相続税を申告する人全員分が必要な添付書類
通常、相続税は相続人全員が共同で申告し、以下の書類を全員分用意します。
被相続人に関する書類
| 書類名 | 概要 | 入手先 |
|---|---|---|
| 被相続人の戸籍謄本(除籍・改製原戸籍) | 被相続人の出生から死亡まで連続したもの | 市区町村役場 |
| 被相続人の住民票の除票 | 被相続人の死亡時の住所証明 | 市区町村役場 |
| 被相続人の略歴 | 学歴や結婚姻歴、職業歴、入院歴、相続、不動産の売買など | 申告用に作成 |
被相続人の戸籍謄本は、生まれてから亡くなるまでの連続したものが必要です。
これまで、本籍地が遠方にある場合や結婚や転籍などで本籍地を変更している場合、取得に時間や手間がかかることもありましたが、2024(令和6)年3月1日より戸籍謄本などの広域交付制度がスタートし、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍を取得できるようになりました。
ただし、取得できるのは、本人、配偶者、直系尊属、直系卑属のものに限られ、兄弟姉妹のものやコンピューター化されていない一部の戸籍・除籍は取得できないので注意してください。
相続人の略歴とありますが、これは税務署に対し、被相続人の出身地、出身校や職業、結婚、相続などによる資産形成状況を説明することで申告書の妥当性を裏付ける目的のものであり、提出は義務ではありません。
相続人に関する書類
| 書類名 | 概要 | 入手先 |
|---|---|---|
| 相続人全員の戸籍謄本 | 法定相続人の証明 | 市区町村役場 |
| 相続人全員の住民票 | 本籍地の記載があるもの | 市区町村役場 |
| 相続人全員のマイナンバーが確認できる書類(マイナンバーカードまたは通知カード、マイナンバーが記載された住民票の写し) | マイナンバー確認 | 自宅・市区町村役場 |
申告書に記載されたマイナンバーの持ち主であることを確認するために、相続人全員の身元確認書類も必要になります。マイナンバーカードを取得していない人は、運転免許証や身体障害者手帳、パスポート、在留カード、公的医療保険の被保険者証などの提示または写しを添付します。
遺産分割協議書または遺言書(写し)
| 書類名 | 概要 | 入手先 |
|---|---|---|
| 遺産分割協議書の写し | 遺産分割内容と全員の同意を証明 | 申告用に作成 |
| 相続人全員の印鑑証明書 | 遺産分割協議書に添付 | 市区町村役場 |
| 遺言書の写し | 被相続人が作成していた場合 | 公証役場・法務局・自宅など |
遺産分割協議書は、遺言書がないときに作成します。誰がどの財産を取得したかを証明する大切な書類です。相続人全員が署名(自分で名前を書きます)し、実印を押印します。実印での押印であることの証明として印鑑証明書も添付します。
【財産の種類別】相続税申告に必要な添付書類一覧
相続税の計算では、プラスの財産(現金や預貯金など)からマイナスの財産(負債)を控除するため、被相続人の借金や未払金に関する書類(コピー可)も添付します。
葬儀費用もプラスの財産から控除できるため、葬儀会社の領収書(コピー可)なども添付してください。
預貯金
被相続人名義の預貯金がある場合、相続発生日(死亡日)の残高が相続税評価額になるため、通帳のコピーや残高証明書などを準備します。
| 書類名 | 概要 | 入手先 |
|---|---|---|
| 残高証明書 | 相続発生日における預金残高証明 | 金融機関 |
| 利息計算書 | 定期預金の既経過利息の計算用 | 金融機関 |
| 通帳コピーまたは取引履歴 | 過去5年分の入出金の確認用 | 金融機関・自宅 |
| 現金 | 手元現金の額(タンス預金を含む) | 自宅 |
定期預金の満期日よりも前に相続が発生したときは、死亡日時点の利息を確認する必要があるため、利息計算書を取り寄せます。
不動産
被相続人名義の土地や建物は、相続発生日における所在や評価額を証明するために、以下の書類を申告書に添付します。
| 書類名 | 概要 | 入手先 |
|---|---|---|
| 登記事項証明書 | 不動産の権利関係などの確認用 | 法務局 |
| 公図 | 土地の位置関係の確認用 | 法務局 |
| 地積測量図 | 面積や形状の確認用 | 法務局 |
