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相続手続き

最終更新日:2022.10.31

続した不動産の売却時にかかる税金
【計算方法と控除・特例も紹介】

相続した不動産の売却時にかかる税金【計算方法と控除・特例も紹介】

このコンテンツでわかること

  • ■ 相続不動産の売却時にかかる税金の種類がわかる
  • ■ 相続不動産の売却時にかかる税金の計算方法がわかる
  • ■ 相続不動産の売却後の確定申告方法がわかる
  • ■ 相続不動産の売却時に使える控除・特例がわかる

亡くなった家族の不動産を相続しても、居住や活用の予定がなければ不要な財産となってしまいます。相続税が発生する場合、納税資金用に不動産を売却するケースもありますが、譲渡所得(売却益)には所得税がかかるので注意が必要です。

また、相続によって不動産を取得すると、相続税以外の税金も発生するため、税金の種類や税率、トータルの納税額も把握しておかなければなりません。不動産関連の税金は源泉徴収されないので、確定申告の方法も理解しておく必要があるでしょう。

ただし、相続した不動産の売却には各種控除や特例を適用できるため、活用次第では納税額を低くすることも可能です。

今回は、不動産売却にかかる税金や確定申告の方法、控除・特例などをわかりやすく解説します。

相続した不動産の売却時にかかる税金の種類

相続した不動産を売却すると以下の税金がかかるため、納税用として一定額は手元に残すようにしてください。

  • 登録免許税

  • 譲渡所得税(所得税・復興特別所得税・住民税)

  • 印紙税

  • 消費税

消費税の課税はケースバイケースですが、各税金が課税される仕組みや、具体的な内容をみていきましょう。

登録免許税

不動産の所有権が移転したときは、新たな所有者に登録免許税が課税されます。

不動産を売却したときは買主負担となりますが、取得時のローンを完済して売却する場合は、銀行などの抵当権抹消登記にも課税されます。なお、抵当権抹消の登録免許税については、1つの不動産につき1,000円の課税となります。

譲渡所得税

不動産を売却して譲渡所得(利益)が発生したときは、譲渡所得に対して所得税・復興特別所得税・住民税がかかります。3つの税金を総称して譲渡所得税と呼ぶことがあり、以下の計算結果がプラスになれば譲渡所得が発生しているということです。

  • 計算式

  • 譲渡所得:売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

取得費(購入費)には取得時の仲介手数料や登録免許税などが含まれ、譲渡費用には仲介手数料や測量費、借主がいる場合の立退料などが含まれます。取得時期が古く、購入価格や経費がわからない場合は、売却価格×5%で取得費を計算するようになっています。

なお、特別控除については後半でわかりやすく解説します。

印紙税

印紙税は課税文書にかかる税金で、不動産を売却するときは売買契約書に課税されます。売買契約書に印紙を貼付し、消印したタイミングで納税完了となりますが、税額は契約金額に応じるため、以下の国税庁ホームページを参照してください。

なお、2024年(令和6年)3月31日までに作成された売買契約書については、契約金額が10万円を超える場合に限り、軽減税率が適用されます。

印紙税額の一覧表(国税庁)
不動産売買契約書の印紙税の軽減措置(国税庁)

消費税

個人の不動産売却に消費税はかかりませんが、土地の測量費や建物の解体費用を事業者に支払うときには課税されます。登記申請を司法書士に依頼したときも課税されますが、申告・納税は事業者側になるため、消費者側は税負担のみとなります。

相続した不動産の売却時にかかる税金の計算方法

相続不動産の売却について、税金の種類や課税の仕組みを解説したところですが、実際にいくら税金がかかるのか、モデルケースを使って計算してみます。以下の条件をもとに計算しますが、実際の評価額などに置き換えると大まかな税額も掴めるでしょう。

  • 取得費:土地3,000万円、建物2,000万円(木造住宅)

  • 取得時期:被相続人が15年前に取得

  • 取得時の経費:200万円

  • 固定資産税評価額:土地3,500万円、建物1,000万円

  • 売却価格:6,500万円(土地5,000万円、建物1,500万円)

