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最終更新日:2025.02.28

年後見人とは?
成年後見制度の手続きの流れや
注意点をわかりやすく解説

成年後見人とは?成年後見制度の手続きの流れや注意点をわかりやすく解説

このコンテンツでわかること

  • ■ 成年後見制度とは
  • ■ 成年後見制度を利用するための手続きの流れ、必要書類
  • ■ 成年後見制度を利用するときの注意点

成年後見制度とは

成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害などの理由により、判断能力が不十分な人を支援する制度です。

具体的には、家庭裁判所に選任された成年後見人等が、預貯金や不動産などの財産管理、介護サービスの利用契約や老人ホームの入所契約の締結などの身上保護といった法律行為を支援します。

厚生労働省の「成年後見制度の現状(令和6年4月)」によると、成年後見制度の利用者数は、2018年(平成30年)12月末時点で218,142人だったのに対し、2023年(令和5年)12月末時点では249,484人と増加傾向にあります。

なお、成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」の二つの制度があります。

法定後見制度

法定後見制度とは、本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所に成年後見人等の選任の申し立てを行い、選任された成年後見人等が法律行為などを支援する制度です。

本人の判断能力に応じて、以下のように「後見」「保佐」「補助」の三つの制度があります。

法定後見制度
  後見 保佐 補助
対象となる人 判断能力が常に欠けている状態の人 判断能力が著しく不十分な人 判断能力が不十分な人
申し立てをできる人 本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市区町村長など
申し立てにおける本人の同意 不要 必要
成年後見人等の同意が必要な行為 借金、訴訟行為、相続の承認・放棄、新築・改築・増築などの「特定の法律行為」 申し立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」
取り消しが可能な行為 日常生活に関する行為以外の行為
成年後見人等の代理権の範囲 財産に関するすべての法律行為 申し立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」

なお、必要に応じて、家庭裁判所の判断で後見監督人等(後見監督人、保佐監督人、補助監督人)が選任されます。通常、家庭裁判所が成年後見人等の後見監督を行いますが、より適切に後見監督を行うために、本人の財産額が一定額以上あり、後見制度支援信託の利用がない場合に成年後見監督人が選任されるケースが増えています。

任意後見制度

任意後見制度とは、本人の判断能力が十分あるうちに、あらかじめ、任意後見人となる人や将来的にその人に委任する事務内容を定めておき、本人の判断能力が不十分になった後に、任意後見人が本人に代わって事務を行う制度です。

任意後見制度
対象となる人 判断能力が十分にある人
申し立てをできる人 本人、配偶者、四親等内の親族、任意後見人となる人
申し立てにおける本人の同意 必要
任意後見人の同意が必要な行為 なし
取り消しが可能な行為 なし(本人が締結した契約を取り消すことはできない)
任意後見人の代理権の範囲 任意後見契約で定めた範囲内の行為

なお、本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所に任意後見監督人の選任の申し立てを行う必要があります。任意後見監督人は、任意後見人が適正に後見事務を行っているか、必要に応じて確認し、家庭裁判所に定期的に報告します。

成年後見制度を利用するための手続きの流れ

ここからは、「法定後見制度」と「任意後見制度」の手続きの流れや必要書類を解説します。

法定後見制度の手続きの流れと必要書類

必要書類を準備する

法定後見制度の申し立てに必要な書類は、以下の通りとなります。

  • 戸籍謄本(全部事項証明書):本人分(発行から3カ月以内のもの)

  • 住民票または戸籍附票 :本人および後見人等候補者分(発行から3カ月以内のもの)

  • 後見・保佐・補助開始等申立書

  • 代理行為目録・同意行為目録(保佐・補助の場合)

  • 申立事情説明書、親族関係図、親族の意見書、後見人等候補者事情説明書

  • 後見登記されていないことの証明書:本人分(発行から3カ月以内のもの)

  • 診断書・付票(発行から3カ月以内のもの)

  • 本人情報シート写し

  • 本人の財産目録(後見開始または保佐・補助開始で代理権をつける場合)

  • 本人の収支予定表(後見開始または保佐・補助開始で代理権をつける場合)

  • 本人の健康状態に関する資料(介護保険被保険者証、療育手帳などの写し)

なお、後見開始の申し立ての場合は、以下の書類も必要となります。

本人の財産に関する資料
  • 預貯金および有価証券の残高がわかる書類(預貯金通帳の写し、残高証明書など)

  • 不動産関係書類(不動産の登記事項証明書など)

  • 負債がわかる書類(ローン契約書の写しなど)

本人が相続人となっている遺産分割未了の相続財産に関する資料
  • 預貯金および有価証券の残高がわかる書類(預貯金通帳の写し、残高証明書など)

  • 不動産関係書類(不動産の登記事項証明書など)

本人の収支に関する資料
  • 収入に関する資料の写し(年金額決定通知書、給与明細書など)

