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相続手続き

最終更新日:2022.10.31

【一覧】遺産相続手続きの
期限はいつまで?
手続きをスムーズに終える方法も解説

【一覧】遺産相続手続きの期限はいつまで?手続きをスムーズに終える方法も解説

このコンテンツでわかること

  • ■ 主な相続手続きの種類と期限がわかる
  • ■ 期限が決まっていない相続手続きの種類がわかる
  • ■ 相続手続きを期限内に終わらせる方法がわかる

ご家族が亡くなられると、通夜やお葬式、初七日や四十九日法要などが連続するため、2カ月近くは慌ただしい日々が続くでしょう。しかし、相続手続きも同時に進める必要があり、期限付きの手続きはすでにカウントダウンが始まっています。

期限を過ぎた後はペナルティが発生する相続手続きもあるため、各手続きの期限を把握し、スケジュール管理しながら確実に対応したいところですね。相続手続きの種類が多い方は、ご家族の協力も欠かせないでしょう。

今回は、遺産相続手続きの期限やスムーズに対応する方法を解説しますので、相続が発生した方はぜひ参考にしてください。

相続手続き一覧

代表的な相続手続きには以下の種類があります。

【期限付きの相続手続き】
  • 相続放棄や限定承認(3カ月以内)

  • 被相続人の準確定申告(4カ月以内)

  • 相続税申告と納税(10カ月以内)

  • 遺留分侵害額の請求(1年以内)

  • 生命保険の受け取り(3年以内)

  • 相続税の還付(申告期限から5年以内)

【期限なしの相続手続き】
  • 遺言書の検認

  • 遺産分割協議

  • 相続登記(不動産の所有権移転)

期限のない相続手続きでも、相続の状況や家庭事情によっては優先度が高いものがあるため、スケジュール管理や優先順位の決め方がポイントになるでしょう。

では、各手続きの内容をわかりやすく解説します。

期限が決まっている相続手続き

期限付きの相続手続きには相続放棄や相続税の申告などがあり、期限を過ぎた場合は、借金の返済義務を背負うことや、追徴課税などのペナルティが課されることがあります。いずれも期限到来までの起算日が重要となるため、手帳やスマートフォンなどを使い、スケジュール管理を徹底しておきましょう。

相続放棄や限定承認(3カ月以内)

相続放棄と限定承認には以下の違いがあり、どちらも相続開始を知った日から3カ月以内(熟慮期間)に管轄の家庭裁判所へ申し立てなければなりません。

  • 相続放棄:相続に関する権利や義務をすべて放棄すること

  • 限定承認:プラスの財産(預貯金など)の範囲内で借金の返済義務を引き継ぐこと

相続放棄の場合、最初から相続人ではなかったことになるため、預貯金などプラスの財産も相続できませんが、借金の返済義務を負うこともありません。

なお、相続放棄は単独手続きできますが、限定承認は相続人全員の同意が必要となるので注意してください。

熟慮期間を伸長する方法

相続放棄・限定承認ともに熟慮期間は3カ月ですが、どうしても3カ月以内で決定できないときは、熟慮期間伸長の申立ても可能です。申立てが認められると熟慮期間が1~3カ月程度伸長されるので、相続財産の調査に時間がかかる場合は、必ず家庭裁判所に申立てしておきましょう。

被相続人の準確定申告(4カ月以内)

被相続人が生前に収入を得ていたときは、相続開始を知った日の翌日から4カ月以内に確定申告が必要です。本人が亡くなっているため、相続人が代わりに準確定申告することになりますが、以下のようなケースが該当します。

  • 被相続人が自営業者(賃貸アパート経営など)だったとき

  • 不動産や株式の売却益があったとき

  • 正社員またはアルバイトで2カ所以上から給与所得があったとき

  • 2,000万円超の給与所得があったとき

  • 確定申告により医療費などの還付を受けるとき

  • 400万円超の年金を受給していたとき

準確定申告は準備期間が短く、不慣れな方には負担の重い手続きですが、申告期限を過ぎると延滞税や加算税が発生するので注意してください。

相続税申告と納税(10カ月以内)

