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相続手続き

最終更新日:2023.07.14

に全ての財産を相続させる
遺産分割協議書の書き方・記入例

母に全ての財産を相続させる遺産分割協議書の書き方・記入例

このコンテンツでわかること

  • ■ 母に全財産を相続させるときの遺産分割協議書の書き方
  • ■ 母に全ての財産を相続させたときにかかる相続税
  • ■ 母に全ての財産を相続させるときの注意点
  • ■ 母に全ての財産を相続させるときの節税方法

亡くなった方の遺産を相続する場合、一般的には法定相続分を目安に分割しますが、相続人全員の同意があれば1人で全財産を相続しても構いません。父親の遺産をすべて母親に相続させたいときは、遺産分割協議書を作成しておきましょう。

ただし、相続財産が集中すると母親の相続税が高額になってしまうため、税負担を軽くできる控除・特例も理解しておく必要があります。遺産分割協議書の書き方も2パターンに分かれるので、財産調査の状況に応じて使い分けましょう。

今回は、母親が全財産を相続するときの遺産分割協議書の書き方や、相続時に適用できる控除・特例をわかりやすく解説します。

母に全ての財産を相続させる遺産分割協議書の書き方・記入例

母親にすべての財産を相続させるときは、相続人全員の署名・捺印がある遺産分割協議書を作成します。 遺産分割協議書に母親が全財産を相続する旨を記載しておけば、他の相続人は「相続しないこと」を個別に記載する必要がありません。

なお、遺産分割協議書には相続財産と相続人をすべて記載しますが、相続財産の全容がわからなくても作成はできるので、以下の書き方・記入例を参考にしてください。

相続財産がすべてわかっているときの書き方

預貯金や不動産などの相続財産がすべてわかっているときは、具体的な財産情報がわかるように遺産分割協議書を作成します。母親にすべての財産を相続させるときは、以下の記入例を参考にしてください。

記入例

土地や建物は書き方を間違えやすいので、法務局で取得した登記事項証明書の内容を転記するようにしましょう。

相続財産をすべて把握していないときの書き方

遺産分割協議書は相続財産をすべて把握していなくても作成できます。母親に全財産を相続させるときは以下のような書き方になります。

記入例

「財産の一切を相続する」の記載があれば、遺産分割協議の成立後に判明した財産も母親が相続できます。

母に全ての財産を相続させるときの節税方法

一定額以上の財産を相続すると相続税がかかるため、母親がすべての財産を相続すると、1人で相続税を全額負担しなければなりません。ただし、被相続人の配偶者には税額の軽減措置があり、不動産相続に適用できる特例もあるため、以下のように税負担を軽くすることができます。

配偶者の税額軽減

被相続人の配偶者は1億6,000万円、または法定相続分のどちらか多い方まで相続しても相続税がかかりません。

相続財産の総額が1億6,000万円以下だった場合、母親がすべて相続しても相続税は非課税です。また、母親と子供が相続人になるケースでは、母親の法定相続分は財産の1/2になるため、相続財産4億円のうち2億円を相続しても、母親に相続税はかかりません。

ただし、配偶者の税額軽減によって相続税が非課税になった場合でも、相続税申告は必要になるので注意してください。相続税の申告期限は「相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」です。

小規模宅地等の特例

父親名義の自宅を母親が相続する場合、小規模宅地等の特例を適用すると面積330㎡までの敷地評価額を80%減額できます。仮に敷地の評価額が1億円だった場合でも、小規模宅地等の特例を適用すると以下のように評価額が下がります。

  • 計算式

  • 敷地の評価額:1億円×(1-0.8)=2,000万円

なお、配偶者の税額軽減によって相続税が非課税になるときは、小規模宅地等の特例を適用させる意味がありません。また、小規模宅地等の特例も相続税申告が条件になるので、適用する場合は必ず期限内に申告してください。

母に全ての財産を相続させるときの注意点

母親がすべての財産を相続するときは、子供の年齢や次回の相続に注意が必要です。状況によっては遺産分割協議が無効になり、母親以外の相続人が遺産分割に関わってくるケースもあるので、以下の注意点をよく理解しておきましょう。

