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相続手続き

最終更新日:2023.03.31

続放棄を自分で
手続きする流れ・必要書類
【費用相場や注意点も紹介】

相続放棄を自分で手続きする流れ・必要書類【費用相場や注意点も紹介】

このコンテンツでわかること

  • ■ 相続放棄を自分でしても問題が少ないケースがわかる
  • ■ 相続放棄を自分で手続きする流れ・必要書類がわかる
  • ■ 相続放棄を自分でする場合の費用の内訳・相場がわかる
  • ■ 相続放棄を自分でするときの注意点がわかる

被相続人(亡くなられた方)に多額の借金があったときや、遺産相続に関わりたくないときは相続放棄を選択できます。相続放棄が認められると最初から相続人ではなかったことになるため、預貯金や不動産などの財産は相続できませんが、借金の返済義務を引き継ぐこともありません。

ただし、相続放棄は申述期限(手続きの期限)が短いため、相続開始直後から準備を始めても間に合わないケースがあります。期限経過後の相続放棄は原則として認められず、一度決まった相続放棄の撤回もできないので、短期間で財産調査を終えなければなりません。

今回は、自分で相続放棄の手続きをする流れや、必要書類などをわかりやすく解説しますので、相続から離脱する予定のある方は参考にしてください。

相続放棄を自分でしても問題が少ないケース

相続放棄を選択する場合、まず相続財産の全容を把握する必要があります。短期間で手際よく対応しなければなりませんが、以下のようなケースであれば、自分で相続放棄の手続きを進めても問題は起こりにくいでしょう。

相続人同士の関係が円満な場合

相続人同士が円満な関係にあれば、自分で相続放棄の手続きを進めてもトラブルにはなりにくいでしょう。相続放棄は財産調査の結果から判断するため、現金や預貯金、株式や借金などの情報がすべてオープンになっていれば、判断を誤る可能性が低くなります

ただし、対立関係にある相続人がいるときは注意が必要です。財産を独占するために預金通帳を隠す、または「借金しかないので相続放棄した方がよい」と勧めるなど、後でトラブルに発展するケースも少なくありません。

正しい判断ができなかったときは家庭裁判所に取り消しを申し立てられますが、相手の悪意の立証は難しいため、弁護士に相談した方がよい場合もあります。

自分で財産調査ができる場合

相続財産を漏れなく調査できるようであれば、相続放棄の選択を誤る可能性は低いでしょう。ただし、相続財産の種類は多岐に渡るため、以下のような財産(借金も含む)も確実に調べなければなりません。

  • 通帳がないタイプの預金口座

  • ネット口座

  • 借金の契約書や返済の残り

  • 不動産の権利証

  • 電子化された株式

  • 生命保険

預金通帳や証券類はペーパーレス化が進んでおり、申込みから借入れまでネットで完結する借金もあるので注意してください。郵便物やパソコン、貸金庫なども調べる必要があり、金融機関に口座の有無や残高を照会するケースもあるでしょう。自分1人だけでは対応できない場合、早めに弁護士などの専門家に依頼する必要があります。

相続放棄の申述期限(3カ月)に間に合う場合

相続放棄の申述期限は相続開始を知った日から3カ月以内です。3カ月間(熟慮期間といいます)で財産調査が終わる見込みがあれば、相続放棄の申述期限に間に合うでしょう。

ただし、相続発生後は通夜・葬儀・法要などの儀式が続き、役場や年金関係の手続き、香典返しや喪中はがきの準備などに忙殺されます。実質的な熟慮期間は1カ月程度しかないケースが多く、働いている方は仕事の合間を縫って財産調査を進めなければなりません。金融機関に口座情報を照会する、または法務局で登記事項証明書を取り寄せるケースもあるので、平日に休暇を取得する必要も出てくるかもしれません。

