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相続税

最終更新日:2022.09.30

続税の税務調査は
約1割の確率で入る!
調査されやすい人や財産内容とは

相続税の税務調査は約1割の確率で入る!調査されやすい人や財産内容とは

このコンテンツでわかること

  • ■ 相続税の税務調査の対象となりやすい人
  • ■ 相続税の税務調査で指摘されやすい財産内容
  • ■ 相続税の税務調査にならないための対策

相続税の税務調査は年によって実地件数が異なりますが、相続税申告をした約1割の家庭で調査が行われると言われています。国税庁によると、令和4事務年度に実地された相続税の税務調査は、納税者宅などで行われる「実地調査」が8,196件、電話などによる「簡易な接触」が15,004件となっています。

税務署は調査前に被相続人(亡くなった人)の財産状況などを入念にチェックしているため、家族ですら知らない情報を得ている場合もあります。また、これまでの調査実績からある程度、追徴課税が見込める家庭に絞って税務調査が行われています。

この記事では、相続税の税務調査の対象になりやすい人や財産内容、税務調査の対象とならないための対策について解説します。

相続税の税務調査とは

相続税は申告納税方式のため、納税者である相続人が被相続人の財産を調べ、相続財産にかかる納税額を計算して申告しますが、被相続人の財産を正確に把握することは難しいため、相続税は申告漏れが発生しやすい税金と言えます。さらに、納税者のなかには故意に税額を低く申告する人もいます。

税務署はこのような相続税申告の特色を把握しているため、相続税は申告件数に対して税務調査となる割合が高くなっています。

相続税の税務調査の対象となりやすい人

本来なら、すべての申告をチェックして、間違いや申告漏れを指摘するべきですが、税務署の人手にも限りがあるため、税務調査の対象となる申告には一定の偏りが出ています。

遺産が基礎控除額を超えているのに申告していない人

被相続人が亡くなった場合、親族などが役所に死亡届を提出しますが、その提出を受けた市町村長は、通知を受けた日の属する月の翌月末日までに、亡くなった人が所有していた土地や家屋を所轄税務署へ通知します。

また、亡くなった人の株式などの保有状況は、証券会社から年間取引報告書が税務署へ通知されています。これらの通知により、税務署は財産が基礎控除額を超え、相続税が発生しそうな人を把握することができるため、税務調査の対象となることがあります。

申告書の作成を税理士に依頼していない人

相続税の申告書は一見シンプルですが、ある程度の知識がない人には被相続人が所有していた財産の種類によっては、申告書の作成が困難なこともあります。税理士が関与していない申告書は、申告内容に誤りがあるのではないかという推測が働き、税務調査の対象になる確率が上がるといわれています。

被相続人の資産規模が大きい

資産規模の大きい家庭にも税務調査が入りやすい傾向にあります。資産規模が大きいとすべての財産を把握することが難しく、申告漏れや見落としが発生する可能性が高まるためです。

さらに、資産規模が大きいと申告にミスがあった場合、追徴される税金の額が高くなるため、この点も税務署に狙われやすい要因のひとつでしょう。

この税務調査の対象となりやすい資産規模の基準は、全国一律の指標がある訳ではなく、それぞれの税務署ごとに独自の基準が設けられていると考えてください。

被相続人が生前に多額の資産を移動していた

調査官は、税務調査前に預貯金を調査しています。通常の生活費とは思えないような多額の出金がある場合、現金や預貯金以外の資産に形を変えて所有しているのか、あるいは相続人などに贈与してその贈与は成立しているのか、など確認するために税務調査をします。

多額の出金が他の資産として形を変えている場合、それが相続税の申告書に記載されていれば問題ありません。

しかし、申告書に財産が記載されていない場合や、財産を贈与された人が贈与税申告をしていない場合、他人名義の口座にお金を振り込んだものの、その口座の管理を被相続人がして贈与が成立していない状況だった場合には、増差が発生することになります。これらを調査官は確認しに来るのです。

相続税の税務調査で指摘されやすい内容

相続税の税務調査では、次のような内容が指摘されやすくなっています。預貯金の通帳や贈与契約書など、税務調査時に提出を求められやすい書類などは準備しておきましょう。

生前贈与財産

被相続人から生前贈与があっても、贈与契約が成立していなければ相続財産とみなされます。また、相続時精算課税制度選択者への贈与や、相続開始前7年以内の贈与は贈与が成立していても相続財産に加算して相続税を計算する必要があるため、過去の贈与状況を確認しておきましょう。

贈与税には年間110万円までの非課税枠があるため、毎年110万円以内で贈与するケースがあります。たとえば、父母から子供へ1年間で1,000万円を贈与した場合の贈与税は177万円ですが、100万円を10年に分けて贈与すれば贈与税はかかりません。

このような贈与は、元々ある一定額を贈与する目的で贈与を繰り返す定期贈与と見られる可能性があります。定期贈与の場合、毎年の贈与額ではなく、最終的に贈与しようとした総額に対して贈与税が課されることになります。

「最初からまとまった金額を贈与するつもりだったものを、贈与税を逃れるために分割したのでは?」と調査官が判断する可能性があるため、毎年贈与契約書を作成し、いくらになるまで贈与を続けるといった約束がないことを調査の場ではしっかりと伝える必要があります。

