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相続手続き

最終更新日:2024.01.31

別寄与料なら
相続人以外も主張・請求できる!
認められるケースとは?

特別寄与料なら相続人以外も主張・請求できる!認められるケースとは?

このコンテンツでわかること

  • ■ 特別寄与料の制度概要
  • ■ 特別寄与料を主張・請求できる人
  • ■ 特別寄与料を主張・請求できる相手
  • ■ 特別寄与料を主張・請求できるケース
  • ■ 特別寄与料を計算する方法
  • ■ 特別寄与料を主張・請求する方法
  • ■ 特別寄与料を主張・請求するときの注意点

亡くなった家族の財産を相続する場合、生前に介護や事業経営などに貢献していると、貢献度に応じて寄与分を認めてもらえるケースがあります。

ただし、寄与分は相続人だけに適用されるため、子供の配偶者や被相続人の孫が介護に貢献しても、寄与分の請求はできません。介護の実情をみると、長男の妻が義父の面倒をみているケースもあるので、相続人しか寄与分が認められないのであれば、妻が行った介護の苦労は報われないことになります。

そこで、相続人以外の人に特別の寄与行為があったときは、特別寄与料を請求できるように民法が改正されました。

今回は、特別寄与料を主張・請求できる人や、特別寄与料の計算方法などをわかりやすく解説します。

特別寄与料なら相続人以外も主張・請求できる

特別寄与料とは、相続人以外の親族が被相続人の介護などに貢献していた場合、寄与行為に応じた金銭を請求できる制度です。特別寄与料は2019年7月1日から制度化されており、相続人ではない子供の配偶者や被相続人の孫でも、特別寄与料の請求が認められています。

従来制度の寄与分は相続人のみ対象になるため、介護などに貢献した人が長男の妻や長女の入り婿だった場合、労務に対する法的な支援がありませんでした。そこで、相続人以外の親族でも介護の苦労が報われるよう、特別寄与料が創設されたという背景があります。

なお、特別寄与料は主張・請求できる人、請求できる相手が決まっているので、以下を参考にしてください。

特別寄与料を主張・請求できる人

特別寄与料を主張・請求できる人は民法上の親族になっており、以下の範囲に限定されています。

  • 法定相続人ではないこと

  • 被相続人の親族であること(6親等内の血族、3親等内の姻族)

  • 相続放棄していないこと、または相続廃除や欠格になっていないこと

6親等の血族には再従兄弟(はとこ)などが含まれており、姻族は婚姻によって発生した親族になるので、3親等内には配偶者側の甥や姪なども含まれます。ただし、婚姻関係にない夫や妻は親族に該当しないため、事実上の配偶者であっても、特別寄与料は主張・請求できないので注意が必要です。

特別寄与料を主張・請求できる相手

特別寄与料を主張・請求できる相手は、遺産を取得した相続人です。

寄与分の場合は遺産分割協議で主張・請求しますが、特別寄与料の対象者は遺産分割協議に参加しないので、話し合いの場を別に設ける必要があるでしょう。話し合いの設定が難しいときは、書面で特別寄与料を主張・請求してください。

特別寄与料を主張・請求できるケース

特別寄与料を主張・請求できるケースは以下の2タイプに分かれており、無償で財産維持や増加に貢献していたときや、献身的な介護などが条件になります。

  • 家業従事型

  • 療養看護型

では、タイプ別の寄与行為がどのような内容になるか、具体例をみていきましょう。

家業従事型

被相続人の事業に無償で従事しており、財産維持や増加に貢献した場合は、家業従事型の特別寄与料が認められる可能性があります。片手間の手伝いでは特別な寄与といえませんが、長期にわたって事業に従事しており、専従性もあったときは、特別寄与料を主張できるでしょう。

ただし、法人に対する貢献だった場合、被相続人が亡くなっても特別寄与料は主張できないので注意してください。

また、事業への貢献によって被相続人の財産を維持できたこと、または増加につながったことを客観的に証明する必要もあります。

療養看護型

療養看護型の場合、長期にわたる介護を無償で行い、専従性もあったことが特別寄与料の条件になります。たとえば、寝たきりの義父などを付きっきりで介護し、食事や入浴、排せつなどの世話をしていたときは、特別寄与料が認められやすいでしょう。

ただし、病院や介護施設に入っている間は介護士などが療養看護を行うため、毎日お見舞いに通ったとしても、特別寄与料は主張できないので注意してください。

また、数週間~数カ月程度の介護では特別寄与料が認められにくいので、1年以上の介護期間を必要としている場合が多いでしょう。

特別寄与料を計算する方法

特別寄与料を金額に換算するときは、以下の計算方法を参考にしてください。なお、それぞれの計算方法は法律で指定されているわけではなく、裁判所や弁護士が用いているものです。

計算要素がわかりにくい特別寄与料もあるので、正確な金額を把握したいときは弁護士に計算してもらいましょう。

家業従事型の計算方法

家業従事型の特別寄与料は以下のように計算します。

  • 計算式

  • 特別寄与者の年間の給与相当額×寄与年数×(1-生活費控除割合)

年間の給与相当額は、厚生労働省が公表する賃金センサス(賃金構造基本統計調査)を参考にします。特別寄与者と被相続人が同居しており、被相続人が家賃などを負担しているときは、生活費控除割合を適用させて一定額を差し引いておきましょう。