| 住宅地図 | 周辺状況の確認用(ゼンリン住宅地図やブルーマップ) | ゼンリンのWebサイト、図書館など |
| 固定資産評価証明書 | 主に建物の評価用 | 市区町村役場 |
| 名寄帳 | 被相続人名義の不動産一覧 | 市区町村役場 |
| 固定資産税の課税明細書 | 固定資産税評価額の確認用 | 自宅 |
| 賃貸借契約書 | 賃貸している土地や建物があるとき | 不動産会社・自宅 |
住宅地図は、地番などが表示されたものが必要なため、株式会社ゼンリンの住宅地図またはブルーマップを利用します。
ゼンリンの地図はネット販売されており、住宅地図は1枚660円、ブルーマップは1枚1,320円で購入できます。
名寄帳には被相続人名義の不動産が一覧表示されていますが、自治体ごとに作成・管理されているため、それぞれの市区町村で取得する必要があります。
有価証券
株式などの有価証券は、相続発生日の評価額(株価)を証明するために、以下の添付書類が必要になります。
| 書類名 | 概要 | 入手先 |
|---|---|---|
| 残高証明書 | 相続税評価額の算出用 | 証券会社 |
| 配当金の支払通知書 | 未収の配当金を確認 | 証券会社・自宅 |
| 被相続人の過去5年間の取引明細(顧客口座元帳、顧客勘定元帳) | 過去5年間の取引明細を確認 | 証券会社 |
不足している書類は証券会社や信託銀行に問い合わせることで発行してもらえますが、最近は口座開設や運用がネットのみで完結する証券口座も多いため、口座の存在を確かめる場合は、被相続人の郵便物やメールをチェックしましょう。
生命保険
生命保険は、民法上の相続財産ではありませんが、相続税の課税対象になるため、申告時には以下の添付書類が必要になります。
| 書類名 | 概要 | 入手先 |
|---|---|---|
| 生命保険証券の写し | 契約関係を確認 | 自宅 |
| 生命保険金の支払通知書 | 保険金の支払額を確認 | 生命保険会社 |
| 被相続人の死亡が保険事故となっていない契約の解約返戻金がわかる書類 | 相続開始日における解約返戻金を確認 | 生命保険会社 |
なお、被相続人の死亡によって支払われた死亡保険金には、以下の計算式で求められる非課税枠があり、この非課税枠を超過した部分に相続税がかかります。
-
計算式
-
生命保険の非課税枠:500万円×法定相続人の数
債務
被相続人の債務は、プラスの財産(現金や預貯金など)から控除できます。固定資産税や住民税などの未納の税金も控除の対象になるため、以下の書類(コピー可)を相続税申告書に添付してください。
| 書類名 | 概要 | 入手先 |
|---|---|---|
| 金銭消費貸借契約書 | 金融機関以外からの借入を確認 | 借入先 |
| 借入残高証明書 | 相続発生日における借入残高を確認 | 金融機関 |
| 未払金の請求書 | 医療費の請求書などを確認 | 病院など・自宅 |
| 未納の納税通知書 | 被相続人が納税義務者の場合 | 役所・自宅 |
葬式費用
葬式費用も相続財産から差し引けるため、葬儀会社の領収書は相続税申告まで保管しておきましょう。
お布施やお車代などの寺院への支払いや、葬儀を手伝ってくれた方への心付けは領収書がないため、いつ・誰に・何の目的で・いくら支払ったか、メモ書きを残しておいてください。
| 書類名 | 概要 | 入手先 |
|---|---|---|
| 葬式費用一式の領収書 | 葬式費用を確認 | 自宅 |
| お布施や心付けなどのメモ書き | 領収書のない葬式費用 | 自宅 |
仏壇などの購入費用や香典返しは、相続財産から控除できないので注意しましょう。
生前贈与財産
被相続人が遺言書を遺していたときや生前贈与があった場合は、以下の書類(コピー可)も添付します。
相続発生前7年以内の贈与(暦年課税)や、相続時精算課税制度による贈与は、相続財産に合算して相続税を計算する必要があるため、贈与関係の書類もそろえておきましょう。
暦年課税
| 書類名 | 概要 | 入手先 |
|---|---|---|
| 贈与契約書 | 贈与の事実確認用 | 自宅 |
| 贈与税申告書 | 相続発生前7年以内の申告を確認 | 税務署・自宅 |
相続時精算課税
| 書類名 | 概要 | 入手先 |
|---|---|---|
| 相続時精算課税制度選択届出書 | 税務署・自宅 | |