遺産分割協議は相続人全員の参加が必要

遺産分割協議の成立は相続人全員の参加が必要条件です。

誰か1人でも欠けていると遺産分割協議は不成立となり、遺産分割協議書の署名・捺印も全員分が揃わないため、相続手続きには使えません。被相続人と養子縁組している子供や、前妻との間に生まれた子供も相続人になるので、遺産分割協議には必ず参加してもらいましょう。

未成年の子供がいるときは特別代理人の選任が必要

未成年の子供は法律行為ができないため、 一般的には親が法定代理人になります。ただし、未成年の子供とその母親が相続人になる場合、お互いが利益相反の関係になってしまうため、遺産分割協議において母親は子供の法定代理人になれません。

このようなケースでは子供に特別代理人を設定する必要があり、家庭裁判所へ選任を申し立てることになります。

母親が認知症になっていたときは遺産分割協議が無効

母親が認知症になっていた場合、遺産分割協議が無効になる可能性があるので注意してください。判断能力が低下している人は法律行為が制限されるため、母親が認知症の状態では遺産分割協議が成立しません。

すでに母親が認知症になっていたときは、家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立て、後見人が母親の代理人となって遺産分割協議を進めることになります。

2次相続の相続税が高額になる

母親に相続財産を集中させた場合、2次相続の相続税が高額になるので注意が必要です。父親の遺産を母親が1人で相続しても、配偶者の税額軽減によって相続税の負担は軽くなりますが、母親も亡くなる2次相続では配偶者の税額軽減を使えません

母親にすべての財産を相続させたいときは、母親が亡くなったときの相続税も考慮しておく必要があります。

子供が相続放棄すると次順位の相続人が遺産分割に関わる

子供が「母親に全財産を相続してもらいたい」と考え、相続放棄した場合は次順位の相続人が遺産分割に関わってきます。子供が相続放棄すると被相続人の父母が相続人になるため、母親は義父・義母を交えて遺産分割協議を行わなければなりません。

この場合、被相続人の父母には相続財産の1/3を取得する権利があるため、母親がすべての財産を相続できない可能性があります。

母に全ての財産を相続させたときにかかる相続税

母親が全財産を相続するといくら相続税がかかるか、具体例でシミュレーションしてみましょう。今回は、父親の死亡によって相続が発生し、母親と子供1人が相続人になるものとします。

基礎控除と課税価格の計算

相続税は基礎控除を超えた部分に課税されるので、以下の計算式で控除額を計算します。

  • 計算式

  • 相続税の基礎控除の計算式:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

今回は母親と子供1人が相続人になるので、基礎控除は以下のようになります。

  • 計算式

  • 相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円

相続財産から基礎控除を差し引いた部分が課税価格になるので、仮に父親の遺産が1億5,000万円あった場合、課税価格は以下のようになります。

  • 計算式

  • 相続税の課税価格:1億5,000万円-4,200万円=1億800万円

では次に、課税価格に税率を乗じて相続税を計算してみます。

課税価格に税率を乗じて相続税を計算

相続税の課税価格がわかったら、次に税率を乗じて相続税を計算します。

課税価格が1億800万円の場合は税率が40%となり、控除額1,700万円を差し引くので、相続税は以下のようになります。

  • 計算式

  • 相続税の計算:1億800万円×40%-1,700万円=2,620万円

2,620万円は相続税の総額ですが、今回は母親がすべての財産を相続する計算例になるので、相続税は母親1人で全額負担することになります。ただし、夫婦間の相続には配偶者の税額軽減を適用できるため、1億5,000万円を母親1人で相続しても、申告さえ済ませておけば相続税はかかりません

なお、相続税の税率と控除額は国税庁ホームページを参照してください。

相続税の税率(国税庁)

まとめ

父親が亡くなった場合、長年連れ添った母親に全財産を渡したい、または老後の生活費を確保してほしいと子供が考え、母親に全財産を相続させるケースがあります。子供の同意さえあれば母親は全財産を相続できるので、今回の記入例を参考に遺産分割協議書を作成しておきましょう。

ただし、母親が1人で遺産相続した場合、母親名義の財産が増えることになります。次回の相続では法定相続人が減るので基礎控除が下がり、さらに親子間の相続になるため配偶者の税額軽減も適用できません。母親が預貯金や現金を相続し、子供が不動産を相続した方がよいケースもあるので、母親に財産すべてを相続させたいときは、相続専門の税理士に相談してみましょう。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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