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最終更新日:2024.09.30

寄帳とは?
請求できる人と取得方法、
必要書類について解説

名寄帳とは?請求できる人と取得方法、必要書類について解説

このコンテンツでわかること

  • ■ 名寄帳とは何か
  • ■ 名寄帳の取得方法、費用、請求できる人
  • ■ 名寄帳の見方、請求するときの注意点

相続が発生したら、まず被相続人(亡くなった人)の相続財産を確定させる必要があります。相続財産としてどのような財産がどれくらい遺されているのかがわからないと、遺産分割協議を進めることができず、相続税の申告もできません。

相続財産のうち不動産については、「名寄帳(なよせちょう)」を利用することによって被相続人が所有する不動産を正確に把握できますが、この名寄帳とはどのようなものなのかご存じない方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、名寄帳の概要を紹介し、名寄帳の取得方法や見方、注意点などをわかりやすく解説します。

名寄帳とは?

名寄帳とは、市区町村が土地や家屋など固定資産の所有者から固定資産税を徴収するために、固定資産課税台帳を所有者ごとに一覧表にまとめた台帳です。

固定資産税が課税される土地や家屋などの不動産は、市区町村において、通常、固定資産課税台帳により管理されており、この台帳にはその不動産の所有者、所在地、面積、評価額などの内容が、土地は一筆ごと、家屋は一棟ごとに記載されています。この固定資産課税台帳の内容を、所有者ごとにまとめた(名寄せした)ものが名寄帳です。

したがって、名寄帳と固定資産課税台帳の記載内容には基本的に大きな違いはなく、市区町村によっては名寄帳が固定資産課税台帳を兼ねているところもあります。ただし、固定資産税が課税されない不動産については、名寄帳には記載されますが、固定資産課税台帳には記載されていない場合があります。

名寄帳は市区町村ごとに作成されるため、複数の市区町村に不動産を所有している場合は、それぞれの市区町村で名寄帳を取得する必要があります。

名寄帳が必要になる場面

このように、名寄帳を見れば、市区町村ごとに特定の個人が所有している不動産を一覧表で確認できます。相続が発生した場合、被相続人が所有する財産を確定する必要がありますが、相続財産のうち不動産については、名寄帳を利用することで明らかになります。遺産分割や相続税の申告、2024年4月から義務化された相続登記など、被相続人の所有する不動産を正確に把握する必要がある場合に、名寄帳は有効です。

以下のように、被相続人が所有するすべての不動産を把握できていない場合は、必要に応じて名寄帳を活用して確認するとよいでしょう。

固定資産税の課税明細書が見つからない

被相続人が所有する不動産は、毎年4月から6月頃に市区町村から送付される固定資産税納税通知書に同封されている課税明細書で確認できますが、ときには被相続人の自宅などから課税明細書が見つからないということもあります。

この場合は、相続人が固定資産税の課税明細書の再発行を依頼できますが、被相続人が所有する不動産を把握するには、より網羅性の高い名寄帳を取得するほうが確実です。

固定資産税が課税されない不動産を被相続人が所有している

固定資産税の課税明細書には、課税対象となっている不動産のみが記載されている場合があります。このため、被相続人が所有する不動産に固定資産税が課税されない不動産(私道、農地、山林など)があると、課税明細書では確認できないことがあります。

名寄帳には、固定資産税が課税されない不動産も記載されているため、すべての不動産を把握できます。

被相続人が共有名義の不動産を所有している

共有名義の不動産については、固定資産税の課税明細書は代表者に送付されるため、被相続人が代表者以外の共有者であった場合には、課税明細書が手元にないことがあります。

単独所有の不動産が記載されている名寄帳には、共有名義の不動産は記載されていないため、別途取得する必要があります。

名寄帳を請求できる人

名寄帳には個人の資産に関する内容が詳細に記載されているため、誰でも請求できるものではありません。名寄帳を請求できるのは、原則として固定資産税の納税義務者である所有者に限られます。ただし、所有者が亡くなっている場合は、法定相続人であれば請求できます。

なお、相続人以外にも、委任状があれば代理人も名寄帳を請求できるため、必要に応じて税理士や司法書士などに依頼するとよいでしょう。

名寄帳の取得方法

相続人が名寄帳を取得するには、被相続人が所有する不動産の所在地の市区町村役場(東京23区の場合は都税事務所)で必要な手続きをします。直接、役場の窓口で申請する場合は、その場で名寄帳を取得できます。

被相続人が所有する不動産が遠方にある場合などは、郵送で名寄帳を取得できます。郵送の場合は、名寄帳を取得するのに1週間程度かかります。

名寄帳の取得に必要な書類

相続人が名寄帳を取得するときに必要な書類は、市区町村によって異なりますが、一般的には以下の書類となります。申請者の本人確認書類のほかに、相続特有の書類が必要になりますので、事前に市区町村役場に確認のうえ、不足がないように準備してください。

  • 市区町村所定の名寄帳交付申請書

  • 申請者の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)

  • 被相続人(所有者)の死亡の事実を確認できる書類(除籍謄本、戸籍附票、除住民票など)

  • 申請者が相続人であることがわかる書類(戸籍謄本等、登記官の認証文付き法定相続情報一覧図の写しなど)

  • 相続人以外の者が代理人として申請する場合は、委任状

名寄帳の取得にかかる費用

名寄帳の取得にかかる費用は、市区町村によって異なり、1通あたり300円前後かかります。

なお、郵送で名寄帳を取得する場合は、郵便局で購入した定額小為替で手数料を支払うことになるため、手数料相当分の定額小為替を同封する必要があります。必要書類とあわせて手数料についても、事前に申請する市区町村役場のホームページなどで確認しましょう。

