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磯﨑 泰介 先生
いそざきファミリークリニック 院長

腎臓は腰骨の少し上に二つあり、大きさは握りこぶしほどですが、生きていくために不可欠な臓器です。1日およそ30回、全ての血液をろ過して老廃物は尿として体の外に出し、体に必要な成分は残すようふるい分けもしています。また、血圧調整や血液を作ったり骨を丈夫にすることも腎臓の役割です。
腎臓病は、感染症などを除いて自覚症状がほとんどありません。気付かないうちに静かに進行するため、症状が出た時には命に関わることもあります。初期の症状としてよくみられるのが尿の泡立ちです。このほか足やまぶたのむくみ、血圧の上昇、夜間の尿量の増加など、思い当たることがあれば受診を検討してください。
慢性腎臓病(CKD)の定義には大きく二つの項目があります。 尿検査・血液検査などで腎障害が明らかである(特に蛋白尿が出ている場合)こと、そして、eGFR(推算糸球体ろ過量)の数値が60未満であること。この二つのいずれか、または両方が3ヶ月以上続くとCKDと診断されます。メタボリックシンドロームの方、高血圧・糖尿病・肥満などの生活習慣病がある方、過去に心臓病や腎臓病を患ったことがある方などは要注意です。
現在、わが国のCKD患者数は約2,000万人と推計され、新たな国民病といわれています。CKDは放っておくと腎機能低下が進み、いずれ透析や移植が必要な状態になったり、脳卒中や心不全などのリスクが高まるため対処が必要です。
CKDの治療の3本柱は生活習慣の改善、食事療法、薬物療法です。特に生活習慣と食事は予防のためにも役立ちますので、ぜひ取り組んでください。まず、生活習慣の改善のポイントは ①禁煙 ②飲酒を適量に抑えること ③ウォーキングなどの適度な運動 ④適切な睡眠 ⑤便秘の改善 ⑥歯周病予防を含む口腔ケアなどです。水分をとることも重要で、なるべく1日1.5リットルほどとってください。食事は減塩が大切です。薬物療法では、原因となる糖尿病や高血圧の治療薬を使用します。ほかにも、CKDの進行に伴って現れるむくみなどの症状に対する治療薬や、脂質異常症、高尿酸血症などの合併症に対する治療薬などを使用します。

さらにCKDの治療においては ①患者さん自身がCKDについてきちんと知ること ②治療を根気強く継続すること ③医療者や家族など治療を支える仲間を持つことが欠かせません。そして、CKD は採血や尿検査で容易に発見できる病気ですので、早期発見のために定期的な健康診断の受診を心がけましょう。また、現在は腎臓病の進行を遅らせる薬も使用されるようになりましたので、CKDと診断されても、希望を持って治療に取り組んでいただきたいと思います。