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最終更新日:2023.02.28

住用財産3000万円控除とは?
適用要件や申請方法・必要書類

居住用財産3000万円控除とは?適用要件や申請方法・必要書類

このコンテンツでわかること

  • ■ 居住用財産3,000万円控除の制度概要がわかる
  • ■ 居住用財産3,000万円控除の適用要件がわかる
  • ■ 居住用財産3,000万円控除の手続きや必要書類がわかる
  • ■ 居住用財産3,000万円控除を利用するときの注意点がわかる
  • ■ 3,000万円控除以外の住宅売却時に使える控除・特例がわかる

子供が独立したのでコンパクトな住まいに引っ越す、または現在の家を手放して田舎に移住するなど、自宅を売却するケースは少なくないようです。住宅ローンが終わる頃にはマイホームへのニーズが変わっていることも多いので、年齢や趣味・嗜好に合わせて住環境を変える方もおられるでしょう。

ただし、不動産の売却益には譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税の総称)がかかるため、納税資金を確保しておかなければなりません。譲渡所得税は高額になるケースが多いので、節税対策も考えておきたいところですね。

そこで今回は、譲渡所得から3,000万円を控除できる「居住用財産の3,000万円控除」をわかりやすく解説します。マイホームの売却予定がある方は、適用要件や必要書類、手続きの流れを参考にしてください。

居住用財産3000万円控除とは

居住用財産の売却益は譲渡所得となりますが、一定要件を満たせば3,000万円を控除できる特例があります。譲渡所得は居住用財産の売却によって得た利益となるので、以下のように計算します。

  • 計算式

  • 譲渡所得:売却価格-(取得費+譲渡費用)

計算結果がマイナスであれば譲渡所得が発生しておらず、計算結果がプラスであっても3,000万円以下のときは特例によって譲渡所得が非課税になります。取得費と譲渡費用には以下の費用等が含まれるので、不動産購入時の売買契約書などを確認しておきましょう。

  • 取得費:不動産の購入代金、仲介手数料、印紙代、登記費用など

  • 譲渡費用:仲介手数料や印紙代など

3,000万円控除を受けるときは、以下の適用要件も参考にしてください。

居住用財産3000万円控除の適用要件

居住用財産3,000万円の特別控除を受ける場合、以下が原則的な要件となります。

  • 現在住んでいるマイホームの売却

  • 単身赴任の場合は配偶者が居住している

  • 住まなくなってから3年後の年の12月31日までに売却

  • 保養や娯楽用の居住用財産(別荘など)ではない

  • 売却年の前年および前々年に3,000万円控除などの特例を受けていない

  • 控除を受けるためだけの目的で取得したマイホームではない

  • 売却先と特別な関係にないこと(親子や夫婦など)

  • 災害による売却の場合、住まなくなってから3年後の年の12月31日までに売却

また、一定要件を満たせば、以下のようなケースも控除の対象になります。

建物解体後の敷地を売却する場合

マイホームを解体した後の敷地を売却する場合、以下の要件を満たせば3,000万円控除を適用できるケースがあります。

  • 建物解体から1年以内に売買契約を締結すること

  • 売却するまでに賃貸していないこと

  • 住まなくなってから3年後の年の12月31日までに売却すること

建物解体後の敷地を賃貸の駐車場などに使う、あるいは解体せずに敷地の一部のみ売却すると、3,000万円控除を適用できないので注意してください。

マイホームが賃貸併用や店舗併用の場合

賃貸併用や店舗併用のマイホームも3,000万円控除の対象になりますが、自分が住んでいた居住用家屋の部分に限定されます。ただし、以下の状況であれば、3,000万円控除の適用除外となるので注意してください。

  • 一時的な居住を目的として購入した家屋

  • 娯楽や保養、趣味のための家屋(別荘など)

  • 3,000万円控除を受けることだけを目的として取得した居住用財産

マイホームとはいえない家屋(日常的な居住用ではない)や、節税目的で取得した家屋等には3,000万円控除が使えません。

一時的に空き家になっている場合

入院などのために一時的な空き家となり、いずれ自宅に戻ってくることが確実であれば、売却時に3,000万円控除を適用できます。なお、空き家になってから3年後の年の12月31日を過ぎると、3,000万円控除は使えなくなります。

共有不動産の場合

共有不動産を売却する場合、共有者それぞれが前述の要件(賃貸していないなど)を満たしていれば、3,000万円の特別控除を適用できます。確定申告も別々に行いますが、土地と建物の所有者が異なる場合(土地が長男、建物が長女など)は3,000万円控除を使えないので注意してください。

居住用財産3000万円控除の手続きの流れ・必要書類

マイホームを売却して居住用財産3,000万円控除を適用する場合、まず不動産会社に仲介を依頼して買い主を探します。買い主が見つかれば売買契約の締結となり、翌年に確定申告を済ませれば手続きは完了です。必要書類と確定申告の要領は以下を参考にしてください。

必要書類の準備

マイホーム売却時の譲渡所得に3,000万円控除を適用するときは、以下の書類が必要です。

税務署窓口または国税庁ホームページから入手する書類

  • 確定申告書B

  • 譲渡所得の内訳書

売買契約に関する書類

  • 売買契約書(対象不動産を購入したときと売却したときのもの2種類)

  • 売却費用の領収書

  • 取得費用の領収書

市町村役場および法務局で入手する書類

  • 戸籍の附票の写し(役場で入手)

  • 居住用財産の登記事項証明書(法務局で入手)

本人確認書類

  • マイナンバーカード(通知カードまたはマイナンバーが記載された住民票の写しでも可)

国税庁ホームページから確定申告書等を入手するときは、以下のリンクを参照してください。

令和4年分の確定申告書等の様式・手引き等(国税庁)

