除籍謄本とは
除籍謄本とは、戸籍上に誰もいないことを証明した除籍情報の写しです。戸籍は夫婦と子供を一単位として作成されますが、結婚や離婚、死亡や転籍した人は除かれるため、最終的には誰もいない戸籍として閉鎖または削除となります。
ただし、除籍となった人の情報は除籍簿に記載され、除籍簿の内容は除籍謄本によって証明されるので、結婚や養子縁組で別の戸籍に移った相続人がわかります。被相続人の現在戸籍だけでは相続人全員の情報がわからないため、相続手続きでは除籍謄本を取得するケースが多いでしょう。
除籍謄本の記載内容
除籍謄本には婚姻や離婚、養子縁組や転籍によって全員が除かれた情報が記載されています。
戸籍謄本と同じ様式ですが、除籍謄本の場合は「除籍」と記載されています。また、古い除籍謄本は縦書きの様式になっており、除籍となった人は名前を「×」で消してあります。なお、戸籍の筆頭者が除籍となった場合でも、本籍・氏名の記載内容が変更されることはありません。
戸籍謄本と除籍謄本の違い
除籍謄本は戸籍に誰もいなくなったことを証明する書類ですが、戸籍謄本はまだ生きている人の身分事項などを証明する書類となります。
たとえば、夫婦2人の戸籍がある場合、夫だけが亡くなったときは「夫が除籍された戸籍謄本」が相続手続きに必要です。妻も亡くなり、戸籍上に誰もいなくなったときに除籍謄本が必要となるので、戸籍と除籍の違いをよく理解しておきましょう。
また、戸籍謄本や除籍謄本には以下の種類があるので、誤った書類を取得しないように注意してください。
戸籍謄本と改製原戸籍謄本
1つの世帯の中に生きている人がいる場合、相続手続きには戸籍謄本が必要です。役場で「相続手続きに使う」と言えば必要な戸籍謄本を案内してくれますが、高齢な方が亡くなられた場合は「原戸籍も必要ですか?」と聞かれるケースがあります。
戸籍法改正前の戸籍を「改製原戸籍」といい、現在戸籍を略した現戸籍と区別するため、役場では「はらこ」や「はらこせき」と呼ばれていることがあります。手書きで作成された戸籍など、かなり古い戸籍が「改製原戸籍」だと理解しておきましょう。
戸籍法が改正されると戸籍の様式も新しくなりますが、改正前の情報がすべて転記されるわけではありません。新たな戸籍謄本では子供や父親の離婚がわからないので、必要に応じて改製原戸籍も取得しておきましょう。
戸籍抄本と除籍抄本
戸籍抄本や除籍抄本は1人分の戸籍、または除籍の写しとなります。相続人の特定には亡くなった方の戸籍謄本が必要となりますが、相続発生時に相続人が生きていることを証明する場合、戸籍や除籍の抄本を提出するケースがあります。
身分事項については謄本・抄本のどちらでも証明できるので、一般的な相続手続きの場合、相続人が提出する戸籍は戸籍抄本でも構いません。ただし、戸籍謄本・抄本ともに発行手数料は1通450円になっているため、1つの戸籍に相続人全員が入っているときは、戸籍謄本を取得した方がよいでしょう。
除籍謄本と除籍の全部事項証明書
電子化された除籍謄本を「除籍の全部事項証明書」といい、除籍謄本と様式は異なっていますが、記載される内容はほぼ同じです。最新の除籍謄本が「除籍の全部事項証明書」になるので、どちらも問題なく相続手続きに使えます。
除籍謄本は相続人調査で必要になる
遺産分割は相続人全員の合意によって成立するため、相続手続きの前に相続人調査を行い、誰に相続権があるのか確認する必要があります。
亡くなった方(被相続人)の最新の戸籍謄本だけでは相続人全員を把握しきれないことがあるので、多くの遺産相続では除籍謄本が必要になるでしょう。
たとえば、父親が死亡して子供が相続人となる場合、結婚や養子縁組で子供が転籍していると、父親の戸籍謄本だけを取得しても子供の存在を確認できません。被相続人も戸籍から除かれるので、除籍謄本の取得によって「被相続人の死亡」と「誰が相続人になるか」を証明することになります。
除籍謄本が必要になる相続手続き
代表的な相続手続きには以下の種類があり、各機関に除籍謄本を提出するケースがほとんどです。
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被相続人の預貯金解約や名義変更
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不動産の相続登記
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株式の相続
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相続税申告
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生命保険金の受け取り
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自動車の名義変更
法務局や税務署に提出した除籍謄本は基本的に返還されないので、相続手続きの種類に応じた必要部数を取得してください。
除籍謄本の取り寄せ方
除籍謄本を取得できるのは以下の人に限られます。
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被相続人と同じ戸籍に入っている人