名寄帳の見方

名寄帳の様式は市区町村によって異なりますが、基本的に次のような内容が記載されています。名寄帳の記載内容から、被相続人が所有する不動産を把握したり、その不動産のおおよその相続税評価額を計算したりすることもできます。

なお、名寄帳の記載内容は固定資産税の課税明細書と大きな違いはありませんが、名寄帳には固定資産税が課税されていない不動産も必ず記載されています。

所有者に関する内容

固定資産税の納税義務者は、毎年1月1日現在の固定資産の所有者です。したがって、名寄帳にもその年の1月1日時点の不動産の所有者の住所と氏名が記載されています。

土地に関する内容

納税義務者が所有する土地については、主に以下のような内容が記載されています。

所有形態

所有する土地が、「単独(単独所有の土地)」「共有(共有の土地)」「区分(マンションなどの敷地)」のいずれであるかが記載されています。

所在地

登記簿や固定資産課税台帳に登録されている土地の所在地・地番が記載されています。地番とは、土地の単位ごとにつけられた登記のための番号で、市区町村で住居表示が実施されている場合は住所と地番が異なることがあります。

地目・地積

登記簿または固定資産課税台帳に登録されている内容と、実際に固定資産税が課税されている内容が記載されています。地目とは、宅地、田、畑、山林などの土地の種類のことで、地積は、所有している土地の面積(単位は㎡)です。

固定資産価格

土地の固定資産税の課税の基準となる固定資産税評価額が記載されています。この評価額は、3年に1度見直されます。なお、マンションなどの敷地については、その敷地全体の評価額が記載されています。(市区町村によっては敷地権割合で按分された価格が記載されている場合もあります)

固定資産税(都市計画税)課税標準額

固定資産税と都市計画税を計算するときに用いられる、それぞれの課税標準額が記載されています。通常、固定資産税評価額と固定資産税課税標準額は同一の金額となりますが、特例措置などによって固定資産税の負担が調整されている場合には、課税標準額は評価額よりも低くなります。

持分

共有または区分所有の土地については、登記簿または固定資産課税台帳に登録されている所有者の持分が記載されています。

登記名義人

登記簿に登記されている土地の登記名義人が記載されています。

家屋に関する内容

家屋についても、土地と同じように、所有形態、所在地、固定資産価格、固定資産税(都市計画税)課税標準額、持分、登記名義人などの内容が記載されています。

なお、土地の場合は地目・地積が記載されていますが、家屋の場合は、種類(家屋の用途に応じて、居宅、事務所、工場、倉庫など)と床面積が記載されています。

相続人が名寄帳を請求する際の注意点

相続人が名寄帳を請求するときには、いくつか注意しておかなければならない点があります。特に、被相続人が所有していた不動産を把握しきれていない場合には、事前に以下の注意点を確認したうえで、名寄帳を活用するようにしてください。

年の途中での購入や売却は名寄帳に反映されていない

固定資産税の納税義務者はその年の1月1日時点の所有者であることから、名寄帳には、その年の1月1日時点の固定資産課税台帳(補充課税台帳)に記載されている所有者ごとに、不動産の所有状況が記載されています。そのため、たとえば被相続人が1月2日以降に不動産を購入していた場合、その不動産はその年の被相続人の名寄帳には記載されていません。また逆に、被相続人が1月2日以降に不動産を売却していた場合には、その不動産はその年の被相続人の名寄帳に記載されています。

このように、年の途中での不動産の売買などは名寄帳に反映されないため、被相続人が亡くなった年に不動産を売買しているときには、名寄帳は相続が発生した時点の所有状況と異なっているケースがあります。このような場合には、売買契約書や登記事項証明書を確認する必要があります。

市区町村ごとに名寄帳を取得しなければならない

名寄帳は、市区町村が固定資産税を徴収するために、その市区町村内に所在する不動産を対象に作成するため、他の市区町村に所在する不動産については記載されていません。そのため、被相続人が複数の市区町村に不動産を所有する場合は、それぞれの市区町村ごとに名寄帳を申請する必要があります。

たとえば、投資用物件を所有している場合、確定申告書で確認できます。別荘を所有している場合は、毎年、別荘の所在する市区町村から住民税5,000円が徴収されるため、住んでいない市区町村へ住民税を支払っているときには別荘を所有している可能性があり、納付書や通帳で確認できます。

個人の名寄帳には法人名義の不動産は記載されていない

個人の名寄帳に記載される不動産は、個人名義で取得したものに限られています。そのため、たとえば被相続人が会社を経営していて、その会社の法人名義の不動産があったとしても、その法人名義の不動産は被相続人の名寄帳には記載されません。このような場合には、個人の名寄帳とは別に、法人名義の名寄帳を取得する必要があります。

まとめ

名寄帳があれば、被相続人が所有する課税対象の不動産について把握することができます。

これによって、遺産分割を円滑に進め、相続税の申告を正しく行うことができます。また、相続登記を漏れなく行うこともできます。特に、被相続人が複数の不動産を所有していたり、固定資産税が課税されない不動産を所有していたりするときには、相続財産を漏らさず把握する手段として名寄帳は有効です。

被相続人の保有していた不動産を正確に把握できていないと、相続税の申告漏れや相続登記の登記漏れなどにつながり、ペナルティが科されることがあります。相続財産を正確に把握するためには、名寄帳を取得することをおすすめします。名寄帳の取得方法や注意点などを事前に確認したうえで、遺産分割協議、相続税申告、相続登記などの場面で名寄帳を活用できるよう、早めに取得しておくとよいでしょう。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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