた金額が「金銭で納付することが困難な金額の範囲内である」額となります。全額を一括納付できなくても、納期限までに納められる分は納めるべきとされているのです。

延納税額に相当する担保を提供すること

延納するには担保を提供する必要があります(延納税額が100万円以下で、延納期間が3年以下である場合は担保を提供する必要はありません)。

担保として提供できる財産は、後ほどくわしく解説しますが、国債や有価証券、土地、建物といった財産の中から、処分が容易で価額の変動の恐れが少ないものを選択します。

必要な担保額は「延納税額+第1回目の分納期間にかかる利子税の額×3」の計算式で求めます。第三者が所有する財産も担保として提供できますが、担保物所有者の承諾書などが必要となります。

延納申請書と担保提供関係書類を期限までに提出すること

延納申請時に提出する書類は、「相続税延納申請書」のほか、「金銭納付を困難とする理由書」やその説明資料、「延納申請書別紙(担保目録及び担保提供書)」「不動産等の財産の明細書」「担保提供関係書類」があります。

「担保提供関係書類」は担保財産の種類に応じて異なります。たとえば、土地の場合、登記事項証明書、固定資産税評価証明書、抵当権設定登記承諾書、印鑑証明書を用意します。建物の場合、この他に質権設定承認請求書、保険証券などの写しが必要となります。建物が火災などで滅失した場合に備えて保険金請求権に対する質権設定をするためです。

また、担保とする土地や建物は、相続登記が完了している必要があり、建物の場合は税務署長の記名押印を受けた「質権設定承認申請書」を保険会社に提出します。延納の申請期限は相続税の申告・納付期限と同一日ですが、延納申請書の提出期限までに担保提供関係書類を提出できない場合には、「担保提供関係書類提出期限延長届出書」を提出することで3カ月延長でき、その延長した期限までに再度「担保提供関係書類提出期限延長届出書」を提出することによりさらに3カ月延長できます(最長6カ月まで)。なお、延長できるのは担保提供関係書類のみであるため、ご注意ください。

延納申請書などの様式集(国税庁)

相続税の延納の申請手続きの流れ・必要書類

相続税の延納を申請するときは、必要書類を作成して、期限内に所轄税務署へ申請します。具体的には、以下の流れで手続きを進めます。

必要書類の準備

延納の申請手続きには、以下のような書類が必要となり、国税庁のウェブサイトまたは税務署窓口で入手できます。

  • 相続税延納申請書

  • 金銭納付を困難とする理由書

  • 延納申請書別紙(担保目録及び担保提供書)

  • 不動産などの財産の明細書

  • 担保提供関係書類

期限内に所轄税務署へ延納申請する

延納の申請期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月で、被相続人の最後の住所地を管轄する税務署へ延納申請します。所轄税務署がわからないときは、国税庁のウェブサイト(以下のリンク)から検索してください。

なお、申請期限までに担保提供関係書類を提出できないときは、担保提供関係書類提出期限延長届出書の提出によって提出期限を延長できます。ただし、相続税延納申請書や延納申請書別紙の延長はできません。

期限内に必要書類を提出すると、税務署において延納審査が行われます。延納が認められた場合は「相続税延納許可通知書」、延納が認められなかった場合は「延納申請却下通知書」が送付されます。延納が認められなかった場合は、納期限の翌日から却下の日までの期間は利子税、却下の日の翌日から本税の完納の日までの期間は延滞税がかかります。

税務署の所在地(国税庁)

延納できる期間と利子税

区分 延納期間
(最高)
延納利子税割合
(年割合)
特例割合
不動産等の割合が75%以上の場合 ①動産等に係る延納相続税額 10年 5.4% 0.6%
②不動産等に係る延納相続税額(③を除く) 20年 3.6% 0.4%
③森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額 20年 1.2% 0.1%
不動産等の割合が50%以上75%未満の場合 ④動産等に係る延納相続税額 10年 5.4% 0.6%
⑤不動産等に係る延納相続税額(⑥を除く) 15年 3.6% 0.4%
⑥森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額 20年 1.2% 0.1%
不動産等の割合が50%未満の場合 ⑦一般の延納相続税額(⑧、⑨及び⑩を除く) 5年 6.0% 0.7%
⑧立木の割合が30%を超える場合の立木に係る延納相続税額(⑩を除く) 5年 4.8% 0.5%
⑨特別緑地保全地区等内の土地に係る延納相続税額 5年 4.2% 0.5%
⑩森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額 5年 1.2% 0.1%

