相続税について税理士に相談するメリット
被相続人が亡くなって、遺産を相続することになった場合、誰に相談すればよいのでしょうか。相続を題材としたテレビドラマでは、一般的に弁護士が登場します。被相続人が土地を所有している場合には、相続登記が必要となるため、司法書士への相談を検討する人もいるでしょう。しかしながら、相続が発生したときには、まず初めに税理士に相談することをおすすめします。
相続税がかかるかどうかの判断をしてもらえる
相続登記の期限は、自分が遺産を相続したことを知った日から3年以内です。また、誰が何を相続するのかを決める遺産分割協議には期限がないものの、相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内であるため、早めに遺産分割協議を進める必要があります。そのためには、まずは税理士に相談し、相続税の申告義務があるかどうかを判断してもらいましょう。
相続税専門の税理士であれば、相続登記が必要であれば司法書士、トラブルを抱えていれば弁護士の紹介もしてくれます。
相続手続きの窓口になってもらえる
仕事や育児、介護などで忙しく、平日になかなか時間を確保できない方は、被相続人の生まれてから亡くなるまでの連続する戸籍謄本を取得したり、金融機関から提出を求められている書類をそろえたりするのが大変ですが、税理士に依頼すると、このような手続きを代行してくれます。
相続税の申告を依頼することができる
相続税の申告は、相続開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内です。期限内に相続税申告をできなかった場合、延滞税や加算税などのペナルティがあるため、余計な税負担が発生してしまいます。所得税の確定申告と同様に、自分で申告することもできますが、相続税は計算方法や申告書の記入要領が難しく、添付資料も膨大になるため、税理士に依頼した方が確実でしょう。
税務調査について相談できる
相続税申告書の税理士署名欄に税理士名を記載して作成した場合、税務調査は基本的に税理士が対応します。
税務署から税務調査をしたい旨の連絡が税理士にあり、当日どのように対応すればいいか事前に税理士からレクチャーを受けることができます。税務調査の当日は、税理士同席のもと調査が行われ、その後の対応も税理士が行うため、時間的な負担や精神的な負担は少なくて済みます。
二次相続を踏まえたアドバイスがもらえる
夫婦のどちらかが亡くなり、その後に配偶者も亡くなったときの相続を二次相続といいます。二次相続では、以下のような問題が生じやすいため注意しましょう。
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相続税が高額になる
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大きなトラブルが起きやすい
相続税には基礎控除があり、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算しますが、二次相続では法定相続人が最低でも1人減るため、その分だけ基礎控除額が減少します。従って、一次相続で配偶者に財産を集中させてしまうと、二次相続の相続税が高額となる傾向があります。
また、親の目の黒いうちは子供たちも争わないものの、親が亡くなった途端に権利を主張しあい、折り合いがつかなくなることもあります。そのため、税理士に相談すると、二次相続も視野に入れて一次相続で子供たちにある程度の財産を相続させておくといった、俯瞰的な視点でさまざまなアドバイスをしてもらえます。
相続税について相談する税理士の選び方
税理士は税金の専門家ですが、遺産相続や相続税を相談できる税理士は限られています。たとえば、所得税の申告を税理士に依頼している場合でも、相続税の申告は別の税理士に依頼した方がよいケースがあります。相続税について相談するときは、以下の税理士の選び方を参考にしてください。
相続税専門の税理士事務所であること
相続税申告などを税理士に相談するときは、相続税の専門かどうか必ず確認してください。税理士の多くは法人の確定申告などに携わっており、相続税の申告書を作成したことがない税理士もいます。現在、税理士の登録者数約8万人に対して、相続税の申告件数は年間約15万件であることからも推測できるように、税理士なら誰でも相続案件の経験が豊富で、相続税申告書の作成を得意としているわけではありません。
相続税の申告実績が豊富であること
相続税の申告実績が豊富であるということは、これまで経験した事案から気を付けるべき項目、間違えやすい項目など知識の集積があります。
また、認知症などにより判断能力を欠く状況にある相続人は、法律行為ができないため遺産分割協議に参加できず、成年後見制度を利用する必要がありますが、このようなケースに対しても、相続税専門の税理士であれば、早めに成年後見人の選任手続きをするようにアドバイスをしてくれるなど、相続に関する手続きがスムーズに進むようにサポートしてもらえます。
財産評価に詳しいこと
相続税の相談をするときは、財産評価に詳しい税理士を選びましょう。相続財産の評価は国税庁の評価基準に従って行いますが、機械的に評価できる財産と、土地のようにそうではない財産があるため注意が必要です。
財産評価に詳しい税理士であれば、不動産の周辺状況もチェックしてくれるため、セットバックを要する土地であることに気づいたり、都市計画道路の建設予定などを役場に確認したりして、不動産の評価額を引き下げてくれます。
依頼者の要望を伝えやすいこと
税理士に相続税の相談をするときは、依頼者の要望を伝えやすいかどうかも大切です。遺産の分割方法について相続人の希望があるのに、相続税対策になるからと希望とは異なる分割方法を強硬にすすめるような税理士では困ります。話しやすく、しっかりと依頼者の要望を聞き取ってくれる税理士を選んでください。万が一、話しにくいと感じることがあれば、担当税理士の変更を申し出ましょう。
