法人化で土地の相続税対策をする仕組み・スキーム
賃貸経営を法人化する場合、一般的には資産管理会社を設立するので、資産や税金が以下のように変化します。
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資産の所有者が個人から法人に変わる
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所得税から法人税に切り替わるため税率が低くなる
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役員報酬で所得を分散できる
このように、賃貸経営を合理化するために法人化することが、結果的に節税につながることは少なくありません。さらに、資産管理会社には以下の3種類があり、もっとも節税効果が高くなるのは売却方式です。
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管理料方式
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一括借り上げ方式(サブリース方式)
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売却方式
管理料方式と一括借り上げ方式は不動産の所有権が個人にありますが、売却方式は法人に不動産を売却するため、所有者が亡くなっても相続財産になりません。
では、売却方式で法人化した場合、どのような仕組みで節税になるのかをみていきましょう。
資産の所有者が個人から法人に変わる
法人化で節税対策をする場合、まず資産管理会社を設立して自分が経営者になります。設立後は個人所有の賃貸物件を資産管理会社に売却するので、不動産の所有者が法人となり、個人の所有財産ではなくなります。したがって、経営者が亡くなっても賃貸物件は相続財産になりません。
なお、設立後の資産会社には現金がないため、不動産の購入資金は金融機関から融資を受ける、または経営者の自己資金から貸し付けることになります。
所得税から法人税に切り替わるため税率が低くなる
賃貸経営が個人事業の場合、家賃収入(不動産所得)には最高税率45%の所得税がかかります。一方、法人化すると家賃収入は法人の所得になるため、課税される税金は法人税となり、最高税率も23.2%です。
個人事業の場合、給与所得がある人は家賃収入と合算した総合課税になりますが、家賃を法人の所得にしておくことで、個人で負担する所得税は給与分だけになります。家賃収入以外の収入があり、様々な事務手続きの負担や個人の税負担が重くなっている場合は、賃貸経営の法人化を検討してみるべきでしょう。
役員報酬で所得を分散できる
親族を資産管理会社の役員にして役員報酬を支払うと、以下の節税効果が期待できます。
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贈与税や相続税をかけずに親族へ財産を渡せる
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法人側の役員報酬は損金算入できるので、法人税の節税につながる
役員報酬は給与所得になるため、親族も給与所得控除の対象になります。金額によっては所得税と贈与税の負担があまり変わらないケースもありますが、給与所得は基本的に源泉徴収となるため、給与を受ける親族にとっては、申告・納税の手間や労力を減らすことができます。
土地の相続税対策につながる法人化のメリット・デメリット
不動産の管理のために法人化を検討するときは、以下のメリット・デメリットを必ず理解しておくことをおすすめします。法人化によって相続税が低く抑えることが可能ですが、別の税金が負担になるケースもあるので注意しましょう。
法人化するメリット
賃貸経営を法人化した場合、以下のようなメリットがあります。
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相続税や所得税の節税効果が高い
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経費計上できる費目が増える
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債務が無限責任から有限責任になる
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欠損金(赤字)の繰越期間が長くなる
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社会的信用度が高くなる
個人事業の場合は債務(借金)に対して無限責任があるため、負債があれば個人で全額を返済しなければなりませんが、法人の責任は出資額の範囲内です。また、個人事業の赤字は最長3年までしか繰り越しできませんが、法人化すると最長10年になるため、所得との相殺期間が長くなります。法人化すると社会的信用度も高くなるので、入居者を募集しやすくなり、融資を受けやすくなる可能性もあるでしょう。
法人化するデメリット
賃貸経営を法人化するときは、以下のデメリットも理解しておきましょう。
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設立、移転、廃業の費用がかかる
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会計や決算処理が必要になる
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社会保険に加入しなければならない
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赤字経営でも住民税の均等割りが発生する