翌年2月16日~3月15日の間に確定申告

必要書類がそろったら、マイホームを売却した年の翌年2月16日~3月15日の間に確定申告を済ませてください。居住用財産3,000万円控除は申告も要件となっているため、譲渡所得税が発生しない場合でも確定申告は必要です。

居住用財産3000万円控除を利用するときの注意点

マイホームの譲渡所得に居住用財産3,000万円の控除を利用する場合、以下のように併用できない特例・控除があるので注意が必要です。譲渡所得税の税率にはマイホームの所有期間も影響するので、売却時期もよく考えておかなければなりません。

売却前後の2年間は住宅ローン控除との併用不可

3,000万円控除を適用してマイホームを売却した場合、新居を購入した年の前後2年間は住宅ローン控除が使えません。住宅ローン控除を適用すると、新居の条件(長期優良住宅や低炭素住宅など)によっては最大455万円の所得控除となります。譲渡所得が少額だった場合は住宅ローン控除の節税効果が高くなるケースもあるので、不動産売買や税金の専門家に試算してもらうことをおすすめします。

譲渡損失の損益通算と買換え特例は併用不可

マイホームの譲渡所得に3,000万円控除を適用すると、以下の特例措置も併用できなくなります。

  • 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除

  • 居住用財産の買換え特例

マイホームを住宅ローン残高よりも低い価格で売却して譲渡損失が出た場合、一定要件を満たせば損失分を他の所得から控除(損益通算)できます。控除しきれなかった場合は翌年以後3年以内の繰越控除も可能となっており、新たな住宅を購入しなくても適用できます。

買換え特例については、一定要件を満たした住宅を売却して新たな住宅に買い換える場合、譲渡所得税の課税時期の先送りが可能になります。

どちらも節税効果は高いので、十分な比較検討が必要でしょう。

10年超所有軽減税率の特例は適用可能

所有期間が10年を超えるマイホームを売却する場合、3,000万円控除とともに譲渡所得税の軽減税率を適用できます。マイホームの譲渡所得税は以下のように設定されているので、所有期間が長いほど税負担は軽くなります

マイホームの所有期間と譲渡所得税率

  • 5年未満:39.63%

  • 5年超:20.315%

  • 10年超で譲渡所得が6,000万円以下:14.21%

  • 10年超で譲渡所得が6,000万円超:6,000万円以下の部分が14.21%、6,000万円超の部分が20.315%

なお、軽減税率を適用する場合、売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていなければなりません

居住用財産3000万円控除以外の住宅売却時に使える控除・特例

不動産売却には以下の特例や控除も適用できるので、制度概要や大まかな要件を知っておくとよいでしょう

相続空き家の3000万円特別控除の特例

相続した空き家を売却する場合、以下の要件を満たせば「相続空き家の3,000万円特別控除の特例」を適用できます。譲渡所得から3,000万円を控除できるので、相続した家に住む予定がない場合は活用してみましょう。

  • 相続または遺贈により取得した居住用財産であること

  • 被相続人が相続発生直前まで居住していたこと

  • 相続開始直前において、被相続人以外に居住していた人がいないこと

  • 令和5年(2023年)12月31日までに売却すること(相続開始日から3年後の年の12月31日までに売却)

  • 昭和56年5月31日以前に建築された建物であること

  • 売却価格が1億円以下であること

  • 建物が区分所有登記されていないこと

  • 建物解体後の敷地を賃貸していないこと

平成21年・22年に取得した土地売却の1000万円特別控除

平成21年と平成22年に国内の土地を取得している場合、6年後の平成27年および平成28年以降に売却すると、譲渡所得に1,000万円の特別控除を適用できます。リーマンショック以降の景気活性化を目的とした制度なので、取得時期が限定されています。

農業者等に土地売却したときの800万円特別控除

農業委員会などが斡旋する認定農業者等に土地を売却した場合、譲渡所得から800万円を控除できる特例もあります。農地中間管理機構や農地利用集積円滑化団体への売却にも適用できますが、抵当権が設定されている土地は除外となるので注意してください。

公共事業用の土地建物売却にかかる5000万円控除

土地・建物が公共事業に収用された場合、一定要件を満たせば譲渡所得から5,000万円を控除できます。固定資産の土地・建物が対象となっており、買取り申し出から6カ月以内に売却するなどの要件があるため、事業施行者に詳細を問い合わせてみましょう。

区画整理用の土地売却にかかる2000万円控除

国土交通省が推進する土地区画整理事業などに土地を売却した場合、譲渡所得から2,000万円を控除できるケースがあります。なお、土地区画整理事業が2年にまたがる場合、2,000万円控除は最初の年だけしか適用できません。

特定住宅地造成事業用の土地売却にかかる1500万円控除

特定住宅地造成事業などのために土地を売却した場合、譲渡所得から最大1,500万円を控除できます。事業そのものや事業者には細かな要件が設定されていますが、土地や売主の要件は特にありません。

まとめ

マイホームの売却価格には地域性や築年数、工法や設備なども影響しますが、譲渡所得から3,000万円を控除できれば、税負担はかなり軽くなるでしょう。3,000万円控除によって非課税になるケースもありますが、確定申告は必要なので忘れないように注意してください。

なお、空き家状態が3年以上続いても3,000万円控除は適用できますが、売却完了までには固定資産税や都市計画税が課税されます。建物を残して売りに出す、あるいは更地にするなど、早く売却できる方法を考えておく必要もあるので、専門家の意見も参考にしてください。確定申告に不慣れな方や、3,000万円控除以外の節税方法を検討したい方は、税理士にも相談してみましょう。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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