相続税の延納(国税庁)

2021年1月1日以降の期間に適用される延納利子税割合は、各年の延納特例基準割合(2025年は0.9%)が7.3%に満たない場合、次の計算式によって求められる割合(特例割合)が適用されます。

  • 計算式

  • 特例割合=延納利子税割合(年割合) × 延納特例基準割合÷ 7.3%

(注)0.1%未満の端数は切り捨て

延納期間や不動産などの割合によっては利子税割合が高くなるため、銀行などからの借入金で相続税を納付する方がよいケースもあります。

担保にできる財産

担保として提供できる財産は、次に掲げるものに限られ、この中から可能な限り処分が容易であって、価額の変動の恐れが少ないものを選択します。

  • 国債及び地方債

  • 社債(特別の法律により設立された法人が発行する債券を含む)その他の有価証券で税務署長などが確実と認めるもの

  • 土地

  • 建物、立木及び登記・登録される船舶、飛行機、回転翼航空機、自動車、建設機械で、保険に附したもの

  • 鉄道財団、工場財団、鉱業財団、軌道財団、運河財団、漁業財団、港湾運送事業財団、道路交通事業財団及び観光施設財団

  • 税務署長などが確実と認める保証人の保証

有価証券のうち、取引相場のない株式については、相続などにより取得した財産のほとんどが取引相場のない株式で、かつ、当該株式以外に延納担保として提供すべき適当な財産がないと認められる場合、または、取引相場のない株式以外に財産はあるが、その財産が他の債務の担保となっており、延納担保として提供するのが適当ではないと認められる場合に限り、担保として提供できます。

なお、第三者の所有する財産も担保として提供できます。この場合には、担保物所有者の承諾書などが必要になります。

担保となる財産は、その担保に係る国税を徴収できる金銭的価値を有するものでなければならないことから、一般的に次に掲げるようなものは担保として不適格とされます。

  • 法令上担保権の設定ができない又は処分が禁止されているもの

  • 違法建築、土地の違法利用のため建物除去命令などがされているもの

  • 共同相続人間で所有権を争っている場合など、係争中のもの

  • 売却できる見込みのないもの

  • 共有財産の持分(共有者全員が持分全部を提供する場合を除く)

  • その財産価値が担保に係る国税の附帯税を含む全額を担保としていないもの

  • 担保の存続期間が延納期間より短いもの

  • 第三者又は法定代理人などの同意が必要な場合に、その同意が得られないもの

相続税の延納で注意すべきポイント

延納が認められるには、前述したように厳しい要件を満たす必要があります。また、延納は支払時期を分散できるメリットがある一方、納める税金が利子税分だけ増えるデメリットがあります。

延納を利用することが多いパターンとしては、納税のために土地売却を予定しているものの申告期限までに売却先が決まらないときに延納手続きを行い、売買成立後に全額納付するといった場合になります。

相続税の納税資金に困ったら早めに税理士に相談しよう

相続税の延納のしくみは、住宅ローンを思い浮かべるとイメージしやすいでしょう。延納が認められれば、分割納付が可能になる一方で、利子税が発生し、担保提供も必要になります。

延納するときの利子税割合は決して低くないため、延納が最善策であるかどうか、慎重に検討しなければなりません。

納税資金が不足することが明らかで、相続税の延納を検討するときは、相続財産の評価段階から専門家にサポートしてもらうとよいでしょう。

相続税の延納は提出書類が多く、申請期限の延長が認められるもの・認められないものがあり、担保物によって提出書類が異なるなど注意すべき点が多々あるため、相続を専門とする税理士に依頼すると安心です。書類準備の時間を逆算しながら対応してもらえます。相続財産に土地が多く、納税資金に苦慮しそうな場合などは、早めに相続専門の税理士に相談しましょう。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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