相続税申告の費用が明確なこと
相続税申告では、相続人が増えればそれだけ手間が増え、たとえ評価額が同じ土地であっても、土地の所在地や形状などによって税理士の作業工数が大きく異なります。このような作業内容による違いを報酬額に反映させるため、一般的に相続税申告の料金体系は複雑になっています。相続税について相談するときは、税理士報酬の料金体系をホームページなどで公表しており、事前の見積りから請求金額が増えるようであればその旨を通知してくれる税理士がいいでしょう。
税理士報酬の相場
相続税の申告報酬は、平成14年に廃止された税理士会の税理士報酬規定に基づいて計算した場合と同様に、遺産総額の0.5~1%程度が相場となっています。この範囲内に収まっている税理士報酬額であれば、サービスに見合った通常の対価と考えていいでしょう。
書面添付制度を活用してくれること
書面添付制度とは、税理士が申告書を税務署に提出する際に、申告書の作成にあたってどのような項目を確認し、検討したのかなどを具体的に記した書面を添付する制度です。
書面添付をすると、税務調査の前に、調査官は税理士に対して意見聴取を行います。意見聴取によって疑義が解消し、調査の必要性がないと認められた場合には、税務調査へ移行しません。税務調査となる確率が減るため納税者にとっては大いに活用したい制度です。
なお、書面添付において虚偽記載を行うと、税理士は業務停止や業務禁止となることがあるため、書面添付制度の利用に慎重になる税理士もいますが、相続税申告に自信のある税理士は書面添付を標準的な業務として対応しています。
他の士業と連携していること
相続税について税理士に相談する場合、他の士業と連携しているかどうかも確認しましょう。税理士は相続登記や紛争解決などの対応はできないため、不動産を相続するときや、相続争いが発生しているときは、司法書士や弁護士によるサポートも必要となります。
各士業と連携している税理士であれば、自分で相続に詳しい弁護士や司法書士を探す必要がなく、時間・労力・費用を軽減できます。
税理士の他に相続について相談できる専門家
相続手続きを専門家に依頼するときに、どの専門家がどのような手続きをしてくれるのかわからず、依頼先に迷ってしまうケースがよくあります。依頼先を間違えると時間や労力が無駄になるため、税理士以外の専門家が対応できる業務内容は以下を参考にしてください。
弁護士
弁護士は紛争解決の専門家であるため、以下のような状況のときに依頼するとよいでしょう。
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遺産分割協議がまとまらない
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遺留分が侵害されている
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想定外の相続人が判明した
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一部の相続人が遺産を使い込んでいる
いずれも時間が経つにつれて解決が難しくなるため、できるだけ早いタイミングで弁護士に依頼してください。
司法書士
司法書士は登記の専門家であるため、相続財産に不動産が含まれている場合に、相続登記を依頼することができます。
相続登記以外にも、司法書士には以下のような業務を依頼できます。
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相続人や相続財産の調査
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遺産分割協議書の作成
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遺言執行者の依頼
行政書士
行政書士の主な業務は書類の収集や作成で、以下のような業務を依頼できます。
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相続人や相続財産の調査
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遺産分割協議書や相続関係図の作成
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自動車の名義変更
相続争いが発生しておらず、相続税申告や相続登記も必要ないときは、相続関係の手続きをすべて行政書士に依頼できるケースもあります。
まとめ
相続が発生したときは、まず初めに税理士に相談し、相続税申告が必要かどうかを判断してもらいましょう。なお、相談をする税理士は、相続税を専門とする税理士にしてください。税金関係の業務は税理士の専門分野ですが、税理士試験では相続税法が選択科目になっており、相続税法を受験していない税理士も多く、たとえ相続税法に合格していても、相続税の申告書を作成したことのない税理士もいます。一方、相続税法を受験していない税理士であっても、相続税申告の実務経験が豊富で、相続税を得意としている税理士もいます。
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月です。申告期限を守りつつ、一連の相続手続きをスムーズに行うためには、相続税を専門とする税理士を探すことから始まります。税理士事務所の多くは、初回相談を無料で行っているため、ホームページなどで相続税申告の報酬額を明確に公表しており、書面添付も行ってくれる相続税専門の税理士に無料相談を申し込み、実際に話したときの対応などを確かめてから依頼しましょう。



