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相続手続き

最終更新日:2024.06.28

【ひな形付き】贈与契約書とは?
作成する流れや記載すべき内容を解説

【ひな形付き】贈与契約書とは?作成する流れや記載すべき内容を解説

このコンテンツでわかること

  • ■ 贈与契約書の概要
  • ■ 贈与契約書を作成するメリット
  • ■ 贈与契約書を作成する流れ
  • ■ 贈与契約書に記載すべき内容(ひな形付き)
  • ■ 贈与契約書を作成するときの注意点

財産を贈与する場合、双方に「贈与する・贈与を受ける」の意思表示があると、贈与契約が成立します。子供や孫に生前贈与すると、何かと出費の多い若い世代は喜ぶでしょうし、相続税対策にもなります。

ただし、口約束や、記録のない贈与はトラブルの原因になりやすいため、贈与契約書の作成をおすすめします。

今回は、贈与契約書を作成するメリットや、具体的な作成手順をわかりやすく解説します。生前贈与を考えている方は、贈与契約書のひな形も参考にしてください。

贈与契約書とは

贈与契約書とは、財産を贈与する人と受け取る人の合意や、贈与が行われた事実を客観的に証明する書類です。民法第522条では口頭による契約を有効としていますが、贈与契約書があれば、財産を渡す贈与者と、財産を受け取る受贈者の意思表示を明確化できます。

親族や友人間での贈与は信頼関係を前提としていることが多いため、口頭による契約(口約束)になってしまいがちです。しかし、後々になって、言った・言わないの水掛け論になるなどのトラブルを避けるためにも、書面を交わした方がいいでしょう。

贈与契約書を作成するメリット

現金や不動産などを贈与する場合、贈与契約書を作成すると以下のメリットがあります。

贈与を一方的に取り消せなくなる

贈与契約書を作成した贈与は、一方的な取り消しができなくなります。口頭による契約は当事者の一方の意思で撤回できますが、契約書を作成した契約は契約書が双方の合意契約である証明となるため、一方的に取り消すことはできません。

たとえば、100万円を贈与するという約束をしていたのに、実際に贈与するまでの間に贈与者の気が変わったという場合でも、贈与契約書を作成していれば、贈与者は契約を履行する義務があるため、受贈者は贈与するように請求することができます。

相続トラブルを回避できる

贈与契約書を作成すると、相続発生時のトラブルを回避できます。履歴が残る口座振り込みではなく現金を贈与された場合に、他の相続人から「もっと贈与されているのではないか?」と疑われても、書面があれば実際の贈与額を証明できます

不動産の名義変更がスムーズになる

不動産の名義変更手続きを「所有権移転登記」といい、法務局に申請するときは「登記原因証明情報」という書類を提出しますが、変わる原因などを記載するため、贈与契約書で代用可能です。司法書士に登記を依頼する場合、贈与契約書を求められるので、最初から作成しておいた方がよいでしょう。

また、上場株式を贈与した場合の名義変更の際にも、証券会社から贈与契約書のコピーを求められます。

贈与の事実を税務署に認めてもらえる

贈与契約書の作成は税務調査の備えにもなります。相続税の申告後に行われる税務調査で、生前に行った贈与がしばしば問題となることがあります。

相続税は亡くなったときに所有していた財産に対してかかるため、生前に贈与しておけば相続財産が減少し、相続税の負担を軽くすることができます。

そのため、子供や孫に贈与をする人が多いのですが、贈与後の無駄使いをおそれて、子供や孫名義の口座を作成し、自身でその口座を管理しているという人もいます。このような形の贈与では、もらった人が財産を自由にできないため、贈与が成立したとは認められず、その口座のお金は「名義預金」として被相続人の相続財産として相続税がかかることになります。

また、たとえば毎年100万円ずつ贈与して、キリがいいので1千万円になった10年目で贈与を止めた場合、もともと1千万円を贈与するつもりだったとみなされ定期贈与と判断される可能性があります。定期贈与と判断された場合、1千万円に対して贈与税が課されることになります。しかし、毎年贈与時に贈与契約書を作成していれば、定期贈与とみなされる心配はありません。

せっかく行った相続税対策が無効とならないためにも、贈与契約書は必ず作成しておきましょう。

贈与契約書を作成する流れ

贈与契約書を作成するときは、以下の流れを参考にしてください。

  1. 贈与契約の内容を贈与者と受贈者で決定する
  2. 贈与契約書を2通作成して双方が署名捺印する
  3. 贈与契約書を双方で保管する

1. 贈与契約の内容を贈与者と受贈者で決定する

贈与契約書を作成する場合、まず贈与者と受贈者で契約内容を決定します。高額だったり、不動産のような財産を贈与したりするときは、贈与税がかかるかどうか、受贈者が登記代や納税資金を準備できるかどうかなど、贈与完了後の対応なども話し合っておきましょう

