投資信託の種類によって相続税評価方法が異なる
投資信託には以下のような種類があり、購入者が亡くなると受益証券が相続財産になります。
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日々決算型の証券投資信託(MRFや外貨建MMFなど)
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一般的な証券投資信託(上場投資信託以外)
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上場投資信託(ETF)
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不動産投資信託(J-REIT)
日々決算型のMRF(マネー・リザーブ・ファンド)や外貨建MMF(マネー・マネジメント・ファンド)は、残高証明書や投資会社ホームページで決算日を確認できます。株式市場への上場がなければ一般的な株式投資信託、上場されている場合は上場投資信託になるので、どちらも銘柄(商品名)をネット検索すると決算日がわかります。不動産投資信託(J-REIT)も銘柄検索すると決算日がわかるので、それぞれ以下のように相続税評価額を計算します。
投資信託の相続税評価・計算方法
投資信託は種類に応じた相続税評価額の計算方法があり、日々決算型や一般投資信託は基準価額に口数を乗じて未収分配金などを控除する考え方です。上場信託は相続発生日の終値などが相続税評価額になるので、以下を参考にしてください。
日々決算型の証券投資信託の相続税評価額
投資信託の種類が日々決算型のMRFや外貨建MMFだった場合、相続税評価額の計算方法は以下のようになります。
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計算式
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相続税評価額の計算式:1口あたりの基準価格×口数+再投資されていない未収分配金-信託財産留保額および解約手数料
計算式に当てはめる各項目は以下のようになっています。
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1口あたりの基準価格:取引残高報告書などで確認(基本的に1口1円)
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再投資されていない未収分配金:源泉所得税などを差し引く
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信託財産留保額および解約手数料:消費税を含めて計算
仮に未収配分金や解約手数料などが発生しなかった場合、購入者が死亡したときの口数が300万であれば、以下のように計算します。
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計算式
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相続税評価額:1円×300万+0円-0円=300万円
外貨建MMFは日本円に換算して評価する
投資信託が外貨建MMFの場合、電信買相場(TTB)を用いて相続発生日の為替レートで日本円に換算するため、相続税評価額の計算方法は以下のようになります。
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計算式
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相続税評価額:1口あたりの基準価格×口数×相続発生日の最終為替レート+再投資されていない未収分配金-信託財産留保額および解約手数料
なお、相続発生日に為替の動きがなかった場合(証券取引所の休場日など)は、相続発生日にもっとも近い日の基準価格で計算します。
一般的な証券投資信託の相続税評価額
投資信託の種類が上場投資信託以外の一般的な証券投資信託だったときは、以下のように相続税評価額を計算します。
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計算式
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相続税評価額:1口あたりの基準価格×口数-相続発生日に解約等した場合の源泉徴収所得税額-信託財産留保額および解約手数料
基準価格の単位は1万口になっているケースがほとんどなので、口数を1万で割ってください。また、源泉徴収所得税は含み益に20.315%を乗じて税金を計算します。
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計算式
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含み益:相続発生時の1口あたりの基準額×口数-取得価額
口数300万、含み益10万円、信託財産留保額が基準価格の0.3%だった場合、相続税評価額は以下のようになります。
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計算式
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相続税評価額:1円×300万-(10万円×20.315%)-(300万円×0.3%)=297万685円
上場投資信託の相続税評価額
上場投資信託は上場株式の相続税評価額と同じ考え方になるため、以下の4つのうちもっとも低くなる金額を選択できます。
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相続発生日の終値
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相続発生日が属する月の毎日の終値の月平均額
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相続発生日が属する月の前月の毎日の終値の月平均額
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相続発生日が属する月の前々月の毎日の終値の月平均額
相続発生日に終値がない場合、原則として前後のもっとも近い日の終値となり、2カ所以上に上場されている場合も低い方の金額を選択できます。
不動産投資信託(J-REIT)の相続税評価額
不動産投資信託の相続税評価額は、上場投資信託と同じ考え方です。相続発生日の終値または相続発生月の平均月額などから、もっとも低い価額を相続税評価額として選択できます。
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相続発生日の終値
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相続発生日が属する月の毎日の終値の月平均額
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相続発生日が属する月の前月の毎日の終値の月平均額
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相続発生日が属する月の前々月の毎日の終値の月平均額
私募REIT(主に機関投資家が対象)の場合、非上場であれば純資産価額や配当利回り、キャッシュフローなどの決算情報も考慮します。また、不動産投資信託は東京証券取引所だけの上場になっているため、2カ所以上の取引所を考慮する必要はありません。
投資信託を相続したときの注意点
投資信託は株式や不動産などを運用するため、常に価格変動しています。相続発生から遺産分割するまでに価格が変わることもあり、申告額を間違えやすいので、以下の点に注意しておきましょう。
残高証明書の時価評価額で相続税を計算しないこと
投資信託の残高証明書には時価評価額が記載されており、解約時に受け取ることができる金額になっているため、時価評価額を相続税評価額だと思い込んでしまうケースがあります。時価評価額を相続税評価額にした場合、解約手数料や源泉徴収税などの控除を漏らしてしまうので注意しておきましょう。
すぐに現金化できないケースがある
投資信託の相続は預貯金のような解約手続きではなく、信託残高の口座移管手続きになるため、相続人名義の証券口座が必要です。移管後の保有・解約は自由なので、証券口座を保有していない方は早めに開設しておきましょう。被相続人と同一金融機関にしておけば、移管手続きもスムーズになります。
相続財産の取得分に差が出てしまう
投資信託は運用成績によって基準価額が変動するため、相続発生日の評価額が1,000万円だったとしても、口座移管する頃には1,200万円になっているケースがあります。もちろん逆のパターンもあるので、相続財産に投資信託があると、相続人同士に不平・不満が生じてしまう可能性があるでしょう。投資信託を解約して現金を分割する、または投資信託の相続人の取得額を調整するなど、相続人全員で協議しておく必要もあります。
所得税や贈与税が発生するケースもある
投資信託の利益には所得税がかかるため、相続発生日よりも取得日の評価額が高かったときは、差額(利益)が課税対象になります。所得税の負担が大きいときは、投資信託の相続人に税額分の現金を取得させるなど、何らかの調整が必要になるでしょう。
また、投資信託が主な相続財産になっており、預貯金などが少ないときは、投資信託の相続人が代償金を支払って公平な遺産分割にするケースもあります。ただし、代償金の支払いが贈与とみなされる可能性もあるので、遺産分割協議書に代償分割する旨を記載するなど、贈与税対策も考えておくべきでしょう。
売却益には譲渡所得税がかかる
相続した投資信託を売却した場合、取得額よりも売却額が多かったときは売却益(譲渡所得)が発生します。売却益には20.315%の譲渡所得税がかかるため、給与所得者でも確定申告しなければなりません。
解約違約金が発生する場合がある
一部の投資信託は解約違約金が発生するので、解約して現金化する予定があれば、証券会社に解約違約金がかかるかどうか確認した方がよいでしょう。
まとめ
不動産投資信託や上場投資信託の相続税評価はあまり難しくありませんが、日々決算型の証券投資信託や一般的な証券投資信託(上場投資信託以外)は少々複雑です。残高証明書などの見方も理解しておく必要があるので、投資信託の購入経験がない方は証券会社のホームページで調べておきましょう。
また、投資信託の多くはネットで購入できるため、家族が知らないケースもあります。投資信託が相続財産から漏れてしまった場合、相続税の過少申告になる可能性があるので注意してください。価格変動がある相続財産は評価が複雑になるため、投資信託の相続税評価額がわからないときは税理士に相談してみましょう。