| 贈与税申告書 | 相続時精算課税制度適用以降のすべての申告を確認 | 税務署・自宅 |
| 被相続人の戸籍の附票の写し(相続開始の日以後に作成されたもの) | 市区町村役場 |
特例や税額控除を適用する場合の添付書類
相続税の申告では、特例や税額控除の適用を受けるための関連書類を相続税申告書に添付する必要がある場合があります。
特に、配偶者の税額軽減(相続税の配偶者控除)や小規模宅地等の特例は、一般的によく利用される制度であるため、必要な添付書類の種類や入手先を把握しておきましょう。
配偶者の税額軽減(相続税の配偶者控除)
被相続人の配偶者は一定の金額まで、相続税がかからない配偶者の税額軽減を適用できます。
一定の金額とは、以下のどちらか多い金額までとなります。
-
1億6,000万円
-
配偶者の法定相続分相当額
相続税申告書の提出が必須の特例措置であるため、配偶者の税額軽減の適用によって相続税が非課税になる場合でも、申告が必要となりますので注意してください。
| 書類名 | 概要 | 入手先 |
|---|---|---|
| 遺言書または遺産分割協議書の写し | 遺産分割の状況を確認 | 自宅 |
| 申告期限後3年以内の分割見込書 | 申告期限までに遺産分割できないとき | 税務署窓口または国税庁ホームページ |
【関連記事】相続税の配偶者控除とは?具体例を用いながら適用要件や注意点も解説
申告期限後3年以内の分割見込書(国税庁)
小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例とは、相続人の今後の生活に深く関わる宅地等の評価額を減額できる特例で、たとえば特定居住用宅地などであれば、被相続人の配偶者や同居親族が自宅を相続してそのまま住み続ける場合や、被相続人と生計を一にする親族が住んでいる場合に、自宅の敷地について330㎡までの相続税評価額を80%減額できる制度です。
減額効果は非常に大きく、たとえば、330㎡の1億円の土地であれば、2,000万円の評価額で申告できます。
| 書類名 | 概要 | 入手先 |
|---|---|---|
| 遺言書または遺産分割協議書の写し | 遺産分割の状況を確認 | 自宅 |
| 相続人全員の印鑑証明書 | 遺産分割協議の同意確認 | 市区町村役場 |
| 特例の適用を受ける宅地などを自己の居住の用に供していることを明らかにする書類 | 相続発生日以降に作成されたもの 取得する人がマイナンバーを有する場合や、被相続人の配偶者である場合は提出不要 |
市区町村役場 |
| 申告期限後3年以内の分割見込書 | 申告期限までに遺産分割できないとき | 税務署窓口または国税庁ホームページ |
なお、特定居住用宅地などに小規模宅地等の特例を適用するには、被相続人が亡くなったときに居住していたことが要件となりますが、以下の要件を満たしていれば、被相続人が老人ホームに入居する直前に居住していた自宅にも特例が適用できます。
-
被相続人が亡くなったときに要介護認定または要支援認定を受けている
-
都道府県知事へ所定の届出がされている老人ホームなどに入居している
-
自宅を賃貸物件として使っていない
| 書類名 | 概要 | 入手先 |
|---|---|---|
| 老人ホームなどの入所契約書 | 法律で指定された施設などの判定用 | 老人ホームなど・自宅 |
| 介護保険の被保険者証 | 要介護認定の確認 | 自宅 |
| 被相続人の戸籍の附票の写し | 老人ホームなどへ住所を移している場合 | 市区町村役場 |
小規模宅地等の特例とは?適用要件や手続き、必要書類をわかりやすく解説
まとめ
相続税の申告書に必要な添付書類はかなり多く、収集には時間や手間がかかります。
相続の状況や適用を受ける特例や税額控除によって必要な書類が異なる上、「証する書類」などの記載に留まり、明確に必要な書類名が記載されていないケースも散見されます。課税当局としては、書類名を指定しても、書類が事実確認できない記載内容では意味をなさないため、実態を知るために「証する書類」といった表現にしていると思われますが、どのような書類がその状態を証することになるのか、疑問に思うこともあるでしょう。
相続税申告書の添付書類がわからないときや、仕事などでなかなか時間が取れない方は、手間や時間をかけずに済むように、ぜひ一度、相続を専門とする税理士にご相談いただければと思います。