2. 贈与契約書を2通作成して双方が署名捺印する

贈与者と受贈者の話し合いが合意に至ったときは、贈与契約書を2通作成します。契約内容を双方で確認し、間違いがなければ署名捺印してください。名前は印字ではなく、自筆で書きましょう。押印は三文判でもかまいませんが、不動産の贈与の場合、贈与者は必ず実印を押印する必要があります。

また、贈与契約書を重ねて縦にずらし、上部左側の余白に割印しておきましょう。

3. 贈与契約書を双方で保管する

贈与契約書を作成した後は、贈与者と受贈者が1通ずつ保管します。保管する期間は特に決まっていませんが、税務調査を想定し、贈与者の死亡後5年間は廃棄しない方がよいでしょう。

相続税は申告期限(相続開始から10カ月後)から5年後に時効が完成するため、税務調査も基本的には5年以内に行われます。税務調査は申告期限から1年半くらいの時期に行われることが多いようです。

なお、贈与契約書を公正証書として作成すると、原本が公証役場で20年保管されるため、紛失や改ざんのリスクを回避できます。

【ひな形付き】贈与契約書に記載すべき内容

贈与契約書の内容は個別に異なりますが、必ず記載する共通項目があります。日付や金額、贈与財産の書き方にもいくつかのポイントがあるため、具体的な記載内容は以下を参考にしてください。

贈与契約書の必須5項目

贈与契約書を作成するときは、必ず以下の項目を記載してください

  • 贈与契約の締結日

  • 贈与の履行日(実際に贈与を行う日)

  • 贈与財産の情報(金額や種類、所在や数量など)

  • 贈与方法

  • 贈与者と受贈者の住所氏名

なお、日付の記載は和暦・西暦のどちらでも構いません

贈与契約書は用紙サイズや書式に決まりがない

贈与契約書を作成する場合、一般的にはA4サイズの用紙を使いますが、特に決まったルールはありません。また、必須5項目が記載されていれば、縦書き・横書きなどの書式も自由です。

贈与契約書をパソコンで作成しても署名は手書きする

贈与契約書はパソコン作成でも構いませんが、署名は手書きにしてください。手書きの署名であれば、贈与者と受贈者の合意を証明できます

贈与契約書の捺印には実印を使う

贈与契約書に捺印するときは、印鑑登録された実印を使うことをおすすめします。実印による捺印であれば、贈与者と受贈者の意思が明確になるためです。印鑑証明書も添付しておくと、贈与契約書の確実性を担保できるでしょう。

不動産の贈与契約書には収入印紙が必要

不動産を贈与する場合、贈与契約書が印紙税法上の課税文書になるため、収入印紙が必要です。金額の記載がなければ収入印紙は一律200円ですが、不動産の評価額を記載したときや、負担付贈与をした場合は、評価額や取引額に応じた収入印紙を貼付(ちょうふ)します。

なお、負担付贈与とは、たとえば不動産の贈与と引き換えに住宅ローンの残債を支払ってもらうなど、受贈者に何らかの負担(債務)が生じる贈与契約です。

収入印紙は贈与契約書の左上部に貼り付け、用紙とまたがるように消印を押してください。消印は認印・実印のどちらでも構いません。

不動産売買契約書の印紙税の軽減措置(国税庁)

金額や面積などの単位は正確に記載する

現金の贈与契約書を作成するときは、「現金○○円を贈与する」など、受贈者にいくら渡すのか正確に記載してください。

また、不動産の贈与の場合は登記事項証明書の内容に合わせ、家屋の床面積や土地面積を「㎡」の単位で正確に記載します。株式の贈与であれば、必ず株数も記載しておきましょう。

ここまでのポイントを踏まえると、贈与契約書はそれぞれ以下のような記載内容になります。作成の際には、ひな形を参考にしてください。

現金の贈与契約書のひな形

贈与契約書

朝日新一(以下「甲」という。)と朝日昇二(以下「乙」という。)は、以下のとおり贈与契約を締結した。

第一条 甲は乙に対し、現金300万円を贈与することを約束し、乙はこれに承諾した。

第二条 甲は、第一条に基づく現金について、令和○年○月○日までに、乙が指定する○○銀行△△支店 普通預金口座・口座番号1234567に振り込むこととする。なお、この振込みに要する費用は甲が負担する。

