アルミニウムは鉄や銅に比べて軽く、他の金属と混ぜることで高い強度を発揮する。子どもたちはまず、アルミニウム・鉄・銅の立方体を手に持ち、重さの違いを実感した。次に、ほぼ100%アルミニウムの棒と、他の金属を少し混ぜた「アルミ合金」の棒を曲げる実験に挑戦。前者は簡単に曲げられるが後者はびくともせず、教室には驚きの声があがった。
軽さと強さを併せ持つアルミニウムは、さまざまな場面で活躍している。たとえば自動車にアルミニウムを用いると、強さを維持しながら車体を軽くできる。軽くなるほど動かすエネルギーは少なくてすむため、使うガソリンや電気の量が少なくなり、地球温暖化の原因のひとつである二酸化炭素の排出量を減らせるのだ。
さらに授業では、アルミニウムやガラスなどでできた皿に氷をのせ、溶ける速さを比較する実験も行われた。他の皿と比べて、アルミニウムの皿の氷はみるみるうちに溶けていく。熱を伝える力(熱伝導率)が高いのだ。先生は、「この特長を生かし、アルミニウムはエアコンの熱を交換する部品に使われます」と解説した。
続いて取り上げられたのは、アルミニウムのリサイクルについて。たとえばジュースやお茶などの容器には、アルミ缶や鉄でできたスチール缶、プラスチックでできたペットボトルなどがある。
基本的にはどれも「集めて」「溶かして」「形作る」という手順でリサイクルされるが、アルミニウムのリサイクルのしやすさは「溶かす」という点にある。アルミニウムは比較的低い温度で溶けるため、原料のボーキサイトから新たにアルミニウムを作るのに必要なエネルギーを100とすると、リサイクルするのに必要なエネルギーはたったの3ほどですむという。
授業では、日本のアルミ缶のリサイクル率が、2024年度は約99・8%に達したことがクイズ形式で示された。その率の高さに、「えー!」と声をあげる子どもたち。アルミ缶の分別という自分たちにもできる行動が、大切な資源や地球環境を守ることにつながっていると実感できたようだ。
先生は「日常生活のなかで、アルミニウムの製品に目を向けてみましょう。さらにリサイクルを意識することが、地球にやさしい行動につながります」と授業を締めくくった。
授業に加えて、滋賀県にあるUACJ押出(おしだし)加工滋賀を見学したのは、近江八幡市立武佐小学校の子どもたちだ。工場内で交わされるあいさつは「ご安全に」。大きな機械や設備が動く製造現場では、安全を最優先とする姿勢が何よりも大切なのだ。
子どもたちは、約500℃に加熱されたアルミニウムの素材が金型を通って押し出され、さまざまな形に加工される様子や、高温のアルミニウムが急速に冷やされて縮む場面などを目の当たりにし、ものづくりの迫力と工夫に目を輝かせた。安全への配慮と技術の積み重ねがあってこそ、私たちの暮らしを支え、地球にもやさしいアルミニウムの製品がつくられていることを、現場で学ぶ機会となった。
さまざまな実験を通して「重さ」や「冷たさ」といった感覚を実際に体験することで、子どもたちにとっては学びが深まるだけでなく、思い出にも残る授業になったと感じます。子どもたちがクイズの答えに驚く表情や、実験に目を輝かせる姿がとても印象的でした。
本校では総合や社会や理科で、SDGsとリサイクルについて学んでいます。5年生は1学期の総合で、各自がテーマを決めSDGsについて調べたりまとめたりしたところでした。出張授業での学びによって、リサイクルがさらに自分ごとになったと感じます。
環境やSDGsを、家庭科や社会などで横断的に学んでいます。本校では今回の出張授業のタイミングに合わせ、本来3学期に学ぶ内容を2学期に組み替えるなど調整してきました。実験が多い体験型の授業や工場見学は、子どもたちが楽しく取り組めて良いですね。
アルミニウムの特長を生かして、車のボディに使ったり、アルミ缶を再生利用したりすることで、地球にやさしいエコ活動につながる。



新井佳代子さん