相続税が発生するときは、相続開始を知った日の翌日から10カ月以内に申告・納税しなければなりません。他の相続手続きよりも余裕のある期間に思えますが、期限内に相続人の確定や財産調査を行い、土地や株式などの評価額も計算しておくことになります。

また、遺言書がないときは遺産分割協議を行い、各相続人が負担する税額も確定させておく必要があるため、相続開始直後からの対応をおすすめします。期限を過ぎた場合は追徴課税などのペナルティがあるため、スケジュール管理も重要になるでしょう。

なお、納税資金が不足するときは延納(分割納付)も申請できますが、延納も困難な場合は物納(不動産などの現物納付)という方法もあります。

申告期限までに遺産分割が完了していないときの対応

遺産分割協議がまとまらず、期限までに申告できないときは、ひとまず法定相続分どおりの遺産分割で申告しても構いません。ただし、最終的な遺産分割が確定した後は、必ず修正申告または更正の請求を行ってください。

また、申告期限後3年以内の分割見込書を提出し、期限後3年以内に遺産分割が確定すれば、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例も適用できます。

遺留分侵害額の請求(1年以内)

法定相続人には遺留分が保障されているため、第三者に全財産を渡すなど、偏った遺産配分の遺言書があったとしても、一定割合の財産は取り戻せます。ただし、相続開始と遺留分侵害を知った日から1年経過すると、時効により請求権が消滅するので注意してください。遺留分の侵害を知らなかった場合でも、10年経過すると請求権は消滅します。

なお、被相続人の兄弟姉妹には遺留分がないので注意してください。

生命保険の受け取り(3年以内)

被相続人が生命保険の被保険者であり、相続人を死亡保険金の受取人に指定していたときは、3年以内(かんぽ生命は5年)に保険金を受け取ってください。3年を経過すると請求権が消滅するので注意しましょう。

死亡保険金は遺産分割の対象ではありませんが、相続税は課税されるため、被相続人が保険に加入していたかどうか、保険証券などを調査する必要があります。また、生命保険には以下の非課税枠があるため、相続税の計算にも必ず反映させてください。

  • 計算式

  • 死亡保険金の非課税枠:500万円×法定相続人の数

相続税の還付(申告期限から5年以内)

相続税を納め過ぎていたときは、申告期限から5年以内に更正の請求をすると還付されます。不動産や株式の評価額を高くしてしまったときや、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を知らずに申告したときは、必ず5年以内に更正の請求を行ってください。

なお、不動産は評価者によって価格が大きく変わり、特例・控除には複雑な要件が設定されているため、相続専門の税理士に相談しておくとよいでしょう。

期限が決まっていない相続手続き

以下の相続手続きに期限は設けられていませんが、遺産を取得するための基礎的な手続きになるため、できるだけ早めに対応してください。また、相続登記にも期限はありませんが、2024年(令和6年)4月1日以降は期限が設定され、罰則も設けられるので注意が必要です。

遺言書の検認

自筆証書遺言と秘密証書遺言は家庭裁判所の検認が必要です。検認の申立ては遺言書を発見した相続人、または遺言書を管理していた人が行いますが、以下の書類も必要となります。

  • 検認申立書(家事審判申立書)と当事者目録

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍、改製原戸籍含む)

  • 相続人全員の戸籍謄本

  • 800円分の収入印紙

  • 連絡用の郵便切手(必要額は家庭裁判所に確認)

申立先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所となり、検認完了までには1カ月程度かかるので、遺言書を発見したときは速やかに対応してください。

なお、検認前に遺言書を開封すると、5万円以下の過料となる可能性があるので注意しましょう。

遺産分割協議

被相続人が遺言書を遺していなかったときは、相続人全員の話し合いで遺産の分け方を決定します。この話し合いを遺産分割協議といい、相続人全員の同意によって成立しますが、最終的な決定内容は遺産分割協議書に記載します。