名義預金

家族の名前の預貯金口座でも、実質的な預金者が被相続人であれば、家族の名前を借りた「名義預金」であるため、被相続人の相続財産として申告が必要となります。

たとえば、子供名義の口座に被相続人が入金し、通帳や印鑑、キャッシュカードを被相続人が管理していた場合、あるいは収入がないはずの配偶者の口座に高額な残高がある場合などは、名義預金を指摘される可能性が高くなります。

贈与は「あげます」「もらいます」という両者の認識が必要です。子供に贈与するのであれば、子供が普段使いしている預貯金口座に入金しましょう。

また、配偶者が被相続人から毎月渡されたお金をやり繰りして配偶者名義の口座にためていた場合(俗にいう「へそくり」)も、単に生活費の管理を任されていただけとみなされて相続財産となります。毎月の生活費の残額を配偶者が自由に使っていいとするのであれば、きちんと毎年贈与契約書を交わす必要があります。

タンス預金

被相続人が現金を金融機関に預けず、自宅に保管していた場合(通称「タンス預金」)は、相続財産となるため申告書に記載する必要があります。被相続人の職業、趣味、生活ぶりや、預貯金の入出金状況から財産が少なすぎると調査官が判断した場合、タンス預金があるのではと疑われる可能性もあります。

評価が難しい財産(絵画や骨とう品など)

資産価値の高い絵画や骨とう品、美術品なども相続税の対象になるため、税務調査時に、申告書に記載されていない絵画や骨とう品などが自宅にあれば指摘されるでしょう。

海外にある財産

100万円以上の国際送金がある場合、金融機関から税務署に国外送金等調書が送付されることになっています。被相続人の海外の資産も相続税の対象になるため、高額な国際送金があると、海外資産の申告漏れを疑われる可能性があります。

申告漏れが指摘されたときのペナルティー

相続税の税務調査では何らかの非違が見つかることが多く、令和4事務年度では85.8%もの非違割合で税務調査において指摘を受けています。

延滞税

原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、税額の増差に対して利息に相当する延滞税が課されます。

加算税

税務調査によって申告漏れを指摘され、当初申告の税額よりも税額が増えた場合、過少申告加算税が課されます。無申告の場合には、無申告加算税が課されます。故意に財産を隠したり、申告をしなかったりした場合は、過少申告加算税や無申告加算税の代わりに重加算税が課されます。

相続税の税務調査とならないための対策

相続税は申告納税方式であるがゆえ、税務調査の対象となると免れられません。しかし、税務調査を避けられるなら避けたいと考える方は多いでしょう。以下では、なるべく税務調査対象とならないための方策を解説します。

相続税申告を税理士に依頼する

被相続人の財産額が大きい、評価が難しい財産がある、すべての財産を把握するのが困難といった場合には、自分で申告するよりも、税理士に依頼した方が安心です。税理士が作成した申告書には、税務署からの一定程度の信頼が生まれます。

書面添付制度を活用する

税理士によっては、書面添付をしてくれることがあります。書面添付とは、税理士が税務の専門家の立場から申告書を作成するにあたり、確認した点などを書面にして申告書に添付する制度です。

申告書からだけではわからないこと、記載できないことを税務署に伝えることができ、書面添付がされていた場合、税務署は調査に入る前に税理士に意見聴取をする必要があります。この意見聴取で疑問点が解消されれば税務調査に移行することはないため、納税者にとってメリットのある制度です。

申告漏れがないように相続財産を正確に把握する

生前に取引していた金融機関や、所有していた不動産、生命保険契約、自動車、骨とう品や絵画など、被相続人が持っていたものをリストアップしましょう。金庫や手紙、メール、預貯金通帳などに財産を見つける糸口があることが多いようです。

生前贈与を確認する

相続税で申告漏れが多いのは、相続開始前7年以内贈与と相続時精算課税制度適用財産です。相続開始前7年以内贈与は、駆け込み贈与とも呼ばれ、死期を悟って贈与した人と、贈与しなかった人の課税の公平性を保つために、相続税を計算するにあたって贈与額を相続財産に加算させる規定です。しかし、この規定を知らない人が多いのです。

また、相続時精算課税制度を選択して、過去に贈与を受けたことを忘れて、相続税の申告から漏れてしまうケースも多く見受けられます。

自分以外の相続人が贈与を受けているか確認するには、「相続税法第49条第1項の規定に基づく開示請求書」によって税務署に情報開示を依頼する方法があります。自分自身が贈与を受けていたかどうか確認する場合は、「申告書等閲覧サービス」を利用して確認できます。

まとめ

税務調査で調査官が注目しているのは、不動産よりも圧倒的に金融資産です。被相続人の職業や生活ぶりから考えて財産が少ない場合、どのように費消したのかが問題になります。

相続人に贈与したのであれば、贈与契約書はあるのか、贈与税申告はしてあるのか。配偶者に渡している生活費の残りの管理はどのようにしていたのか。贈与していないなら相続財産として計上しているのか。被相続人自身が費消したのであれば、趣味や交友関係が把握できるものを用意しておくことも必要でしょう。

被相続人の学歴、就職先、結婚、住宅購入などがわかる簡単な履歴書を作成しておくのも有効です。財産を隠していると問題ですが、財産を隠していなければ税務調査は怖いものではありません。しっかりと漏れのない申告書を提出しましょう。

なお、税務調査には税理士も立会いできるため、税理士に相続税申告書の作成を依頼していた場合は、税務調査までに担当税理士と打ち合わせするとよいでしょう。相続を専門とする税理士は税務調査の実情にも詳しいため、調査官の指摘に対する適切な答え方もアドバイスしてくれます。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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