アパート建設・経営が相続税対策になる理由4つ
土地にアパートを建築すると、更地の状態よりも相続税評価額は下がります。賃貸経営も土地の評価額を下げる要素になるので、具体的な理由は以下を参考にしてください。
資産の組み換えで評価額が下がる
土地にアパートを建築する場合、建築資金は金融機関から融資を受けるケースが一般的ですが、自己資金で建築する方も少なくありません。どちらも現金が不動産に組み換わるため、財産の評価を下げる効果があります。
現金1億円を相続すると、そのまま1億円に相続税がかかりますが、アパートの評価額は固定資産税評価額になるため、市場価格の6割程度になります。アパートの建築資金に1億円を使えば、相続税の課税価格(相続税がかかる部分の価格)を引き下げられるので、相続税も低くなります。
金融機関の融資も仕組みは同じですが、毎月の返済は家賃収入でまかなうため、借金から収益を生み出すレバレッジ効果も期待できるでしょう。
土地の減額要素が多い(借地権割合・借家権割合・賃貸割合)
賃貸アパートを建築した土地は貸家建付地になるため、以下の減額要素が発生します。
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借地権割合:借主側の権利割合(市街地は60~70%が多い)
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借家権割合:全国一律30%の減額割合
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賃貸割合:建物の使用面積÷総床面積(満室は100%)
貸している土地は所有者が自由に使えなくなるため、自用地(自宅の敷地など)を基準として以下のように評価額を減額します。
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計算式
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貸家建付地の評価額:自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
仮に土地1億円、借地権割合70%、賃貸割合が100%だったときは、以下のように評価が下がります。
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計算式
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1億円×(1-70%×30%×100%)=7,900万円
この例では相続税の課税価格を2,100万円(1億円-7,900万円)減額できました。
債務控除を利用できる
建物の建築資金を金融機関で借りた場合、相続時に残債(借入金の残り)があれば相続財産から債務控除できます。相続前の完済が理想的ですが、賃貸経営が安定していれば家賃収入から返済できますし、相続税の課税価格も下がるので、相続人の負担も重くはならないでしょう。
相続時には小規模宅地等の特例を利用できる
アパートを建築した土地は貸付事業用宅地となり、相続時には小規模宅地等の特例を利用できるため、面積200㎡までの評価額を50%減額できます。
【貸付事業用宅地の要件】
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被相続人の貸付事業用に使用されていた宅地
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被相続人と同一生計親族の貸付事業用に使用されていた宅地
なお、限度面積200㎡を超える部分は通常の相続税評価額となります。
アパート建設で相続税対策をするメリット・デメリット
アパート建築は土地の相続税評価額を引き下げますが、決してメリットばかりではありません。以下のようなデメリットもあるので、賃貸経営を検討している方は必ず比較検討してください。
アパート建設で相続税対策をするメリット
アパート建築には以下のようなメリットがあり、相続税対策以外の効果も期待できます。
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相続税を低く抑える効果がある
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安定的に家賃収入を得られる
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減価償却で所得税の負担が軽くなる
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事業用の投資物件よりも経営リスクが低い
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収益物件を相続財産にできる
家賃収入には所得税がかかりますが、建築費を減価償却(耐用年数で分割して費用計上する会計処理)できるので、税負担はそれほど重くならないでしょう。また、事業用の投資物件は立地や景気に左右されやすく、テナントの早期撤退も珍しくありませんが、居住用の賃貸経営は比較的安定しています。将来的には収益物件が相続財産になるので、配偶者が生活に困ることもないでしょう。
アパート建設で相続税対策をするデメリット
アパート建築を相続税対策にする場合、以下のデメリットも理解しておきましょう。
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空室リスクがある
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家賃の引き下げが必要になるケースもある
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融資の審査に通過しない可能性もある
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金利変動リスクがある(変動金利で融資を受けている場合)
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保険料が高額になる
空室が多くなると家賃収入が減るため、金融機関への返済に影響します。また、賃貸割合が低くなると貸家建付地の評価額が上がってしまうため、相続税の負担も重くなります。建物の火災保険にも加入する必要があるので、高額な保険料を支払うことにもなるでしょう。
すべてのリスクコントロールは難しいかもしれませんが、賃貸経営はある程度の将来予測も必要です。
