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市川 和子 先生
岡山県栄養士会 医療事業部部長

今日は養生訓として知られる健康十訓(則)のうち、食事療法にあたる「少塩多酢」「少糖多果」「少肉多菜」「少食多噛」の四つをもとにお話しします。
少塩多酢▶︎CKD予防における1日の塩分摂取量の目標は、6g未満です。そのため、味付けは料亭のお吸い物よりも薄味を目指しましょう。和食の中でも煮物は塩分が多くなりがちですので、比較的塩分が少ない揚げ物や炒め物、酢の物などを組み合わせて、全体的に塩分量を減らす工夫が大切です。減塩調味料なども取り入れるとよいですね。また、しょうゆなどは食卓に置かず、小皿に少し出して使うようにしてみてください。これも減塩につながります。ほかにも、漬物や佃煮は避け、汁物は1日1杯を目安として汁は少なく具だくさんにするとよいでしょう。また、外食時は丼物よりも定食を選ぶと塩分の量を調整しやすくなります。

少糖多果▶︎国民栄養調査(令和元年)によると、果物や豆類の摂取が減少傾向にあり、加工飲料などが増えています。しかし、果物や豆類は食物繊維が豊富で排便効果が期待でき、CKD対策の一つである便秘改善にもつながりますので摂取することをお勧めします。例えば、リンゴはジュースで飲むよりも、生のリンゴを噛んで食べるほうがゆっくり食べられ、血糖値の上昇も抑えられますので、意識してみてください。血糖値の上昇を防ぐための対策として、主食のご飯でも工夫が可能です。冷たいご飯や冷凍して温めたものは、炊き立てよりも血糖値の上昇が抑えられますので、ぜひ試してみてください。
少肉多菜▶︎筋肉を維持し、フレイル・サルコペニアを予防するために、タンパク質をしっかりとることが大切です。タンパク質をとる時、肉に偏ると脂質異常症や動脈硬化が進行することがありますので、肉を少なくして魚を増やしましょう。鮮魚の値段が高ければ、サバなどの水煮缶を使用する方法もあります。ただし、タンパク質を必要以上にとると老廃物が体内に溜まるため、腎機能の低下に伴いタンパク質の制限が必要になります。その場合は、低蛋白食品などを取り入れるとよいでしょう。この時、エネルギーは必要ですので、パンにバターとジャムを塗るなど摂取エネルギーを落とさない工夫も大切です。
少食多噛▶︎肥満の方ほど、一口の量が多く、あまり噛まずに早食いである傾向があります。血糖値の上昇を穏やかにするためにも、食事は少しずつよく噛んで食べるようにしましょう。
このほかの食事のポイントとして、血圧を下げる働きがあるカリウムは腎臓病の予防のためには必要ですが、CKD患者さんではカリウムの排泄がうまくできず、カリウム摂取量の制限が必要になる場合があります。腎機能の状態にあわせたカリウムのとり方に注意しましょう。