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相続手続き

最終更新日:2022.11.30

登記建物の相続手続き・注意点|
放置しておくリスクとは?

未登記建物の相続手続き・注意点|放置しておくリスクとは?

このコンテンツでわかること

  • ■ 未登記建物の概要や確認方法がわかる
  • ■ 未登記建物をそのままにしておくリスクがわかる
  • ■ 未登記建物の相続手続きの流れと必要書類がわかる
  • ■ 未登記建物を相続したときの注意点がわかる

不動産を取得したときは、原則として法務局に登記申請しなければなりません。登記することで所在や所有権を明らかにできるため、相続の際にも亡くなった方から相続人へ登記情報を変更することになります。

ところが、相続登記の際に未登記建物が発覚し、手続きが止まってしまうケースも少なくありません。建物の完成直後に所有者が亡くなり、登記が未完了になっている例もありますが、自己資金だけで建築したため、登記を失念(または放置)している例もあります。

未登記建物は登記情報そのものがないため、登記事項証明書も発行されませんが、相続した後はどう対応するべきでしょうか?また、未登記建物を放置するとどのようなリスクが発生するでしょうか?

今回は、未登記建物を相続したときの手続きや必要書類、注意点などをわかりやすく解説します。

未登記建物も相続財産に含まれる

未登記建物とは、何らかの事情で建築後の表題登記が行われておらず、登記情報そのものが存在しない建物です。しかし、未登記建物でも相続財産になるため、建物を相続した人は表題部の登記申請を行わなければなりません

未登記建物は相続手続きも特殊になりますが、まず表題登記の申請義務や、未登記建物の確認方法を理解しておきましょう。

建物は登記が必要

建物を新築したときは表題登記が義務付けられており、所有権の取得日から1カ月以内に法務局へ申請しなければなりません。表題登記とは、建物の所在や構造、所有者などの情報を法務局で登記する手続きであり、物理的な情報として登記事項証明書の表題部に記載されます。

また、登記事項証明書には権利部もあり、保存登記によって第三者へ所有権を主張できますが、登記するかどうかは任意です。

原則的にはどの建物も登記されており、表題部は必ず記載されているはずですが、なぜ登記情報のない未登記建物が存在するのでしょうか?

実は以下のような理由があります。

未登記建物が存在する理由

建物が未登記のまま放置される理由として、まず所有者の死亡が考えられます。所有者が建物の完成直後に死亡すると、そのまま表題登記が放置されてしまいます。

また、住宅ローンを利用せずに自己資金だけで建築した場合も、登記の手間を先送りしてそのまま失念するケースがあります。登記しなければ税金がかからないと考え、意図的に未登記建物にしたケースもあるでしょう。

ちなみに、住宅ローンを利用すると金融機関の抵当権が設定されますが、表題登記や権利部の登記が前提となるため、建物が未登記になることはありません。かつては住宅ローンの利用が一般的ではなかった時代もあるため、築年数の古い建物は要注意です。

未登記建物の確認方法

未登記建物かどうかは固定資産税の課税明細書で確認できます。登記済みの建物は家屋番号が記載されていますが、未登記建物は家屋番号が空欄、または未登記や未登記家屋といった記載になっています。

本来、建物を建築するときは建築確認申請書を市区町村に提出し、完成後に登記を行う流れですが、古い建物はどちらも行っていないケースがあります。しかし、役場は空撮や地域巡回で独自に建物をチェックしているため、未登記建物でも固定資産税だけは課税される状況が発生します。

手元に固定資産税の課税明細書がないときは、役場に交付請求できる名寄帳(課税台帳)でも家屋番号の有無を確認できます。

未登記建物をそのままにしておくリスク

未登記建物を相続した場合、いずれ以下のリスクやデメリットが表面化します。当面の居住には影響しないため、ついそのまま放置してしまうケースもありますが、マイナスの側面しかないことを理解しておきましょう。

表題登記の放置には罰則がある

権利部の登記は任意ですが、表題登記は義務化されています(不動産登記法47条1項)。放置が発覚すると、10万円以下の過料となる可能性があるので注意してください。

建物の売買が困難になる

相続した建物を売却する場合、売主から買主への所有権移転を登記しなくてはなりません。しかし、未登記建物は登記情報そのものがなく、所有権の移転を登記できないため、実務上の問題として売却が困難になります。買主側からすると、「本当に売主の所有物件か?」という疑いも生じるでしょう。

建物を売却するときは、表題登記と所有権保存登記が前提となるので注意してください。

所有権を主張できなくなる

登記されていない建物は、第三者に対して所有権を主張できなくなります。この場合、表題登記だけでは不十分であり、権利部分も登記しておかなくてはなりません。

たとえば、借地上の建物が未登記だった場合、底地の権利者(地主)に立ち退きを要請されたとしても、建物の所有権や土地の賃借権は主張できなくなります

土地の固定資産税が上がる

建物が建築されている宅地の場合、敷地部分の固定資産税が最大1/6、都市計画税は最大1/3まで軽減されています。ただし、未登記建物には軽減措置が適用されないため、税金が一気に高くなる可能性もあります。