財産調査の時間を確保できない方は、専門家への依頼も視野に入れておくとよいでしょう。

相続放棄を自分で手続きする流れ・必要書類

自分で相続放棄の手続きを行うときは、以下の流れで対応してください。

  1. 相続財産の調査
  2. 必要書類の準備
  3. 家庭裁判所への申述(相続開始から3カ月以内)
  4. 相続放棄照会書への回答
  5. 相続放棄の完了(相続放棄申述書受理証明書の送付)

家庭裁判所への申述から相続放棄の完了までは1カ月~2カ月程度かかります。

では、各手順の具体的な内容をみていきましょう。

1. 相続財産の調査

相続放棄の判断は相続財産の把握が前提になるので、以下の財産は必ず調べてください

  • 預金口座や証券口座:自宅の調査または金融機関などに照会

  • 金銭消費貸借契約書:自宅調査

  • 登記識別情報(不動産の権利証):自宅調査

  • 不動産の名寄帳や固定資産評価証明書:市町村役場で取得

証券口座は取引報告書から判明する場合もありますが、ネット照会するときはIDやパスワードが必要になるので、わからなければ証券会社に問い合わせましょう。名寄帳には所有不動産が一覧表示されているので、土地・建物を調べたいときは市町村役場の担当窓口に交付申請してください。固定資産評価証明書には固定資産税評価額が表示されているので、不動産の価値がわかります。

2. 必要書類の準備

財産調査が完了した後は、家庭裁判所への申述用に以下の書類を準備します。ただし、被相続人との関係によっては追加書類も必要になるので、裁判所のホームページも確認しておきましょう。

  • 相続放棄申述書

  • 被相続人の死亡が記載された戸籍謄本

  • 被相続人の戸籍の附票および住民票除票

  • 相続放棄する人の戸籍謄本

相続放棄申述書は家庭裁判所で交付してもらえますが、裁判所ホームページからダウンロードするときは様式(成人と未成年者)を間違えないように注意してください。

家事審判の申立書(裁判所)

3. 家庭裁判所への申述(相続開始から3カ月以内)

必要書類が揃ったら、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ相続放棄を申述(必要書類を提出)します。申述の際には身分証明書(運転免許証など)と認印も必要なので、忘れずに準備してください。

相続放棄の申述は郵送でも受け付けてもらえますが、確実に届くように配達証明付きの書留郵便を使った方がよいでしょう。

なお、家庭裁判所の所在地・連絡先がわからないときは以下のリンク(裁判所)を参照してください。

各地の裁判所(裁判所)

4. 相続放棄照会書への回答

相続放棄の申述を行うと、数日後に「相続放棄照会書」と「相続放棄回答書」が郵送されます。相続放棄が申述人の意思で行われたかどうかを確認する目的なので、正直に回答してください。

回答書を返送するときは、配達証明付きの書留郵便にしておくとよいでしょう。

5. 相続放棄の完了(相続放棄申述書受理証明書の送付)

相続放棄が認められると「相続放棄申述受理通知書」が送付されるので、これで手続きはすべて完了となります。相続放棄の完了を証明できるので、失くさないように保管しておきましょう。

相続放棄を自分でする場合の費用の内訳・相場

自分で相続放棄の手続きを行う場合、1人分の費用は3,000~5,000円程度になるケースが一般的です。各費用の内訳は以下を参考にしてください。

預金口座や証券口座の調査に必要な費用

預金口座の残高などを調査する場合、以下の費用がかかります。

  • 残高証明書:1通700円~1,000円程度

  • 過去の入出金明細:1年分で1,000円程度

  • 経過利息計算書:1通2,000円程度(定期預金の利息を証明してもらう場合)