  • 支出に関する資料の写し(施設利用料、入院費など)

法定後見制度の申し立てには、以下の費用がかかります。

費用
収入印紙(申立手数料) ○後見・保佐・補助開始:800円分
○保佐(補助)開始および代理権(または同意権)付与:1,600円分
○保佐(補助)開始および代理権付与・同意権付与:2,400円分
収入印紙(登記手数料) 2,600円分
郵便切手 約4,000円~5,000円分
(内訳が細かく決まっているため、申立先の家庭裁判所に確認が必要です)
鑑定費用 5~10万円程度(裁判所から鑑定を求められた場合)

なお、収入印紙および郵便切手は、申立書と一緒に提出します。

面接予約をする

原則として、申し立て後に、申立人および成年後見人等候補者から詳しい事情を確認するための面接(おおむね1~2時間程度)があります。この面接日時は、申立書を提出する前に家庭裁判所の担当窓口へ電話で予約します。

家庭裁判所によっては、事前の面接予約が必要ないため、申し立てをする家庭裁判所(本人の住民票上の住所地を管轄する家庭裁判所)に確認しましょう。

成年後見制度の申し立てをする

予約した面接日の3日前(土日祝日は除く)までに、管轄の家庭裁判所に申立書類一式を郵送して申し立てを行います。決められた日までに書類が到着しない場合、予約が取り消しになることがあります。

そして、面接の当日になったら、忘れずに予約時間に管轄の家庭裁判所に行きましょう。

なお、成年後見制度の申し立てを取り下げるには、家庭裁判所の許可が必要となります。

本人調査がある場合も

本人の意思を尊重するため、裁判官の判断によって本人に直接、申立内容などの確認を行うことがあります。

通常、本人調査では、本人が家庭裁判所に行きますが、入院や体調不良などで家庭裁判所に行くことが困難なときは、家庭裁判所の担当者が入院先などを訪ねて本人に確認します。

補助開始の場合や保佐開始で代理権を付ける場合は、本人の同意が必要となるため、この本人調査において同意の確認が行われます。

なお、本人の判断能力がどの程度あるか、申立時に提出した診断書の内容などで判断できないときは医師による鑑定を求められます。

審理・審判が行われる

鑑定や調査など必要な手続きが完了したら、後見等の開始の審判や成年後見人の選任が行われます。場合によっては、後見人等に複数の人が選任されたり、監督人が選任されたりすることもあります。

なお、家庭裁判所によって選任された成年後見人等について、不服の申し立てをすることはできません。

法定後見の登記をする

後見等開始の審判が確定したら、家庭裁判所から法務局へ審判内容の登記依頼がされます。なお、後見登記については、本人のプライバシーに配慮し、戸籍に記載されることはありません。

任意後見制度の手続きの流れと必要書類

続いて、任意後見制度の手続きの流れや必要書類を解説します。

任意後見契約を締結する

本人の判断能力が十分あるうちに、あらかじめ任意後見人を選び、判断能力が低下した場合に代わりにして欲しいことを決め、任意後見契約を締結します。

なお、任意後見契約の締結は、法律によって、公証人が作成する公正証書によらなければならないと定められています。公証人が本人と直接面談して、本人の意思と判断能力をしっかりと確認した上で、契約内容が法律に従ったものとなるように作成されます。

本人が病気等で、公証役場に出向くことができない場合は、別途手数料や交通費等がかかるものの、公証人が自宅や病院などに出張して公正証書を作成してくれるため、任意後見契約を締結できます。

任意後見契約の登記をする

任意後見契約を締結すると、公証人の嘱託により、契約内容が法務局で登記されます。

本人の判断能力が不十分になると、本人自ら契約等をすることはできないため、任意後見人が本人に代わって行います。このとき、委任状に代わる代理権限を証する書面が必要となります。

任意後見契約の登記がされると、法務局から、任意後見人の氏名や代理権の範囲を記載した「後見登記事項証明書」の交付を受けられ、任意後見人は代理権を証明できます。

任意後見制度を利用開始した場合は、金融機関への届け出が必要となり、後見登記事項証明書の提出が求められます。

必要書類を準備する

任意後見契約は、家庭裁判所で任意後見監督人が選任されて初めて任意後見契約の効力が生じます。

任意後見監督人選任の申し立てに必要な書類は、以下の通りとなります。

  • 戸籍謄本(全部事項証明書):本人分(発行から3カ月以内のもの)

  • 住民票または戸籍附票 :本人分(発行から3カ月以内のもの)

  • 任意後見監督人選任申立書

  • 申立事情説明書(任意後見)

  • 任意後見受任者事情説明書

  • 親族関係図

  • 診断書・付票(発行から3カ月以内のもの)

  • 本人情報シート写し

  • 本人の財産目録

  • 本人の収支予定表

  • 本人の健康状態に関する資料(介護保険被保険者証、療育手帳などの写し)