アパート建設で相続税対策した際の節税効果
賃貸アパートの節税効果はシミュレーションするとよくわかるので、現金相続と比較してみます。まず現金1億円のケースで相続税を計算してみましょう。
現金を相続したときの相続税
現金相続の一例として、1億円を1人で相続したときの相続税を計算してみます。相続税は基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた部分に課税されるので、まず課税価格を計算し、次に税率を乗じて相続税を計算します。
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計算式
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相続税の課税価格:1億円-(3,000万円+600万円×1人)=6,400万円
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計算式
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相続税:6,400万円×税率30%-控除額700万円=1,220万円
この計算例では1,220万円の相続税になりましたが、次は現金1億円を使ってアパート建築したときの相続税を計算します。なお、相続税率と控除額は国税庁ホームページを参照してください。
賃貸アパートを相続したときの相続税
では次に、現金1億円をアパート建築に使い、3,000万円の敷地と一緒に1人で相続したときの相続税を計算します。なお、土地の借地権割合は70%、賃貸割合は100%とします。
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計算式
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アパートの相続税評価額:6,000万円(市場価格の60%で計算)
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計算式
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貸家建付地の相続税評価額:3,000万円×(1-70%×30%×100%)=2,370万円
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計算式
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相続税の課税価格:6,000万円+2,370万円-基礎控除3,600万円=4,770万円
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計算式
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相続税:4,770万円×税率20%-控除額200万円=754万円
相続財産は現金相続のパターンよりも3,000万円(土地)増えていますが、土地・建物の評価減によって相続税も下がり、466万円(1,220万円-754万円)の節税になりました。
なお、建物6,000万円だけで計算すると、相続税は310万円になります。
アパート建設で相続税対策するときの注意点
アパート建築で相続税対策をする場合、以下のような注意点があるのでよく理解してきましょう。賃貸経営は相続発生後も続くので、経営者目線で長期的に考える必要があります。
耐用年数を超えるアパートローンは組まない
建物の耐用年数を超えるアパートローンを組んだ場合、耐用年数の経過とともに減価償却費を計上できなくなり、所得税の負担が重くなります。借入金の返済も残っていると生活費を圧迫することになり、返済不能で経営破たんする可能性もあります。アパートローンは必ず耐用年数以内で契約し、可能な範囲で自己資金も使っておきましょう。
収益性は実質利回りをみる
建築業者などから賃貸アパート経営を提案された場合、収益性は実質利回りをみるようにしてください。投資額に対する収益割合を利回りといい、実質利回りは諸経費や税金が考慮されているため、比較的精度の高い数値になっています。
利回りは建築業者から提示されますが、諸経費などを考慮していない表面利回りを提示するケースがあるので注意しましょう。
一括借り上げ(サブリース)は慎重に検討する
一括借り上げとは、サブリース業者に建物を賃貸し、入居者の募集や管理を任せる経営形態です。通常、家賃収入の10~15%程度がサブリース業者の手数料となり、日常的な清掃や修繕工事に対応してくれるので、賃貸経営が初めての方にはおすすめです。
家賃保証もあるので空室でも80%程度の家賃は支払ってもらえますが、サブリース業者が家賃設定するため、空室状態が続くと家賃を引き下げられる可能性があります。
賃貸経営のノウハウをある程度持っていれば、自分で管理した方がよいケースもあるでしょう。
施工業者を慎重に選ぶ
建物の施工品質は入居者募集に影響するので、施工業者は慎重に選びましょう。入居者は自分の生活拠点として物件をみるため、施主(経営者)が意識していない施工不良などもチェックしています。知り合いの賃貸アパートオーナーに相談する、またはインターネットで調査すれば、評判のよい業者が見つかるでしょう。
土地の購入は自己資金を使うこと
現預金が多い方は土地購入から賃貸経営を始めるケースもありますが、土地の購入には自己資金を使うようにしてください。土地・建物を借入金で購入すると利回りが低くなり、収益性も悪化します。短期間で賃貸経営が破たんする可能性もあるので注意しましょう。
遺産分割を考えておく(相続人が複数いる場合)
賃貸アパートは将来的に相続財産になるので、相続人が複数いるときは遺産分割の方針も決めておきましょう。不動産の分割は難しいため、賃貸アパートの相続人以外には預貯金や株式を多く配分するなど、争いが起きない遺産分割を考えておく必要があります。遺言書も相続争いを回避する手段になるので、弁護士などに作成を依頼してみましょう。
まとめ
賃貸アパートを建築すると土地の評価額が下がり、現金相続よりも相続税が低くなりやすいので、相続税対策には有効な手段です。借入金で建築した場合は家賃収入を毎月の返済に充てるため、経営が安定していれば自己資金が減少することもありません。
ただし、建築予定地がアパート経営に向いているか、空室が何室までなら収益を確保できるかなど、あらゆる状況を想定して計画を立てる必要があります。相続税対策はあくまでも通過点に過ぎないので、長期的な経営が成り立つかどうか、不動産の専門家や税理士の意見も参考にしてみましょう。