あくまでも一般的な金額なので、詳細は金融機関や証券会社に問い合わせてください

市町村役場や法務局で取得する書類の費用

市町村役場や法務局では以下の書類を取得します。

【市町村役場】

  • 戸籍謄本:1通450円

  • 除籍謄本または改製原戸籍謄本:1通750円

  • 住民票:300円程度

【法務局】

  • 登記事項証明書:書面請求600円、オンライン請求・郵送500円、オンライン請求・窓口交付480円

戸籍謄本は金融機関で残高証明書を取得する際に必要なので、早めに交付申請しておきましょう。

家庭裁判所へ申述する際の費用

家庭裁判所に相続放棄の申述をするときは以下の費用がかかります。

  • 印紙代:800円

  • 連絡用の郵便切手:400~500円程度

収入印紙は家庭裁判所でも購入できますが、在庫が不足している可能性もあるので、コンビニエンスストアや郵便局で購入しておきましょう。

相続放棄を自分でするときの注意点

相続放棄には以下の注意点があるので、自分で手続きする方はよく理解しておいてください。状況によっては相続放棄が認められなくなるので気を付けましょう。

単純承認が成立すると相続放棄できない

相続放棄の熟慮期間(3カ月)を経過すると単純承認が成立するため、相続放棄は認められなくなります。借金も含めた相続の承諾を単純承認といいますが、預金を引き出して私的に使うなどすると、熟慮期間中でも単純承認が成立する可能性があります。

葬儀費用の支払いが目的であれば特に問題ありませんが、葬儀費用として認められる範囲が制限されているので注意してください。

相続放棄は代襲相続が発生しない

代襲相続とは、相続人である子供がすでに亡くなっている場合、子供の子(被相続人の孫)が相続人に繰り上がる仕組みです。相続放棄では代襲相続が発生しないので、相続放棄後に高額な財産が見つかったとしても、子供や孫が相続に関わることはありません

必ずしも相続放棄が認められるとは限らない

必要書類の不足や相続放棄申述書に記載漏れなどがあると、相続放棄は認められない可能性があります。また、回答書を返送しなかった場合も認められなくなる可能性が高いので、自宅に届く郵便物は必ずチェックしてください。

借金の返済義務は次順位の相続人に移行する

相続放棄すると借金の返済義務が次順位の相続人に移るので、事前に連絡しておく必要があります。相続順位は以下のようになっており、借金の返済義務も含めた相続権は自動的に移行するので注意しましょう。

  • 配偶者:常に相続人となる

  • 第1順位の相続人:被相続人の子供

  • 第2順位の相続人:被相続人の父母

  • 第3順位の相続人:被相続人の兄弟姉妹

債権者に相続放棄は通知されない

相続放棄が完了しても債権者には通知されないので、引き続き返済を迫られる可能性もあります。相続放棄申述受理通知書を提示すれば督促は止まりますが、債権者によっては「相続放棄申述証明書」の提示を要求してくるかもしれません。

相続放棄申述証明書は郵送されないので、家庭裁判所に交付申請(料金は150円)しておくとよいでしょう。

死亡保険金の受け取りには影響しない

被相続人の死亡保険金は受取人固有の財産になるため、相続放棄していても問題なく受け取れます。遺産分割する必要もないので、保険契約の関係書類は必ず調べておきましょう。

相続財産の管理義務が残る

相続放棄が認められても、次順位の相続人が財産管理(不動産などの管理)を開始するまでは、自分に管理義務が残っています。また、相続人全員が相続放棄した場合、債権者や検察官などの申立てにより、相続財産管理人が選任されるまでは財産管理を行わなければなりません。

なお、民法改正により、2023年4月1日以降は管理義務の考え方が変わります。積極的な財産管理から「財産の保存」へ変更となり、相続放棄後に判明した財産の管理責任についても明確化されています。解釈が難しい部分もあるので、詳しくは弁護士や司法書士などの専門家に問い合わせてみましょう。

まとめ

相続放棄の熟慮期間は3カ月ですが、財産調査がネックになるため、自分1人で対応すると申述期限に間に合わなくなる恐れがあります。「どこまで調査したらすべての財産を把握したことになるのか?」という問題もあるので、手探り状態の作業にストレスを感じてしまうでしょう。

仕事や家事が忙しく、時間を確保できない方にはハードルが高い手続きなので、困ったときは早めに専門家へ相談してください。相続に詳しい弁護士や司法書士、税理士などに依頼すれば、期限内に相続放棄できる可能性が高くなるでしょう。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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