以上の贈与契約を証するため本書を2通作成し、甲乙双方が署名捺印の上、各1通を保管するものとする。

以上

令和○年○月○日

(甲)住所 東京都中央区築地○丁目○番地○○号
氏名 朝日 新一 印

(乙)住所 東京都新宿区新宿○丁目○番地○○号
氏名 朝日 昇二 印

上場株式の贈与契約書のひな形

贈与契約書

朝日新一(以下「甲」という。)と朝日昇二(以下「乙」という。)は、以下のとおり贈与契約を締結した。

第一条 甲は乙に対し、甲が保有する以下の株式(以下、「本件株式」という。)を贈与することを約束し、乙はこれに承諾した。

・株式の種類:株式会社ABC製薬(本店 東京都中央区日本橋○丁目○番地○○号)の普通株式
・株式の数量:○○○株(株式番号○○○○)

第二条 第一条に基づく贈与は、令和○年○月○日に行われるものとし、同日をもって、本件株式に関する権利は、乙に移転するものとする。

以上の贈与契約を証するため本書を2通作成し、甲乙双方が署名捺印の上、各1通を保管するものとする。

以上

令和○年○月○日

(甲)住所 東京都中央区築地○丁目○番地○○
氏名 朝日 新一 印

(乙)住所 東京都新宿区新宿○丁目○番地○○
氏名 朝日 昇二 印

不動産の贈与契約書のひな形

【収入印紙を貼付】

贈与契約書

朝日新一(以下「甲」という。)と朝日昇二(以下「乙」という。)は、以下のとおり贈与契約を締結した。

第一条 甲は乙に対し、甲が所有する以下の不動産(以下、「本件不動産」という。)を贈与することを約束し、乙はこれに承諾した。

(土地)
所在 東京都渋谷区渋谷○丁目
地番 ○番○○号
地目 宅地
地積 253.02㎡

(家屋)
所在 東京都渋谷区渋谷○丁目○番地○○号
家屋番号 ○番○号
種類 居宅
構造 木造スレート葺 2階建
床面積 1階77.00㎡ 2階52.05㎡

第二条 甲は乙に対し、令和○年○月○日までに本件不動産を引渡し、かつその所有権移転登記手続きを行う。なお、本件不動産の所有権移転登記手続きに必要な費用は、すべて乙が負担する。

第三条 本件不動産に係る公租公課は、所有権移転登記の日までに相当する部分を甲の負担とし、その翌日以降に相当する部分を乙の負担とする。

以上の贈与契約を証するため本書を2通作成し、甲乙双方が署名捺印の上、各1通を保管するものとする。

以上

令和○年○月○日

(甲)住所 東京都中央区築地○丁目○番地○○
氏名 朝日 新一 印

(乙)住所 東京都新宿区新宿○丁目○番地○○
氏名 朝日 昇二 印

贈与契約書を作成するときの注意点

贈与契約書の作成時には以下の点に注意してください。

未成年者に贈与するときは親権者の署名捺印が必要

未成年者は法律行為が制限されるため、贈与契約書を作成するときは親権者の署名捺印も必要です。親権者は基本的に未成年者の法定代理人となるため、親の署名捺印があれば贈与契約が成立します

また、幼い子供が受贈者になる場合、本人の署名を親権者が代筆しても構いません。代筆した際は、署名欄の下部に「親権者○○が代筆」と記載します。

贈与契約が無効になるケース

生前贈与が契約どおりに行われても、以下のようなケースは無効になるため注意が必要です。

  • 贈与者が契約どおりに贈与を履行しない場合(法定解除)

  • 贈与者と受贈者の合意で贈与を無効にする場合(合意解除・解約)

  • 詐欺や脅迫による贈与契約や、誤った認識で締結された贈与契約(法定取消)

すでに贈与税を納めているときは、税務署に「更正の請求」をすると還付してもらえます。ただし、不動産贈与を無効にする場合、所有権を贈与者に戻さなくてはなりません。

まとめ

贈与契約書を作成すると、贈与者と受贈者の合意が明確になるため、贈与が履行される確実性も高くなります。また、贈与契約書があれば、税務調査で相続税の申告漏れなどを指摘されても、贈与によって受贈者に移転している旨を証明できます。

ただし、一定額以上の贈与をすると、贈与税の申告と納付が必要になります。贈与契約書の作成方法に迷ったときや、税負担の軽い贈与にしたいときは、相続の専門家に相談してみましょう。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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【出典元】
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