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被相続人の配偶者
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被相続人の直系尊属(父母や祖父母)と直系卑属(子供や孫)
また、除籍謄本の取り寄せ方には以下の種類があります。
市町村役場の窓口で取り寄せる
除籍謄本は被相続の本籍地となる市町村役場に保管されており、1通750円で取得できます。役場の窓口で除籍謄本を取得するときは以下の書類が必要になるので、忘れないように準備しておきましょう。
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請求する人の戸籍謄本(被相続人と同じ戸籍に入っているときは不要)
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請求する人の本人確認書類(運転免許証など)
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委任状(税理士や司法書士などに依頼する場合)
なお、被相続人の本籍地がわからないときは、亡くなられたときの住所地の役場で住民票の除票を取得してください。住民票の除票には戸籍の筆頭者と本籍地が記載されています。
郵送で取り寄せる
除籍謄本を郵送で取り寄せる場合、窓口交付の必要書類とともに、以下の書類も同封して本籍地の役場へ送付します。
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切手を貼付した返信用封筒
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750円分の定額小為替(発行日から6カ月以内のもの)
定額小為替は最寄りの郵便局で購入してください。
コンビニエンスストアでは取得できないので注意
コンビニエンスストアで取得できる戸籍は最新の戸籍謄本のみとなっており、除籍謄本は取得できないので注意してください。
除籍謄本を取得する際の注意点
除籍謄本の取得には以下の注意点があるので、被相続人が除籍になるタイミングや、戸籍の連続性に気を付けておきましょう。
出生から死亡まで連続していることを確認する
被相続人の戸籍謄本や改製原戸籍謄本、除籍謄本などを取得する場合、出生から死亡まですべて連続していることを確認してください。途中に抜け落ちがあると相続人調査が不十分になり、他家と養子縁組した子供など、相続権がある人を見落としてしまう可能性があります。
また、相続人全員が確認できたとしても、連続性がない戸籍・除籍謄本は相続手続きの際に差し戻されてしまいます。戸籍謄本や除籍謄本を取得するときは、必ず日付の連続性を確認しておきましょう。
除籍になるまで1~2週間程度かかる
亡くなった方が除籍となる場合、死亡届の提出から1~2週間程度かかります。死亡届の提出直後に除籍謄本を取得しても、まだ被相続人の死亡が反映していないので注意してください。
古い除籍謄本は読み解きが難しい
古い除籍謄本には毛筆による手書きのタイプがあり、旧字体や崩し字もよく使われているため、ほとんど読み解きできないケースがあります。訂正箇所がある除籍謄本の場合、わずかなスペースに訂正後の文言が追記されており、文字が小さくて読めないケースも珍しくありません。
読み解きが難しい手書きの除籍謄本を取得したときは、行政書士や司法書士、弁護士などの専門家に確認してもらいましょう。
相続手続きの期限に間に合わないときは専門家に依頼する
戸籍謄本や除籍謄本を取得するときは、最新の戸籍から出生時の戸籍まで遡る流れになります。被相続人が転籍を繰り返している場合、連続した戸籍謄本が揃うまでに数カ月かかることもあるので、1人で対応すると以下の手続きに間に合わない恐れがあります。
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相続放棄や相続の限定承認:相続開始から3カ月以内
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相続税申告と納税:相続開始を知った日の翌日から10カ月以内
相続放棄や限定承認が間に合わなかった場合、借金の返済義務を引き継がなくてはなりません。また、相続税の申告期限を過ぎると延滞税や無申告加算税が発生するので、戸籍や除籍謄本の取得に自分で対応できないときは、相続の専門家に依頼しておきましょう。
まとめ
相続手続きは「被相続人の死亡」と「被相続人と相続人の関係」を証明しなければ対応してもらえないので、まず相続人の調査からスタートすることになります。
相続人調査に戸籍謄本や除籍謄本は欠かせませんが、取得する機会が少ないため、取り寄せ方や見方がわからないケースもあるでしょう。
また、地元の役場ですべての戸籍や除籍謄本が揃うと思っていたところ、実は被相続人が何度も転籍しており、想像以上に時間がかかるケースも少なくありません。除籍謄本はほとんどの相続手続きで必要になるため、自分で取得する時間がない方は、できるだけ早めに相続の専門家へ相談してください。