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相続税が発生しない場合は所得税・住民税の負担が重くなる
株式会社の設立には20~30万円程度の費用がかかります。従業員1名以上の会社は社会保険への加入が義務付けられており、赤字でも社会保険料の他に年間7万円の住民税を納めなければなりません。
また、遺産総額が相続税の基礎控除以下であれば相続税が発生しないため、相続税対策は意味を成さなくなり、納める必要がなかった所得税や住民税がかかります。なお、相続税の基礎控除は以下のように計算するので、最低額は3,600万円になります。
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計算式
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相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
法人化することで経営の効率化と相続税対策を期待できるケース
効率化だけでなく、相続税対策効果を期待して賃貸経営を法人化する場合、以下のようなケースがおすすめといえます。
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不動産所得が給与所得(本業の所得)を上回っている
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課税所得が900万円を超えている
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事業拡大を予定している
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経営者の年齢が若い(今後3年間に相続が発生しそうにない)
課税所得が900万円未満であれば所得税率は23%ですが、900万円を超えると33%になるため、法人化した方が節税にもつながります。
また、法人に賃貸物件を移転させた場合、相続時の財産は株式となるため、非上場株式の評価方法で相続税評価額を算出します。法人設立後の3年間は純資産価額方式で評価するため、別の評価方法(類似業種比準価額方式など)に比べて株価が高くなります。土地の相続税対策をも検討するときは、所有者の年齢が若いうちがよいでしょう。
法人化することで土地の相続税対策につながるコツ
法人化を節税対策につなげるにはいくつかのコツがあります。ここでは、そのコツについてお伝えしていきます。以下のように対応すると節税効果が高くなり、税務署に指摘される可能性も低くなるでしょう。
推定相続人を株主にする
いずれ相続人になると想定される人を推定相続人といい、一般的には配偶者と子供を指します。土地の所有者が大株主になると、株式に課税される相続税が高額になるので、配偶者や子供を大株主(出資者)にした方が節税効果は高くなります。
ただし、株主総会は過半数の決議によって可決するので、全員の持株比率を同じにすると、意見が対立した場合は経営の意思決定に影響します。法人化はあくまでも会社経営なので、後継者1人に株式を集中させた方がよいでしょう。
また、勤務実態のない役員がいると、税務署から否認(税逃れの指摘)される可能性が高いので注意してください。
資本金を1,000万円未満にしておく
資本金を1,000万円未満にしておけば、2年間は消費税が免税されます。一方、資本金1,000万円以上の会社を設立すると、課税売上げ(消費税が課税される売上げ)に関係なく初年度から消費税を納めなければなりません。
なお、インボイス制度が始まると、免税事業者(課税売上げ1,000万円以下の事業者)は課税事業者との取り引きに影響が出る可能性があります。節税対策としての法人設立であれば特に問題はないかもしれませんが、念のため税理士にも相談しておくとよいでしょう。
建物だけ法人に売却する
建物だけを法人に売却する場合、売却価格は未償却残高を用いるケースが一般的なので、簿価(帳簿上の価格)によっては譲渡所得が発生しない場合があります。売却価格が取得費(購入価格)よりも高かった場合、売却益に対して譲渡所得税が課税されるので、未償却残高が低ければ税負担も軽くなるでしょう。
土地は無償返還の届出を提出しておく
建物だけ法人に売却するときは、土地の所在地を管轄する税務署に「土地の無償返還に関する届出」を提出しましょう。土地が個人所有になっていると借地権が発生するため、法人が無償で借りていると借地権の認定課税となり、受贈益に対して贈与税が課税されます。
しかし、無償返還の届出を行った場合、適正な地代を支払っていれば借地権の認定課税を受けることがなく、評価額も自用地の80%に減額できます。地代は固定資産税評価額の2~3倍程度にしておくとよいでしょう。
また、相続時には小規模宅地等の特例も適用できるので、200㎡までの面積は50%の評価減となります。
長期的なプランを検討する
賃貸経営の法人化が節税につながる場合、相続発生を視野に入れた長期的なプランが必要になります。土地・建物の購入費を自己資金から貸し付けている場合、債権も相続財産になるため、残債が多く残っていると節税効果が低くなってしまいます。法人化は不動産所有者の年齢も考慮しておくべきでしょう。
まとめ
賃貸経営の法人化は有効な相続税対策になりますが、まず資産管理会社のタイプを検討しなければなりません。売却方式を選択する場合は建物だけの売却、または土地・建物の両方を売却するかどうか決定し、次は売却資金の準備も必要になります。法人は個人事業主よりも税務調査の対象になりやすいため、簿記や税金の専門知識も必要になるでしょう。
法人化は経営センスも問われることになるので、税務・財務・会計など、各分野の専門家を交えて検討することをおすすめします。



