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相続税

最終更新日:2023.03.31

続税精算課税制度で
贈与者が死亡したときの相続税計算方法
【必要書類も解説】

相続税精算課税制度で贈与者が死亡したときの相続税計算方法【必要書類も解説】

このコンテンツでわかること

  • ■ 相続時精算課税制度で贈与者死亡時の相続税計算方法がわかる
  • ■ 相続時精算課税制度利用時の贈与税・相続税シミュレーションがわかる
  • ■ 相続時精算課税制度で贈与者死亡時の申告方法・必要書類がわかる

贈与した財産に贈与税をかけず、相続するときに相続税を課税する贈与方式を相続時精算課税制度といいます。相続時精算課税制度は60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子供や孫へ贈与するときのみ選択できるので、贈与者(贈与する人)の配偶者は対象外です。

配偶者が贈与を受けるときは一般的な贈与方式(暦年課税制度による贈与)になりますが、相続開始前3年以内の贈与額は相続財産に加算しなければなりません。両方の贈与が行われていた場合、相続税の計算はかなり複雑になるででしょう。

そこで今回は、相続時精算課税制度と相続開始前3年以内の贈与があったケースについて、相続税の計算方法をわかりやすく解説します。

相続時精算課税制度で贈与者死亡時の相続税計算方法

相続時精算課税制度を適用しているときは、贈与者が亡くなった時点で贈与分を清算(相続財産に加算して相続税を計算)します。一方、暦年課税制度は贈与の翌年に申告・納税しているため、本来は相続税と無関係ですが、相続開始前3年以内の贈与分のみ相続財産に加算するルールがあります。

どちらも基礎控除(特別控除)や税率が異なるので、以下を参考に基本的な考え方を理解しておいてください。

相続時精算課税制度の基本的な相続税計算パターン

相続時精算課税制度には2,500万円の特別控除があり、2,500万円を超えた部分のみ20%の固定税率で贈与税を計算します。3,000万円を贈与したときの税額を計算してみましょう。

  • 計算式

  • 贈与税がかかる部分の金額(課税価格):3,000万円-2,500万円=500万円

  • 計算式

  • 贈与税:500万円×20%=100万円

このケースでは、3,000万円の贈与分を相続財産に加算しますが、贈与税と相続税の二重課税にならないよう、贈与税100万円(※)を相続税から差し引きます

※贈与税は、贈与があった年の翌年2月1日から3月15日までに申告・納税します。

では次に、暦年課税制度の贈与分を相続財産に加算するケースをみていきましょう。

相続開始前3年以内に贈与があったときの相続税計算パターン

暦年課税制度には年間110万円の基礎控除があるので、1年間の贈与額が110万円を超えたときだけ贈与税がかかります。では、相続開始前3年以内に1,000万円の贈与があったときの贈与税を計算してみましょう。

  • 計算式

  • 課税価格(贈与税がかかる部分の金額):1,000万円-110万円=890万円

  • 計算式

  • 贈与税:890万円×一般贈与税率40%-控除額125万円=231万円

贈与分1,000万円は相続財産に含めますが、贈与税231万円は相続税から差し引きます。なお、父母から子供、祖父母から孫への贈与には特例税率を適用できますが、今回は一般税率で計算しています(例:夫婦間の贈与など)。税率と控除額は国税庁ホームページに掲載されているので、以下のリンクを参照してください。

贈与税の計算と税率(国税庁)

相続時精算課税制度利用時の贈与税・相続税シミュレーション

では次に、以下のような贈与があったときの贈与税と相続税を計算してみます。

  • 親子間の贈与に相続時精算課税制度を適用したパターン

  • 相続時精算課税制度と暦年課税制度の両方があるパターン

具体的なシミュレーションは以下のようになるので、贈与財産の加算や贈与税の控除に注意しておきましょう。

親子間の贈与に相続時精算課税制度を適用したパターン

相続時精算課税制度の具体例として、まず以下の条件で贈与税を計算してみます。

  • 贈与者:父親(60歳以上)

  • 受贈者:子供(18歳以上)

  • 贈与財産:3,000万円

計算方法は先ほどの例とまったく同じです。

  • 計算式

  • 贈与税がかかる部分の金額(課税価格):3,000万円-2,500万円=500万円

  • 計算式

  • 贈与税:500万円×20%=100万円

次に、父親が亡くなったときの相続税を計算しますが、今回は子供1人だけが相続人になるものとします。

贈与者(父親)が亡くなったときの相続税

贈与者の父親が亡くなったときは、相続財産(死亡時の所有財産)に相続時精算課税制度を適用した贈与財産を加算します。また、相続税は基礎控除を超えた部分に課税されるので、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で控除額を計算しておきます。

  • 相続財産:7,000万円

  • 贈与財産:3,000万円

  • 基礎控除:3,600万円(3,000万円+600万円×1人)

