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遺産分割

最終更新日:2023.07.31

同相続人とは?
法定相続人との違いや
遺産を共有状態で相続するリスクを解説

共同相続人とは?法定相続人との違いや遺産を共有状態で相続するリスクを解説

このコンテンツでわかること

  • ■ 誰が共同相続人になるのか
  • ■ 共同相続と単独相続の違い
  • ■ 遺産を共有状態で相続するリスク

被相続人(亡くなった人)の遺産を相続するときには、「共同相続人」や「法定相続人」など聞きなれない専門用語に出会うでしょう。この二つの言葉は、どちらも相続権のある人を指す言葉ですが、遺産分割や相続手続きの際に使い分けることがあるため、それぞれの違いを把握しておきましょう。

今回は、共同相続人や法定相続人、単独相続などの違いをわかりやすく解説します。

共同相続人とは

共同相続人とは、相続財産を共有している相続人を指す法律用語です。被相続人が亡くなったときに相続人が複数いる場合、被相続人の財産である遺産は、遺産分割が完了するまで法定相続分に応じた共有状態となります。その後、遺産分割協議という相続人同士の話し合いによって、遺産をどのように分けるかが決まれば相続人固有の財産となります。

つまり、遺産を相続人が共有している状況を「共同相続」、共同相続している相続人を「共同相続人」といいます。

法定相続人との違い

法定相続人とは、民法で定められた遺産を相続する権利を有する人のことで、被相続人の配偶者と一定範囲の血族が法定相続人になれます。配偶者は常に法定相続人となり、配偶者以外の人には相続できる優先順位(相続順位)が定められています。

共同相続人は、遺産分割が確定するまでの間、被相続人の財産を共有で相続している状態にある人を指すのに対し、法定相続人は被相続人との関係性によって相続する権利を有する人を指しています。

共同相続人の調べ方

共同相続人は、被相続人の戸籍謄本で調べられるため、被相続人の本籍地の市区町村役場に交付請求してください。

なお、共同相続人を調べるときは被相続人の結婚や離婚、養子縁組、廃除などを確認する必要があるため、生まれてから亡くなるまでの連続したすべての戸籍謄本を取得しましょう。死後認知がなされていない場合は、調査時点で判明していない共同相続人がいる可能性もあるため注意が必要です。

本籍地が遠方の場合、郵送による取得もできますが、転籍が多いとすべての戸籍が揃うまでに数カ月かかることもあるため、できるだけ早めに調べることをおすすめします。なお、2024年3月1日から戸籍謄本等の広域交付制度が始まり、本籍地以外の最寄りの市区町村役場でも戸籍謄本の請求が可能です。

共同相続と単独相続の違い

共同相続は複数の相続人が遺産を共有している状態を指すのに対し、単独相続は遺産を1人で相続することを指します。

単独相続は、相続人が1人であることを指す場合もあれば、1人ですべての遺産を相続することを指す場合もあります。

遺産分割協議の要否

遺産分割協議とは、相続人同士で遺産の分け方を決めるために話し合うことです。遺産分割協議は相続人全員の合意が必要であり、合意が成立しないままでは遺産を分割できません。

相続人が複数いる場合に遺言書がなければ、共同相続となるため、必ず遺産分割協議を行わなければなりません。一方、相続人が1人だけで単独相続となる場合には、遺産分割協議は必要ありません。

なお、相続人が複数いる場合に他の相続人が相続放棄や相続欠格、相続廃除によって遺産を引き継がず、1人の相続人が単独相続するときにも、他の相続人が同意している証明として遺産分割協議書の作成は必要となるため注意しましょう。

相続税の連帯納付義務

共同相続人として気を付けなくてはならないのは、相続税の連帯納付義務です。同一の被相続人から相続または遺贈により財産を取得したすべての人に相続税の連帯納付義務があるため、他の相続人が期限までに相続税を納めていない場合、同じ被相続人から財産を引き継いだ共同相続人は連帯して未納付分の相続税を納める義務を負います。