  • 譲渡費用:300万円

  • 住宅ローンなどの借入金:なし

登録免許税の計算

登録免許税は不動産価格×税率0.4%で計算しますが、不動産価格には固定資産税評価額を用いるので、土地と建物の登録免許税は以下のようになります。

  • 計算式

  • 登録免許税:(土地3,500万円+建物1,000万円)×0.4%=18万円

固定資産税評価額は1,000円未満を切り捨てて計算します。なお、不動産を相続したときの登録免許税は取得費に加算できるため、譲渡所得の計算にも反映させます。

取得費となるもの(国税庁)

取得費と譲渡所得の計算

次に譲渡所得を計算しますが、建物は経過年数(築年数)に応じて価値が減少するため、先に減価償却費(定額法)を反映させた取得費を計算しておきます。

  • 建物の減価償却費:取得費2,000万円×0.9×償却率0.046×経過年数15年=1,242万円

  • 建物の取得費:2,000万円-1,242万円=758万円

  • 取得費の総額:土地3,000万円+建物758万円+経費200万円+登録免許税18万円=3,976万円

償却率は建物の構造と耐用年数によって決まりますが、どちらも国税庁ホームページで確認できます。

では、譲渡所得がいくらになるか計算してみましょう。

  • 計算式

  • 譲渡所得:売却価格6,500万円-(取得費3,976万円+譲渡費用300万円)=2,224万円

2,224万円に譲渡所得税がかかるので、次に税額を計算します。

耐用年数(国税庁)
減価償却資産の償却率等表(国税庁)

譲渡所得税の計算

次に譲渡所得に税率を乗じて譲渡所得税を計算しますが、不動産は所有期間によって以下のように税率が変わります

  • 5年以下の短期所有:39.63%(所得税30%、復興特別所得税0.63%、住民税9%)

  • 5年超の長期所有:20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)

所有期間は被相続人が取得した日からカウントするため、相続したばかりの不動産でも、取得日から5年を超えていれば長期所有の税率が適用されます。今回の例は不動産の所有期間を15年としているため、税率20.315%で譲渡所得税を計算します。

  • 計算式

  • 譲渡所得税:譲渡所得2,224万円×税率20.315%=451万8,000円(100円未満切り捨て)

印紙税の計算

印紙税の税額は契約金額によって変わりますが、今回の例では売却価格が6,500万円なので、税額は3万円(軽減税率の適用額)となります。

  • 計算式

  • 印紙税額:5,000万円超~1億円以下の場合は6万円(軽減税率により3万円)

では、最後にすべての税金を合計してみます。

  • 登録免許税:18万円

  • 譲渡所得税:451万8,000円

  • 印紙税:3万円

  • 税額の合計:18万円+451万8,000円+3万円=472万8,000円

登録免許税は相続登記の時点で納税していますが、譲渡所得税は確定申告が必要になるため、以下のように対応してください。

相続した不動産の売却後の確定申告方法

相続した土地・建物の売却で譲渡所得税が発生したときは、以下の流れで確定申告を行います

  1. 必要書類の準備
  2. 譲渡所得税の計算
  3. 管轄税務署へ確定申告
  4. 譲渡所得税の納税

確定申告に不慣れな方は、申告書の作成ミスや添付書類の不足、申告期限に注意してください。

(1)必要書類の準備

確定申告を行うときは、以下の書類を準備します。

【税務署で取得】

  • 確定申告書B

  • 確定申告書第三表

  • 譲渡所得の内訳書

【法務局で取得】

  • 登記事項証明書(所有権が移転した後の全部事項証明書):1通480~600円

【自分で準備する書類】

  • 譲渡費用の領収書の写し

  • 売買契約書の写し(取得時と売却時のもの)

  • 取得費の領収書の写し

  • 源泉徴収票

  • 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)

税務署で取得する書類については、税務署窓口または国税庁ホームページを利用してください。登記事項証明書は不動産の所在地を管轄する法務局に請求しますが、オンライン申請+窓口受取にすると1通480円の料金になります。