過去の固定資産税を請求される恐れがある

役場に未登記建物の存在を知られてしまうと、過去にさかのぼって固定資産税を請求される恐れがあります。築年数の古い建物は未納期間も長いため、高額な税金になる可能性があるでしょう。

未登記建物の相続手続きの流れ・必要書類

被相続人が遺言書を作成していたときは、遺言内容どおりに遺産相続します。遺言書がなければ遺産分割協議を行いますが、相続財産に未登記建物があるときは、以下の流れで話し合いや相続手続きを進めてください。

遺産分割協議を行う

遺産分割協議は相続人全員の参加で行いますが、財産の状況がわからなければ協議が進まないため、未登記建物については以下の書類を集めておきましょう。

  • 固定資産税の課税明細書

  • 名寄帳(課税台帳)

  • 固定資産評価証明書

  • 建物の図面

  • 所有権の証明書(建物の引き渡し証明書や建築確認通知書など)

建物は土地とセットで相続するケースが多いため、高額な相続税になる可能性があります。相続税評価額の計算が難しいときは、税理士に相談しておくとよいでしょう。

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書を作成する場合、未登記建物は以下のように記載します。

【未登記建物の記載例】

所在 東京都新宿区○丁目○番
種類 居宅
構造 木造瓦葺き2階建て
床面積 1階○○㎡ 2階○○㎡
上記建物は未登記のため、固定資産評価証明書および名寄帳兼課税台帳の記載による

本来は登記事項証明書の内容どおりに記載しますが、未登記建物は登記情報がないため、固定資産評価証明書などの補足資料に従います。

未登記建物の相続登記

一般的な相続登記の場合、所有権の移転登記のみ申請することになりますが、未登記建物は表題登記を行わなければなりません。また、建物が自分の所有物であることを証明するため、登記申請の際には以下の書類を提出します。

  • 登記申請書

  • 遺産分割協議書

  • 建築確認通知書(検査済証)

  • 建物の評価証明書

  • 建築会社の工事完了引渡証明書・印鑑証明書・資格証明書

  • 建物の評価証明書

  • 建物の図面や各階平面図

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

  • 相続人全員の戸籍謄本(現在戸籍)

  • 相続人全員の印鑑証明書

図面がないときは新たに作成するケースもあるため、対応が難しいときは土地家屋調査士に相談してください。

未登記建物を相続したときの注意点

相続した建物が未登記でも、解体予定があれば表題登記は不要です。また、未登記建物が判明したタイミングによっては、遺産分割協議のやり直しが必要になるケースもあるので、以下の点には十分注意してください。

解体する未登記建物は登記不要

登記事項証明書がなくても解体工事の契約はできるので、未登記建物を相続しても解体する予定があれば表題登記は不要です。

なお、登記済みの建物を解体したときは滅失登記を申請するため、法務局から各市町村へ建物の滅失(取り壊し)が通知されます。ただし、未登記建物は法務局から市町村への通知がなく、固定資産税が課税され続けるので、必ず役場へ家屋滅失届を提出してください。

家屋滅失届には解体業者の記入・押印欄もあるので、各市町村のホームページからダウンロードし、解体完了後に記入してもらうと手間が省けます。

遺産分割協議のやり直しに注意

遺産分割協議までに十分な資料が揃わなかった場合、未登記建物とは知らずに相続する可能性があります。原則として遺産分割協議のやり直しはできませんが、未登記建物の相続を不服とし、他の相続人全員の同意もあれば、当初の協議内容を破棄してやり直しできます。

ただし、他の相続人の相続手続きがスタートしている場合、簡単には同意してもらえない可能性が高いため、登記の有無は早めに確認する必要があります。

所有権保存登記は必ず行う

表題登記が完了すれば、未登記建物の相続も一段落といえますが、権利部分の登記がなければ第三者には対抗できません。2024年4月1日以降は相続登記の義務化が決定しており、違反した場合は10万円以下の過料になる可能性があるため、所有権保存登記も必ず申請しておきましょう。

まとめ

不動産売却や相続が発生しない限り、登記事項証明書を確認する機会はほとんどありません。しかし、ご先祖様名義で相続登記が停止あるいは、未登記建物があるかもしれませんので、一度は確認しておくべきです。

また、築年数が古い建物の場合、所有権の証明書や図面など、登記に必要な書類が見つからない可能性があります。未登記建物の資産価値が高いときは、正確な税額計算や納税資金の準備も必要になるでしょう。

未登記建物の相続には専門知識も欠かせないため、遺産分割や相続登記で困ったときは、司法書士や税理士など、相続のプロフェッショナルに相談してください。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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