【計算例】

  • 年間の給与相当額:250万円

  • 寄与年数:8年

  • 生活費控除割合:30%

  • 特別寄与料:250万円×8年×(1-0.3)=1,400万円

最新の賃金センサスは政府統計の総合窓口となる「e-Stat」に掲載されていますが、参照方法がわかりづらいので、弁護士に計算してもらった方が確実です。

療養看護型の計算方法

療養看護型の特別寄与料は以下のように計算します。

  • 計算式

  • 療養看護の日額報酬×介護日数×裁量的割合

日額報酬は職業ヘルパーなどが介護したときの報酬ですが、親族による療養看護は専門職と同レベルにならないため、5~8割の裁量的割合を考慮します。

【計算例】

  • 療養看護の日額報酬:5,000円

  • 介護日数:1,825日(5年)

  • 裁量的割合:0.7

  • 特別寄与料:5,000×1,825×0.7=638万7,500円

療養看護型の場合、裁量的割合の平均値は0.7程度と想定されます

特別寄与料を主張・請求する方法

特別寄与料を主張・請求する方法は以下のようになっており、基本的には相続人との話し合いからスタートします。相続人と話し合っても特別寄与料を認めてもらえないときは、家庭裁判所の調停なども検討してください。

相続人との話し合いで特別寄与料を主張・請求する

特別寄与料を主張・請求するときは、まず相続人と話し合ってみましょう。長期にわたって介護や家業に従事したことや、請求額の根拠資料なども提示できれば、特別寄与料を認めてもらえる可能性があります。

ただし、特別寄与料を認めると、各相続人は自分の取得分が減ってしまうため、話し合いに応じてくれない場合もあるでしょう。

また、特別寄与料を主張したことにより、相続人との対立関係が生じるケースもあるので注意が必要です。

相続人が話し合いに応じてくれないときや、特別寄与料を認めてくれないときは、弁護士に代理交渉を依頼してみましょう

内容証明郵便で特別寄与料を主張・請求する

相続人が話し合いに応じてくれない場合、郵便局の内容証明郵便で特別寄与料を主張・請求する方法もあります。

内容証明郵便と配達証明をセットで利用すると、いつ・誰から誰に・どのような文面が配達されたかを郵便局が証明してくれます。

特別寄与料の主張・請求を記録に残しておきたいときは、内容証明郵便が有効な手段になるでしょう。なお、文書の枚数が増えると郵便料金が高くなってしまうので、文面はできるだけ簡潔な内容にすることをおすすめします。

家庭裁判所の調停や審判で特別寄与料を主張・請求する

相続人に特別寄与料を主張・請求しても話がまとまらないときは、家庭裁判所に「特別の寄与に関する処分調停」を申し立ててみましょう。

調停は話し合いによる解決手段になっており、調停委員が間に入ってくれるので、相手と同席しなくても協議を進められます。

申立人の主張に合理性があり、寄与行為を立証できる証拠もあれば、特別寄与料の支払いを認める調停案を期待できます。

ただし、調停成立には半年以上かかるケースが多く、不成立になった場合は審判へ移行するため、最終的には裁判官の判断に従わなければなりません。

調停を申し立てると、少なくとも3回程度は家庭裁判所に出向くので、対応が難しいときは弁護士に依頼してください。

特別寄与料を主張・請求するときの注意点

特別寄与料を主張・請求する場合、まず請求期限となる時効に注意してください。他にも以下のような注意点があるので、金額によっては相続税の負担も考えておく必要があります

特別寄与料には時効がある

特別寄与料は以下の期間が過ぎると請求できなくなります

  • 相続開始と相続人を知ったときから6カ月後

  • 相続開始日から1年後(除斥期間の経過)

以上の期間を経過すると、調停の申立ても認められなくなるので、権利行使の証拠が残るように内容証明郵便で特別寄与料を主張・請求してください。

なお、弁護士に内容証明郵便を作成してもらい、差出人も弁護士名や法律事務所名にしておくと、特別寄与料の請求に応じてもらえる確率が高くなります。

特別寄与料は実費相当分を受け取れる

特別寄与料が認められても相続人になるわけではないため、特別寄与料の請求額は実費相当分のみとなります。

寄与行為によっては高額な実費を負担する場合もありますが、「遺産の総額-遺贈された財産価額」までが請求額の上限となるので注意しましょう。

特別寄与料は相続税の課税対象になる

特別寄与料を受け取った場合、遺言書で遺贈されたものとみなされるため、相続税の課税対象になります。相続税は以下の基礎控除を超えた部分に課税されるので、法定相続人の人数は確実に把握しておきましょう。

  • 計算式

  • 相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

相続税が発生する場合、「特別寄与料が確定したことを知った日の翌日から10カ月以内」が申告・納税期限になるので注意してください。期限を過ぎると追徴課税のペナルティがあるので、相続税の計算や申告書の作成方法がわからないときは、税理士にサポートしてもらうとよいでしょう。

特別寄与料の相続税は2割加算になる

被相続人の配偶者や1親等の血族以外が相続税を申告する場合、税額に2割加算が適用されるので注意してください。特別寄与者の相続税は2割加算になるケースがほとんどなので、税負担も考慮しておく必要があります。

まとめ

特別寄与料はなかなか認められにくく、請求する金額も自分で計算しなくてはならないため、十分な証拠が必要です。また、特別寄与料の主張・請求には期限があるので、短期間で証拠を集めなくてはなりません。

特別寄与料は制度開始からあまり年数が経過しておらず、判例も少ないため、どこまでの範囲が特別な寄与になるのか、自己判断が難しい面もあります。

相続人が特別寄与料を認めてくれないときや、特別寄与料の請求期限が迫っているときは、相続問題に詳しい弁護士へ相談しておきましょう。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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