まず、相続税の課税価格(税金がかかる部分の金額)を計算し、次に税率を乗じて相続税(贈与税の控除前)を算出します。

  • 計算式

  • 相続税の課税価格:7,000万円+3,000万円-3,600万円=6,400万円

  • 計算式

  • 相続税(贈与税の控除前):6,400万円×税率30%-控除額700万円=1,220万円

最後に贈与税100万円を差し引き、最終的な相続税を計算します。

  • 計算式

  • 相続税:1,220万円-100万円=1,120万円

相続税の税率と控除額は以下の国税庁ホームページを参照してください。

相続税の税率(国税庁)

相続時精算課税制度と暦年課税制度の両方があるパターン

では次に、相続時精算課税制度と暦年課税制度(相続開始前3年以内)の両方があるパターンについて、以下の条件でシミュレーションしてみます。

  • 贈与者:父親

  • 相続時精算課税制度の受贈者と贈与財産:子供に3,000万円を贈与

  • 暦年課税制度の受贈者と贈与財産:配偶者(子供の母親)に1,000万円を贈与

すでに同じ金額で計算例を解説していますが、簡単におさらいしておきましょう。

相続時精算課税制度を適用している子供の贈与税

相続時精算課税制度を適用している子供には以下の贈与税がかかります。

  • 計算式

  • 贈与税の課税価格:3,000万円-2,500万円=500万円

  • 計算式

  • 贈与税:500万円×20%=100万円

3,000万円は相続財産に加算し、贈与税100万円は相続税から控除します。

暦年課税制度を適用している配偶者の贈与税

父親が配偶者(妻)に暦年課税制度で贈与すると、以下の贈与税がかかります。

  • 計算式

  • 贈与税の課税価格:1,000万円-110万円=890万円

  • 計算式

  • 贈与税:890万円×一般贈与税率40%-控除額125万円=231万円

贈与から3年以内に父親が亡くなったときは、1,000万円を相続財産に加算し、贈与税231万円は相続税から控除します。では、ここまでのシミュレーションをもとに相続税を計算してみましょう。

相続税の計算

最後に相続税を計算しますが、贈与財産と相続財産(6,000万円だったとします)、贈与税などを整理しておきましょう。

  • 相続財産:6,000万円

  • 贈与財産:4,000万円(子供3,000万円+配偶者1,000万円)

  • 基礎控除:4,200万円(3,000万円+600万円×2人)

  • 贈与税:331万円(子供100万円+配偶者231万円)

まず、相続税の課税価格を計算し、税率を乗じて贈与税控除前の相続税を算出します。

  • 計算式

  • 相続税の課税価格:6,000万円+4,000万円-基礎控除4,200万円=5,800万円

  • 計算式

  • 相続税(贈与税の控除前):5,800万円×税率30%-控除額700万円=1,040万円

では最後に、贈与税を差し引いて最終的な相続税を計算します。

  • 計算式

  • 相続税:1,040万円-331万円=709万円

なお、この計算結果は「相続税の総額」になっており、各相続人の納税額は遺産の取得割合で按分します。

相続時精算課税制度で贈与者死亡時の申告方法・必要書類

相続時精算課税制度や暦年課税制度で贈与している場合、基本的にはどちらも納税が完了しているため、相続時の贈与税申告は不要です。贈与者が死亡したときは相続税申告のみ必要となるので、申告方法や必要書類は以下を参考にしてください。

相続税申告の必要書類(相続時精算課税制度の適用時)

相続時精算課税制度の贈与者が亡くなったときは、以下の書類を準備・作成して相続税申告を行います。

  • 相続税申告書(第1表、第2表、第11表、第11表の2)

  • 贈与税申告書の控え

  • 贈与契約書

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

  • 被相続人の戸籍の附票の写し(相続発生日以降に作成されたもの)

  • 法定相続情報一覧図の写し

  • 遺言書または遺産分割協議書の写し

  • 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議を行った場合)

相続財産に不動産があれば、固定資産評価証明書などの書類も添付してください。また、すでに納めた贈与税が還付されるときは、相続税申告書第1表の付表2も必要になります。

令和4年分用の相続税の申告書等の様式一覧(国税庁)

相続税の申告方法

相続税は「相続開始を知った日の翌日から10カ月以内」が申告期限となっており、被相続人の住所地を管轄する税務署に申告します。申告書の提出方法は直接持込み、郵送、電子納税(e-Tax)の3種類ですが、相続税申告が初めての方や、パソコン操作が苦手な方は直接持込みがよいでしょう。なお、税務署の所在地や連絡先は以下を参考にしてください。

税務署の所在地(国税庁)

まとめ

相続時精算課税制度は少しわかりにくいかもしれませんが、今後の税制改正で生前贈与のスタンダードになる可能性もあります。また、相続開始前3年以内の贈与(暦年課税制度)についても、現在の3年ルールが7年に変更されるため、有効な相続税対策に変化が生じるかもしれません。いずれも「いつ贈与したか」「いくら贈与したか」「贈与税はいくらだったか」が重要になるため、生前贈与関係の書類はすべて保管しておきましょう。

相続税や贈与税の制度は大きな転換期を迎えているので、相続時精算課税制度を適用した贈与を検討している方は、専門家にも相談してみるとよいでしょう。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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【出典元】
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