相続税の納付は、その相続により受けた利益の価額を限度として、お互いに連帯して負担するものであり、相続した遺産の範囲を超えて納付する義務はありません。

ただし、相続税は原則として現金で納付しなければならないため、不動産などの即時に換金が難しい財産しか引き継いでいない場合、納税資金を準備できないこともあります。

そのため、相続税の連帯納付義務を負うリスクを減らすためには、共同相続人同士で「納税資金は大丈夫か」「納税はしたか」などの確認をしておくとよいでしょう。

不動産などの遺産を共有状態のまま維持するリスク

共同相続人がいる場合、遺言書がなければ遺産分割協議が必要になります。現金や預貯金は公平に分割できますが、不動産は分割が難しいため、共有名義にするケースもあるでしょう。

ただし、不動産を共有状態にすると次のようなリスクがあるため注意しましょう。

売却や建て替えには共有者全員の同意が必要

相続した土地や建物が共有状態になっている場合、売却したり、賃貸して活用したりするときなどに、共有者全員の同意が必要となります。

したがって、共有者の人数が多い場合や対立関係にある共有者がいるといったケースでは、全員の同意を得ることが難しく、不動産活用や売却の好機を逃してしまう可能性があります。

また、共有状態の物件は、建て替えや大規模修繕をする際にも他の共有者の同意が必要になります。つまり、賃貸物件の大規模修繕をしようと思っても、多額の費用がかかる場合には、他の共有者が反対して同意が得られない可能性があります。

その場合は、修繕ができず物件の劣化が進んでしまうこともあります。

また、共有者の意見が、売却したい人と所有し続けたい人に分かれている場合、折り合いがつかず、身動きが取れなくなることもあります。

共有持ち分の買取請求をされる可能性がある

不動産が共有状態になっている場合、共有状態を解消するために、他の相続人から共有物分割請求をされることがあります。共有物分割請求は、当事者同士の話し合いではまとまらず、調停や訴訟になるケースも少なくありません。

裁判所を介した手続きは時間と労力がかかり、専門的な知識も必要になるため、弁護士に依頼しなければ解決できない可能性もあります。

固定資産税などを誰が負担するかでトラブルになる可能性がある

複数の相続人で不動産を共有している場合、固定資産税の納税通知書は代表者のみに送付されます。代表者が一括して納付した場合、他の相続人にそれぞれの持ち分に応じた金額を請求できますが、必ずしも支払ってもらえるとは限らないため、固定資産税の負担をめぐってトラブルになるケースがあります。

そのため、遺産分割協議の際に、固定資産税などの負担についても話し合いを行い、全員で共通認識を持っておく方がよいでしょう。

共有者の相続が発生すると権利関係が複雑になる

共有状態の財産は、共有者に複数の相続人がいると相続が発生する度に共有者が増えるため、権利関係が複雑になります。

孫の世代には権利関係者が数十人になるケースもあり、意見の一致が難しくなります。共有者の中に認知症になっている人がいるとさらに不動産の活用や売却は難しくなります。

不動産を共有名義で相続したときは、共有者の相続が発生するまでに共有状態を解消するなどの対策が必要です。

まとめ

共同相続人とは、相続が発生したときに財産をもらう権利があり、遺産分割協議によって誰がどの財産を相続するか決まるまでの間、相続財産を共有している状態の人同士のことをいいます。一方、法定相続人は民法で定められた財産を相続する権利を有する人のことで、財産をもらったかどうかにかかわらず、被相続人との関係性で決まります。

相続が発生すると相続財産は共有状態となり、一部の相続人の意思だけでは不動産の活用や売却ができなくなるため、早めに遺産分割協議をまとめた方がいいでしょう。

不動産の共有状態は将来的なデメリットが大きいため、分割方法に悩んだときや、共有状態を解消したいときは専門家に相談することをおすすめします。

税理士 桑原 弾
  • この記事の監修者

  • 税理士 桑原 弾

昭和55年生まれ、兵庫県出身。
大学卒業後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した知識」と「元国税調査官としての経験」の両輪を活かして相続税申告を実践している。

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