成年後見制度とは
成年後見制度は身上監護を目的としており、ご自身が認知症になっても安心・安全に暮らせるよう、成年後見人が法律行為をサポートします。
具体的には、被後見人(支援を受ける人)の代理人として、入院手続きや介護施設等への入居手続きなどを行い、被後見人の財産も後見人によって保全されます。
また、成年後見制度には2種類あり、本人の判断力があるうちに契約する「任意後見制度」と、すでに認知症になっている方が利用できる「法定後見制度」があります。
どちらも判断力の判定には医師の診断書が必要になるため、入手方法を知っておくとよいでしょう。
【関連記事】成年後見人制度とは?成年後見人になれる人や制度の手続き方法・注意点を解説
成年後見制度の申し立てには診断書が必要

成年後見制度は家庭裁判所に申立を行い、成年後見人を選任してもらう制度です。
したがって、本人の判断能力を裁判所に提示するため、医師の診断書が必要になってきます。
診断書は家庭裁判所の指定様式を使うので、裁判所窓口やホームページから入手しておくとよいでしょう。
診断書は後見レベルの判定に必要
家庭裁判所では医師の診断書から後見レベルを判定し、以下の3つに分類しています。
- 補助:自分の財産管理や処分に援助が必要な場合がある
- 保佐:自分の財産管理や処分には常に援助が必要
- 後見:自分で財産管理や処分ができない状態
補助・保佐・後見の順にサポートのレベルも変わり、ある程度の判断能力があれば本人の自主性に重点が置かれます。
しかし、後見レベルになると本人の安全確保が優先されるため、自主性が制限される場合もあります。
家庭裁判所の判断によっては鑑定も必要
医師の診断書だけでは判断能力を判定できない場合、家庭裁判所から「鑑定」を求められることがあります。
より詳細な医学的判断が必要ということですが、鑑定には5~10万円程度の費用がかかり、後見人が決まるまでの日程も1カ月程度ずれる可能性があります。
なお、鑑定費用は申立人の負担になりますが、審判確定後には本人負担になるケースがほとんどなので、最終的には後見人から返還されます。
成年後見制度の手続きに必要な診断書のもらい方
診断書をもらう場合、まず主治医(かかりつけの医師)に問い合わせてください。
本人の状態をもっともよく知る医師なので、より正確な診断書を作成してもらえます。
家庭裁判所も主治医の診断結果を尊重するため、後見人決定までの日数が短くなる可能性もあるでしょう。
また、よりスムーズに診断書がもらえるよう、「本人情報シート」も準備しましょう。
本人情報シートなしでも診断書は作成してもらえますが、本人情報シートはケアマネージャーなどによって作成されるため、主治医も認知機能などの状態を把握しやすくなります。
なお、あまり病院を利用しておらず、主治医がいないようであれば、精神科や心療内科など認知症に詳しい医師に相談してみましょう。
診断書を断られた場合の対処法
診断書の内容は家庭裁判所の判断材料になり、本人の生活にも直接影響するため、医師にも相当なプレッシャーがかかります。
そのため、専門分野ではないからという理由で断られるケースもありますが、このような場合は家庭裁判所指定の診断書や本人情報シートを提示してみましょう。
診断内容が明確になれば医師も対応しやすくなるので、「これなら私が書きましょう」と応諾してくれる場合もあります。
【2019年】成年後見制度の診断書書式が改訂
成年後見制度を必要とする人が年々増加する一方、カバー率はわずか2%にとどまっています。
そこで、2016年4月に「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が制定され、翌年には「成年後見制度利用促進基本計画」も策定されました。
基本的な考え方は「成年後見制度をもっと普及させよう」ということですが、身近でわかりやすいのが診断書の書式改訂です。
診断書の書式は2019年4月に改訂され、本人の意思が尊重されやすく、医師の判定根拠も明確になりました。
本人情報シートも新設されましたが、具体的には次のような内容になっています。
後見レベルや医師の判定根拠が明確になる
補助、保佐等の後見レベルは診断書から判定しますが、書式改訂後はさらにわかりやすい判定基準になっています。
補助レベル
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従前:自己の財産を管理・処分するには,援助が必要な場合がある
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改訂:支援を受けなければ、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することが難しい場合がある
保佐レベル
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従前:自己の財産を管理・処分するには、常に援助が必要である
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改訂:支援を受けなければ、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することができない
後見レベル
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従前:自己の財産を管理・処分することができない
-
改訂:支援を受けても契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することができない
「判定の根拠」も従来は自由記入の書式でしたが、改訂後はチェック式になり、より正確に理解力や判断力を判定できるようになっています。
本人情報シートの新設
先に少しだけ触れていますが、診断書の改訂とともに「本人情報シート」も設けられました。
本人情報シートは福祉関係者によって作成され、医師が判断能力を診断する際の補助資料になるため、従前よりも正確な診断が可能になります。
なお、福祉関係者とは介護支援専門員(ケアマネージャー)やケースワーカー、本人を担当する社会福祉士、病院の相談員など実にさまざまです。
どこに作成をお願いしてよいかわからない場合は、まず各自治体の相談窓口に問い合わせてみましょう。
本人情報シートがなくても成年後見制度の申立はできますが、家庭裁判所の審理で参考にされるため、なるべく作成を依頼するのがおすすめです。
成年後見制度の診断書にかかる費用・期間
診断書をもらう場合、主治医と主治医以外では作成期間に差があります。
費用について両者に違いはなく、病院次第になりますが、具体的には次のようになっています。
診断書にかかる費用
診断書は医療保険の対象外であり、各病院によって異なりますが、5,000~1万2,000円程度をみておけばよいでしょう。
成年後見制度用だからといって、特別料金がかかることはありませんので安心してください。
診断書をもらうまでの期間
主治医と主治医以外では、診断書をもらうまでの期間にかなり差があります。
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主治医:1回の診断で診断書をもらえる可能性あり
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主治医以外:概ね1カ月程度(数回の受診を要するため)
まとめ
今回は成年後見制度の申立に必要な「診断書」について解説しましたが、書式の改訂や本人情報シートの新設など、注目すべき点も多くありました。
以前は本人や家族が望まない形で後見制度が稼働するなど、多くの問題もありましたが、現在は国や自治体レベルでよりよい制度にしようとする動きが見られます。
認知症対策に悩んでおられる方は自治体や専門家などに相談し、成年後見制度について詳しく話を聞いてみるのもよいでしょう。
かつて「我が家には合わない」と諦めていた方も、現在は利用しやすい状況になっているかもしれません。



