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遺産分割

最終更新日:2022.05.30

償分割で譲渡所得税がかかるケース
【税金計算方法とは?】

このコンテンツでわかること

  • ■ 代償分割で譲渡所得税がかかるケースがわかる
  • ■ 代償分割の譲渡所得税の計算方法がわかる
  • ■ 代償金が不動産取得費にならない理由がわかる

相続した財産の額に偏りがあるときは、「代償分割」で差額を調整できます。たとえば、5,000万円の不動産と現金1,000万円が相続財産だった場合、長男が不動産、次男が現金を相続すると、両者の取得額は4,000万円の差になります。このようなケースでは、長男が次男へ代償金2,000万円を支払えば、両者の取得額は3,000万円ずつになるため、不公平な相続は解消されます。

ただし、現金の代わりに不動産を代償としたときは、譲渡所得税がかかる可能性があります。状況によっては相続税も発生するので、納税額が「相続税+譲渡所得税」になり、代償分割が原因で税負担が重くなる可能性もあります。今回は代償分割と譲渡所得税の関係を解説しますので、現金以外での代償分割を考えている方は参考にしてください。

代償分割で譲渡所得税がかかるケース

現金で代償金を支払っても課税はされませんが、現金の代わりに不動産で代償としたときは、譲渡所得税がかかるケースがあります。対象となる不動産の取得費よりも、代償分割したときの時価が高かったときは、差額が譲渡所得(利益)とみなされ、譲渡所得税がかかるという理屈です。

また、相続財産が一定額を超えると相続税もかかるので、状況によっては相続税と譲渡所得税の両方を納めなければならないこともあります。

ではどのようなケースで譲渡所得税がかかるのか、具体例や計算方法をみていきましょう。

代償分割の譲渡所得税計算方法

譲渡所得税がかかる代償分割の具体例として、現金の代わりに土地を代償としたケースが挙げられます。土地の評価額を決める方法はいくつかありますが、代償分割するときは原則として代償分割時の時価で代償金の額を決定します。

また、譲渡所得税は「所得税+住民税+復興特別所得税」の総称であり、不動産の所有期間が5年以内であれば税率約39%、5年超のときは約20%が適用されます。

では、土地を代償としたときの譲渡所得税について、わかりやすい計算例を解説します。

譲渡所得税の計算例

現金以外の財産(土地)で代償分割したときは、以下のように譲渡所得税を計算します。

  • 相続財産:土地7,000万円、現金1,000万円

  • 遺産分割内容:長男が土地、次男が現金を取得

  • 代償分割内容:長男の所有地で代償(取得費2,000万円、時価3,000万円、所有期間10年)

長男の所有地3,000万円を次男に譲れば、お互いの取得額は4,000万円ずつになります。ただし、長男は取得費2,000万円の土地を3,000万円で譲渡した形になり、1,000万円の収益(譲渡所得)が出たとみなされるため、以下のように譲渡所得税がかかります。

  • 計算式

  • 譲渡所得:時価3,000万円-取得費2,000万円=1,000万円
    譲渡所得税:1,000万円×20%=200万円

上記の例で相続税を計算すると、長男・次男ともに235万円ずつの相続税になるため、最終的な納税額は以下のようになります。

  • 長男435万円(譲渡所得税200万円、相続税235万円)

  • 次男235万円

【補足】代償分割で支払った現金は取得費に算入できない

代償分割するときは、取得費の考え方を間違えやすいので要注意です。

たとえば長男が土地を相続するため、次男へ代償金を支払った場合ですが、見方によっては代償金を支払うことで土地を取得できたと解釈できますね。つまり「代償金=土地の取得費」といえるわけですが、税法では、次のような理由から代償金の取得費算入を認めていません

相続財産の取得費にならない理由

遺産分割協議の結果として長男が土地を取得することになった場合、その土地は相続開始時に遡って長男のものであったことになります。つまり、相続後に他の相続人から買い取った財産ではないということですね。

代償分割では、債務者(代償金を支払う人)と債権者(代償金をもらう人)の関係も成り立ちますが、代償金の支払いは債権・債務の相殺が目的です。したがって、相続財産の取得代価にはあたらないため、取得費にも算入できないという考え方です。

ちなみに、不動産を共有で相続した後に、他の相続人の共有分を買い取った場合であれば、買取代金を取得費に算入できます。

借入金の利息も取得費には算入できない

代償金の支払い原資がないときは、不動産担保ローンなどで代償金を準備するケースもあります。相手(代償金をもらう人)には一括で支払いますが、金融機関には毎月の返済があり、利息も発生します。ただし、前述の例と同じく土地を買い取るための資金ではないため、付帯的に発生する支払利息も取得費には算入できません

譲渡所得から取得費を控除できるケース

代償分割する・しないを問わず、相続した土地を売却するときは、譲渡所得から取得費を控除できます。ただし、この場合の取得費は「被相続人が取得したときの価額」を引き継ぐことになるので、当時の取得費を調べなければなりません。

手元に取得額がわかる書類がなければ、法務局から登記事項証明書を取り寄せる、または土地購入を仲介した不動産会社に問い合わせてみましょう。登記事項証明書には抵当権の情報も記載されているので、借入金で購入していた場合は金融機関名がわかります。また、不動産会社にも当時の売買契約書が残っていることがあります。

なお、取得額がわからないときは売却額の5%を取得費とすることもできますが、譲渡所得税が高額になりやすいので注意してください。

具体的には次のようなケースがあります。

取得費不明の土地売却で譲渡所得税が高くなるケース

前述したように、土地の取得費がわからない場合、国税庁のタックスアンサーでは「売った金額の5%相当額を取得費とすることができる」としています。では、1,000万円で取得した土地を5,000万円で売ったとき、取得費がわかっている場合と、不明な場合の譲渡所得を比べてみましょう。

【取得費がわかっている場合】
  • 計算式

  • 譲渡所得:5,000万円-1,000万円=4,000万円

【取得費が不明な場合】
  • 計算式

  • 取得費:5,000万円×5%=250万円
    譲渡所得:5,000万円-250万円=4,750万円

売却価格の5%を取得費にした例では、譲渡所得が750万円高くなるため、譲渡所得税も高くなってしまいます。土地の取得費がわからないときは税金も高額になりやすいので、取得時の状況がわかる書類はできるだけ探すことが大切です。

まとめ

代償分割の対象は不動産になるケースが多いため、代償金も高額になりがちです。まとまった資金がなければ土地を代償とすることもできますが、現金や預貯金と異なり、取得時の価格と代償時の時価に差があるため、譲渡所得税を考慮しなければなりません。

また、時価の評価方法や土地の所有期間などが税額に影響するため、不慣れな人の計算は申告ミスも起きやすくなっています。取得費の考え方も少々わかりにくいので、代償分割や土地売却の税額計算に不安のある方は、相続の専門家に相談されることをおすすめします。

税理士 桑原 弾
  • この記事の監修者

  • 税理士 桑原 弾

昭和55年生まれ、兵庫県出身。
大学卒業後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した知識」と「元国税調査官としての経験」の両輪を活かして相続税申告を実践している。

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