コアラのマーチに入っているのはチョコレート。授業は、その原料をたどるところから始まった。まず研究担当の高木先生が、チョコレートはカカオマスや砂糖などから作られることを説明し、製造工程を動画で紹介した。おなじみの「ガーナチョコレート」の商品名が、原料となるカカオ豆の生産国であるガーナに由来すると知った子どもたちは、「ガーナってどこにあるの?」と関心を寄せた。
次に高木先生が取り出したのは、本物のカカオポッド(カカオの実)だ。ラグビーボールのような形の実を切ると、中から白い果肉に包まれたカカオ豆が現れた。「これがチョコレートになるの?」と驚く子どもたち。先生からは、カカオ豆は加熱処理することでチョコレートの風味が引き出されることも説明された。また、カカオ豆の皮(カカオハスク)は、従来は捨てられていたが食物繊維が豊富なことで知られる。そこでロッテでは、カカオハスクを活用し「もったいな〜い!なコアラのマーチ」として商品化(販売休止中)。おいしさと資源の有効活用、この双方の両立に挑んだ。
続いてマーケティング担当の久保田先生が、環境配慮の取り組みを解説した。ロッテは創業100周年となる2048年に向けて、「ロッテミライチャレンジ2048」を掲げて環境負荷低減を進めている。具体的には「エネルギー起源CO2排出量を2028年度までに23%以上削減する」「2048年度までにカーボンニュートラルを達成する」といった目標だ。
身近な例として紹介されたのが、コアラのマーチのパッケージだ。古紙を原料とする再生紙が積極的に採用されているという。さらに、商品をまとめるトレーの高さを45ミリから34ミリにすることで紙の使用量を削減。「年間で、東京ドーム約1.3個分もの面積の紙の使用を減らせました」と久保田先生が解説すると、教室には驚きの声があがった。加えて、コアラのマーチの輸送に使われる段ボールの重さを4%削減。他のお菓子会社と連携した効率的な配送方法も、CO2排出量の削減につながったと説明された。
おなじみの商品が、さまざまな工夫によって環境負荷の低減に貢献していることが数値で示され、子どもたちは熱心にメモを取りながら聞き入っていた。
授業の終盤は、「コアラのマーチ」の看板とも言えるコアラに話題が広がった。野生のコアラは、オーストラリアの東海岸の限られた森林エリアにしか生息していないことや、ユーカリの葉だけを食べ、一日の大半を眠って過ごす生態が紹介されると子どもたちは興味津々。一方で、都市開発や森林火災などの影響で、生息数がかつての数百万頭から十万頭以下にまで減少している現状も伝えられた。
「コアラのマーチを通じて、野生のコアラを守っていくというメッセージを伝えていきたい」と久保田先生。ロッテは1994年から「オーストラリア・コアラ基金」のゴールドスポンサーとして、生息地調査や植樹などの活動を支援している。コアラのマーチのパッケージには、この基金のマークが表示されている。
久保田先生は「地球環境を守ると言うと、壮大すぎて自分には関係ないと思うかもしれない。でも実は、小さなことの積み重ねが大きな力となる。ごみの分別など、自分たちにできることから取り組んでいきましょう」と授業を締めくくった。子どもたちにとっては、身近なお菓子をきっかけにグローバルな視点で地球環境を考える機会となった。
4年生は現在「環境にやさしい町づくり」について学んでいます。普段のごみ問題についての学びの発展的なものとして、身近なお菓子をつくる会社の環境活動への取り組みを知り、有意義でした。品質を維持しながら環境負荷を減らす姿勢も、とても印象的でした。
本校では1学期に、SDGsの17の目標について「興味のある項目を調べる」という学習を行いました。今回、子どもたちは大好きなお菓子とSDGsや地球環境とのつながりを理解できたと感じます。今後はリサイクルなど、日々の実践につなげてほしいですね。
左は、「オーストラリア・コアラ基金」のロゴマーク。世界20カ国以上で販売されている「コアラのマーチ」のすべてのパッケージに印刷されている。右は、サステナブル絵柄の地球環境を守る「SAVE THE EARTH コアラ」。この他に「残さず食べようコアラ」「エコバッグコアラ」などがある。



似内裕一さん