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相続税

最終更新日:2023.04.30

への生前贈与はいくらまで非課税?
贈与のやり方と注意点について

孫への生前贈与はいくらまで非課税?贈与のやり方と注意点について

このコンテンツでわかること

  • ■ 孫へ生前贈与するメリットがわかる
  • ■ 孫へ生前贈与するときの注意点がわかる

亡くなった人の孫は法定相続人ではないため、孫に遺産を渡したいときには遺言書が必要になります。しかし、遺言書はわずかなミスでも無効になることや家族に発見してもらえないといったリスクがあるため、確実な方法にはならないかもしれません。

一方、生前贈与は自分が生きているうちに実行できるので、祖父母から孫へ計画的に資産を移転できます。生前贈与は贈与税の課税対象になりますが、一定額まで非課税になる特例措置を活用すれば、孫の税負担も軽くなるでしょう。

今回は、孫へ生前贈与するときにいくらまで非課税になるのか、具体例を使ってわかりやすく解説します。孫へ生前贈与するときの注意点もわかるので、お孫さんに財産を残したい方はぜひ参考にしてください。

孫へ生前贈与をするメリット

孫へ生前贈与するメリットは以下の4つです。高校・大学への進学や海外留学、マイホーム購入など、お孫さんのライフイベントに合わせて生前贈与するとよいでしょう。

1. 18歳以上の孫に贈与すると特例税率が適用される

祖父母が18歳以上の孫へ生前贈与する場合、特例贈与財産用の税率を適用できます。具体的な税率は国税庁ホームページに掲載されていますが、一般贈与税率と比較した場合、贈与額が410万を超えると適用税率に5~10%の差が生じます

では、1,000万円を贈与したときの税額を比較してみましょう。

  • 計算式

  • 一般贈与の場合:(1,000万円-基礎控除110万円)×税率40%-控除額125万円=231万円

  • 計算式

  • 特例贈与の場合:(1,000万円-基礎控除110万円)×税率30%-控除額90万円=177万円

差額は54万円になるので、贈与する年の1月1日時点で孫が18歳に達していれば、節税効果の高い生前贈与が可能になります。

贈与税の計算と税率(国税庁)

2. 計画的に贈与できる

生前贈与は「誰に・いつ・いくら財産を渡すか」を贈与者が自分で決定できます。

生前贈与には回数制限もないため、暦年課税制度の基礎控除110万円を活用すると、長期的に贈与すれば高額な資金を移転しても非課税になるでしょう。たとえば、年間110万円の贈与を10年間続けると、非課税で1,100万円を孫に移転できますが、相続の場合は全額が課税対象になってしまいます。相続による財産承継は一回限りなので、財産を分割して渡せるメリットは大きいといえるでしょう。

3. 相続税の節税対策になる

相続税は以下の基礎控除を超えた部分に課税されるので、生前贈与で計画的に財産を移転すると、非課税相続も可能になります。

  • 計算式

  • 相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

法定相続人が3人いると基礎控除は4,800万円になるため、財産が5,000万円ある場合は、200万円を孫に生前贈与するだけで相続税がかからなくなります。1年間に100万円ずつ贈与すると贈与税がかからず、申告も必要ないため、孫の負担にもならないでしょう。

4. 特例措置の利用で一定額まで非課税になる

ここまでに解説した生前贈与は暦年課税方式ですが、まとまった資金を贈与したいときは相続時精算課税制度も選択できます。また、贈与税には以下の特例もあるので、孫に贈与したいときは活用してみましょう。

制度名 非課税枠 要件
相続時精算課税制度 2,500万円 60歳以上の祖父母や父母が18歳以上の子供や孫へ贈与するときに適用可能
教育資金の一括贈与の特例 1,500万円 祖父母や父母が30歳未満の子供や孫へ贈与するときに適用可能
住宅取得資金贈与の非課税特例 最大1,000万円 祖父母や父母が18歳以上の子供や孫へ贈与するときに適用可能
結婚・子育て資金の贈与の特例 1,000万円 祖父母や父母が18歳以上50歳未満の子供や孫へ贈与するときに適用可能

いずれも非課税枠を超えた部分には課税されますが、相続時精算課税制度は一律20%の固定税率になっています。

孫へ生前贈与するときの注意点

孫に生前贈与する場合、特例措置によって非課税となったときでも申告は必要です。贈与税申告は受贈者が行うため、孫にも特例贈与の仕組みをきちんと伝えておく必要があるでしょう。また、扶養義務範囲の教育資金などは贈与にあたらないため、以下の点にも注意してください。