確定申告書等の様式(国税庁)
登記事項証明書の取得(法務局)

(2)譲渡所得税の計算

譲渡所得税の計算については、前述の計算方法を参考にしてください。なお、確定申告の内容は各自治体にも連絡されるため、住民税の計算や申告は不要となります。

(3)管轄税務署へ確定申告

譲渡所得税が発生したときは、不動産を売却した年の翌年3月15日までに、不動産の住所地を管轄する税務署で確定申告を行います。

なお、譲渡所得がマイナスになると譲渡損失が発生しているため確定申告は不要ですが、損益通算(他の所得との相殺)をすれば所得税や住民税を減額できます。譲渡損失が大きく相殺できないときは、売却年の翌年から最長3年間の繰越控除もできるため、譲渡所得がない場合でも確定申告をした方がよいケースがあります。

(4)譲渡所得税の納税

所得税を納税する場合、税務署または金融機関が発行する納付書を使用しますが、納付方法には以下の種類があります。

  • 金融機関窓口

  • 税務署窓口

  • クレジットカード(国税クレジットカードお支払いサイト)

  • コンビニエンスストア(事前にQRコード付きの納付書発行が必要)

クレジットカードを使った納付は決済手数料が発生し、コンビニエンスストアでは30万円以下の税額しか納付できません。高額な現金を持ち運ぶ必要がないため、金融機関窓口での納付が安価で安全といえるでしょう。

国税クレジットカードお支払いサイト(国税庁)
税務署の所在地(国税庁)

相続した不動産の売却時に使える控除・特例

相続した不動産が居住用住宅(実家)であれば、売却時に以下の特別控除を適用できるケースがあります。

  • 相続した空き家を売却したときの3,000万円特別控除

  • 居住用財産を売却したときの3,000万円特別控除

では、控除を適用できる要件や必要書類をみていきましょう。

相続した空き家を売却したときの3,000万円特別控除

被相続人の死亡によって空き家となった居住用財産を売却したとき、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。ただし、適用要件が多く、代表的なものだけでも以下の種類があります。

  • 被相続人が1人で住んでいたこと(賃貸用に使っていた不動産は対象外)

  • 1981年5月31日以前に建築された建物であること

  • 区分所有建物(マンション)ではないこと

  • 相続発生日から売却日まで空き家であったこと

  • 売却代金が1億円以下であること

  • 2023年12月31日までに譲渡すること など

適用を受ける際には以下の書類も必要です。

  • 売買契約書の写し

  • 被相続人の除票住民票の写し

  • 譲渡時の相続人全員の住民票の写し

  • 譲渡まで空き家であったことがわかる書類 など

居住用財産を売却したときの3,000万円特別控除

居住用財産の売却益があった場合、以下の条件を満たせば譲渡所得に3,000万円の特別控除を適用できます。相続した空き家売却の3,000万円控除と併用できますが、控除の限度額は3,000万円までとなっており、居住用不動産の所有期間は問われません。

  • 居住用財産の売却であること

  • 親族間の売買ではないこと

  • 空き家になった日から3年後の12月31日までに売却すること

  • 譲渡契約の締結日まで居住していること(賃貸に使っていた場合は対象外)

また、特別控除を適用するときは以下の書類も税務署に提出します。

  • 確定申告書

  • 譲渡所得の内訳書

  • 不動産の全部事項証明書

  • 戸籍の附票

  • 売買契約書の写し(取得時と売却時のもの)

  • 住民票の写し

  • 本人確認書類

まとめ

不動産は代表的な高額資産ですが、相続後に住む予定がなければ、固定資産税や維持費だけを支払い続けることになります。地価の高いエリアは税金も高額になるため、不要な土地・建物は売却も検討するべきですが、譲渡所得があったときの税金は所有期間によって大きく変わります。

すぐに売るべきか、一定期間は所有した方がよいのかといった判断も必要になるため、もっとも税負担が軽くなるパターンを試算しておくとよいでしょう。売却時の特別控除には厳しい要件も設定されていますが、適用できれば節税効果は高いため、専門家のアドバイスも参考にしてください。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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