  • 相続財産目録(本人を相続人とする相続財産がある場合)

  • 任意後見契約公正証書写し

  • 登記事項証明書(任意後見契約):本人分(発行から3カ月以内のもの)

  • 成年被後見人等の登記がされていないことの証明書:本人分(発行から3カ月以内のもの)

本人の財産に関する資料
  • 預貯金および有価証券の残高がわかる書類(預貯金通帳の写し、残高証明書など)

  • 不動産関係書類(不動産の登記事項証明書など)

  • 負債がわかる書類(ローン契約書の写しなど)

本人が相続人となっている遺産分割未了の相続財産に関する資料
  • 預貯金および有価証券の残高がわかる書類(預貯金通帳の写し、残高証明書など)

  • 不動産関係書類(不動産の登記事項証明書など)

本人の収支に関する資料
  • 収入に関する資料の写し(年金額決定通知書、給与明細書など)

  • 支出に関する資料の写し(施設利用料、入院費など)

任意後見制度の申し立てには、以下の費用がかかります。

費用
収入印紙(申立手数料) 800円分
収入印紙(登記手数料) 1,400円分
郵便切手 約5,000円分
(内訳が細かく決まっているため、申立先の家庭裁判所に確認が必要です)

なお、収入印紙および郵便切手は、申立書と一緒に提出します。

任意後見監督人選任の申し立てをする

書類がそろったら、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申し立てを行います。

家庭裁判所は、申立人や本人、任意後見受任者に直接、申立内容や本人の意見などの確認を行うことがあります。

家庭裁判所は、本人の判断能力を確認の上、本人の財産内容や生活に必要な支援内容に応じて、任意後見監督人を選任します。

なお、任意後見制度の申し立てを取り下げるには、家庭裁判所の許可が必要となります。また、家庭裁判所によって選任された任意後見監督人について、不服の申し立てをすることはできません。

成年後見制度を利用するときの注意点

成年後見制度を利用するときには、いくつか注意点があります。

成年後見人等になれない人がいる

以下に該当する人は、成年後見人等になることはできません。成年後見人等の候補者を選ぶときは、成年後見人等の欠格事由に該当していないことを確認しましょう。

成年後見人等になれない人
  • 未成年者

  • 成年後見人等を解任された人

  • 破産者で復権していない人

  • 本人に対して訴訟をしたことがある人、その配偶者または親子

  • 行方不明である人

候補者以外が後見人等に選任されることもある

必ずしも、成年後見人等に候補者が選任されるとは限りません。

家庭裁判所によって、申立書に記載された成年後見人等の候補者が適任であるかどうかが審理され、本人の状況などに応じて、弁護士や司法書士など候補者以外の人が選任される場合もあります。

成年後見人等は適切に財産を管理する義務を負う

本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら、成年後見人であれば財産を適正に管理し、必要な代理行為を行います。

保佐人の場合は、本人が重要な財産行為を行うときに適切に同意を与えたり、本人が補佐人の同意を得ないで行った重要な財産行為を取り消したりします。また、保佐人に代理権が付与されているときは、その認められた範囲内で代理権を行使できます。

補助人に同意権が付与されている場合は、その認められた範囲の行為(重要な財産行為の一部に限る)について同意を与えたり、本人が補助人の同意を得ないでその行為をした場合にこれを取り消すことができます。代理権が付与されている場合は、その認められた範囲内で代理権を行使できます。

なお、成年後見人等は、不正な行為によって本人に損害を与えた場合、その損害を賠償しなければなりません。また、背任罪や業務上横領罪等の刑事責任を問われることもあります。

成年後見人等に選任されたら後見等事務の報告が必要となる

成年後見人等に選任された場合は、定期的に家庭裁判所へ後見等事務報告書・財産目録・資料等の提出が必要となります。

家庭裁判所への報告は、本人の判断能力が回復して成年後見制度が取り消されるか、本人が亡くなるまで続きますので、定められた提出期限までに、忘れずに提出しましょう。

【認知症の親の財産管理】成年後見制度を利用するメリット・デメリットとは
家族信託と成年後見制度はどちらを選ぶべき?違いやメリット・デメリットを比較

まとめ

認知症などを理由として、本人の判断能力が不十分になったときは、成年後見制度を利用することで、預貯金や不動産などの財産管理、介護サービスの利用契約や老人ホームの入所契約の締結などの身上保護といった法律行為の支援を受けられます。

ただし、原則として、成年後見制度を利用すると途中でやめることはできません。

成年後見制度を利用するときは、司法書士などの専門家に事前に相談することで、本人の判断能力や財産内容などに応じた適切な支援が受けられます。認知症などに備えて、早めに専門家へ相談するとよいでしょう。

司法書士 田中 千尋
  • この記事の監修者

  • 司法書士 田中 千尋

VSG司法書士法人
代表 司法書士

昭和62年生まれ、香川県出身。
相続登記や民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

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