扶養義務の範囲であれば贈与税はかからない

祖父母が孫の生活費や教育費を支払う場合は、扶養義務の範囲になるため、贈与税はかかりません。学校や塾などに支払う費用や、進学のために1人暮らししている孫へ生活費を仕送りしている状況であれば、被扶養者の義務範囲になります。ただし、孫が贈与財産を貯蓄や投資に使っていたときは、贈与税の課税対象になるので注意が必要です。

必ず贈与契約書を作成する

贈与として認められなかった財産は相続財産に加算されるので、以下の内容を盛り込んだ贈与契約書を作成し、贈与の度に孫と贈与契約を取り交わしてください

  • 表題(贈与契約書)

  • 贈与者(祖父母)

  • 受贈者(孫)

  • 贈与財産の種類と金額

  • 贈与日

  • 贈与方法(銀行振込みなど)

  • 贈与者と受贈者の署名・捺印

署名は手書きで行い、印鑑は必ず実印を使います。印鑑証明書も添付しておきましょう。

毎年贈与するときは贈与日や贈与額を変えておく

毎年同一日に同一金額を贈与すると、税務署から「定期贈与」と思われる可能性があります。たとえば、毎年100万円ずつの贈与を10年間同じ時期に行った場合、「もともと1,000万円を渡すつもりだったが、贈与税を逃れるために分割した」と判断されるかもしれません。定期贈与を指摘されると、1,000万円が課税対象になるので注意してください。

贈与税申告は必ず行う

贈与税申告を忘れると追徴課税などのペナルティがあるため、暦年課税制度の基礎控除を超える贈与を受けたときは、孫が申告・納税しなければなりません。また、相続時精算課税制度を利用するときは、非課税枠内の贈与であっても翌年2月1日から3月15日の間で贈与税申告が必要になります。

住宅取得資金贈与の非課税特例も同じ扱いになるので、贈与税がかからなかった場合でも申告は必要です。

教育資金などの特例贈与は金融機関が対応しているか確認する

教育資金の一括贈与と結婚・子育て資金の贈与の特例については、金融機関に専用口座を開設しなければなりません。どちらも受贈者名義の専用口座を開設した後に贈与者が入金を行い、学費などを支払った際の領収書と引き換えに出金できる仕組みになっています。一部の金融機関は専用口座の開設に対応していないので、あらかじめ問い合わせておきましょう。

なお、税務申告は金融機関が行うため、受贈者(孫)が自分で贈与税申告する必要はありません。

特例贈与の非課税枠の使い残しには贈与税がかかる

教育資金の一括贈与の特例を利用した場合、孫が30歳になったときの非課税枠に110万円を超える使い残しがあると、贈与税の課税対象になります。また、結婚・子育て資金の非課税枠についても、贈与者の死亡時または孫が50歳になった時点で110万円を超える使い残しがあれば、贈与税がかるので注意しましょう。

特例贈与は終了時期に気を付ける

特例贈与の多くは期間限定になっているため、以下の終了時期を過ぎると利用できなくなります。

  • 教育資金の一括贈与の特例:2026年3月31日まで

  • 住宅取得資金贈与の非課税特例:2023年12月31日まで

  • 結婚・子育て資金の贈与の特例:2023年3月31日まで

教育資金の一括贈与の特例は2023年3月31日に終了する予定でしたが、税制改正によって3年間の延長が決定しました。

孫への贈与が特別受益になるケースがある

高額な生前贈与は特別受益になる可能性があり、遺産の前渡しとみなされるため、相続時に取得できる財産を減らされてしまうケースがあります。特別受益はその範囲を配偶者や子供などの法定相続人に限定するため、原則的に孫への贈与が特別受益になることはありませんが、以下の状況であれば注意が必要です。

  • 孫が代襲相続人になるケース

  • 孫と養子縁組しているケース

どちらも孫が第一順位の法定相続人になるため、高額な財産を贈与していたときは、ほかの相続人から特別受益を指摘される可能性があるでしょう。

まとめ

祖父母が孫へ贈与するときは特例措置を利用できるので、進学や結婚、マイホーム購入などの目的に合わせた贈与を行うとよいでしょう。また、祖父母の年齢が若ければ長期的な生前贈与が可能になるため、110万円の基礎控除以内で財産を渡すと、孫は申告・納税を気にする必要がありません。

ただし、贈与の特例は期間限定になっていることが多いので、終了時期をよく確認しておく必要があります。要件が複雑な特例もあるので、どの贈与方法を選んでよいか迷ったときは、相続や贈与に詳しい税理士へ相談してみましょう。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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【出典元】
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