遺産分割協議にも期限はありませんが、銀行預金の解約や土地の名義変更、相続税申告などの相続手続きには遺産分割協議書が必要です。また、遺産分割協議を行う前提として、相続人の確定や財産調査、評価額計算も済ませることになるため、協議成立までに数カ月かかるケースも少なくありません

準備だけでも相当な労力と時間がかかるので、自分1人の対応が困難なときは、家族や専門家の協力も得るようにしてください。

相続登記

被相続人名義の不動産があるときは、法務局に申請して相続人名義に変更します。相続登記にも期限はありませんが、承継者が決まるまでは相続人全員の共有財産となり、固定資産税や都市計画税を誰が負担するか、といった問題が発生します。

固定資産税などの納税通知書は、代表者として役所に届出した人に送付されますが、届出をしていない場合は役所側が指定します。また、固定資産税等は相続人全員の連帯債務になるため、相続人が決まっていなくても納税しなければなりません。

なお、相続登記は2024年4月1日以降の義務化が決定しており、相続開始から3年以内に登記申請しなかったときは、10万円以下の過料となる可能性もあります。

相続手続きを期限内に終わらせる方法

相続手続きの内容は遺言書の有無によって変わるため、家族が亡くなったときは必ず遺言書を探してください。遺言書がなければ遺産分割協議を行いますが、それぞれ以下のように対応すれば、期限内に相続手続きを終わらせることができます。

遺産分割協議を行う場合

遺言書がなく遺産分割協議を行うときは、事前に以下の項目を調査しておく必要があります。

  • 法定相続人の確定

  • 相続財産の調査と財産目録の作成

  • 不動産や株式などの評価額計算

相続人は調べなくてもわかる、という方もおられますが、第三者(銀行や法務局など)に証明する必要があるため、被相続人の戸籍を取得して調査します。

また、相続財産の全容がわからなければ話し合いにならないため、すべての財産を調査して財産目録を作成してください。不動産や株式は相続発生時の時価で評価しますが、評価額は自分で計算するため、早めの着手をおすすめします。

すべての項目が判明していれば、遺産分割協議もスムーズに進められるでしょう。

被相続人の遺言書がある場合

被相続人の遺言書については、自筆証書遺言または公正証書遺言を作成しているケースが一般的です。自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が必要となるため、発見したときは開封せずに検認を申し立ててください。公正証書遺言も基本的には自宅保管されていますが、知人や士業(弁護士や税理士など)に預けている可能性もあります。公正証書遺言の正本または謄本が見つからない場合、相続人であれば公証役場で原本を確認できます。

遺言書があれば遺産分割協議は不要ですが、要件を満たしていない自筆証書遺言は無効になる可能性があります。遺言書が無効になると遺産分割協議に切り替えなくてはならないため、検認は早めに済ませておきましょう。

専門家に相続手続きを依頼する

仕事が忙しくて相続手続きに時間を割けない方や、健康上の理由から役所や銀行に出向けない方は、期限がわかっていても手続きに着手できない可能性があります。自分だけでは相続手続きに対応できない場合、専門家への依頼も検討してみましょう。

弁護士であれば相続人同士のトラブル解決、税理士は財産評価や相続税申告、司法書士には相続登記を依頼できるので、すべての手続きが期限内に完了します。

ただし、各士業には専門分野があるため、相続に強い専門家へ依頼することがポイントになります。

まとめ

遺産相続は遺言書に従うか、遺言書がなければ遺産分割協議を行うため、まず遺言書の有無を確認してください。しかし、遺言書発見後の優先順位は人によって変わるため、何が最優先の相続手続きになるか把握しておかなければなりません。たとえば、納税資金が不足するときは、不動産の売却代金を納税に充てるケースもあるため、名義変更や不動産会社への売却依頼が優先されるでしょう。

また、各相続手続きの期限は異なりますが、必要書類の準備は同時進行するため、何がどこまで進んでいるかのスケジュール管理も重要となります。

期限内に手続きが完了しないときは、ペナルティの発生や権利の消滅もあるため、自分1人の対応に限界を感じたら、早めに専門家へ相談してみましょう。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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