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相続税

最終更新日:2023.05.31

なし相続財産とは?
非課税枠や生命保険金・死亡退職金
との関係は?

みなし相続財産とは?非課税枠や生命保険金・死亡退職金との関係は?

このコンテンツでわかること

  • ■ みなし相続財産の種類がわかる
  • ■ 死亡退職金と生命保険金の非課税枠がわかる
  • ■ みなし相続財産を相続したときの注意点がわかる

相続した遺産が一定額を超えると相続税がかかるため、預貯金や不動産、株式などの財産はすべて正確に把握しなければなりません。

なお、亡くなった方の遺産にみなし相続財産も含まれている場合、民法と税法上の扱いが異なるので注意しなければなりません。場合によっては相続税以外の税金が発生するケースもあるので、受取人別の違いもよく理解しておきましょう。

今回は、みなし相続財産について、税金や財産評価の考え方などをわかりやすく解説します。

みなし相続財産とは

みなし相続財産の代表例には生命保険金(死亡保険金)と死亡退職金があり、民法上の相続財産ではありませんが、税法上では相続税の課税対象になっています。もともと被相続人が保有していた財産ではなく、死亡をきっかけとして保険会社や勤め先から支払われるため、「相続財産とみなす金銭」という考え方になります。

死亡退職金と生命保険金には非課税枠がある

相続税はみなし相続財産も含めた遺産総額に課税されますが、死亡退職金や生命保険金は以下の非課税枠を超えた部分のみ課税対象となります。

  • 計算式

  • 死亡退職金と生命保険金の非課税枠:500万円×法定相続人の数

仮に死亡保険金または生命保険金が3,000万円あり、法定相続人が3人いた場合、みなし相続財産の課税額は以下のようになります。

  • 計算式

  • みなし相続財産の課税額:3,000万円-(500万円×3人)=1,500万円

現金や預貯金には非課税枠がないため、同額の金銭を受け取る場合は、生命保険金などのみなし相続財産の方が節税効果は高いでしょう。

みなし相続財産を相続したときの注意点

死亡退職金や生命保険金は、遺産分割などの扱いが民法上の相続財産と異なっています。また、生命保険金は贈与税や所得税がかかるケースもあるので、保険契約をよく確認しておかなければなりません。

みなし相続財産を受け取るときは、以下の点に注意しておきましょう。

みなし相続財産は遺産分割の対象外

みなし相続財産は受取人固有の財産になるため、遺産分割する必要がありません。主な相続財産が不動産のみで現金や預貯金が少ない場合、不動産の相続人になれない人を生命保険金などの受取人にすれば、公平な遺産分割になるケースもあります。

みなし相続財産は相続放棄しても受け取れる

相続放棄するとすべての財産を相続できなくなりますが、みなし相続財産は本来の相続財産ではないため、相続放棄した人でも問題なく受け取ることができます。ただし、相続放棄した人には、死亡退職金や生命保険金の非課税枠を適用できないので注意してください。

たとえば、生命保険金を被相続人の配偶者と子供の2人で受け取る場合、子供が相続放棄すると非課税枠の適用は以下のようになります。

  • 配偶者の非課税枠:500万円×2人=1,000万円

  • 相続放棄した子供の非課税枠:なし

贈与税や所得税が発生するケースがある

生命保険金に相続税がかかるケースは、被保険者と保険料の負担者が同一の場合です。つまり、自分で自分に保険をかけている契約形態ですが、保険料負担者が異なる場合は贈与税や所得税、住民税が発生します。

  • 相続税がかかる契約形態:被保険者と保険料負担者がA、受取人がB(満期受取りの場合は贈与税)

  • 贈与税がかかる契約形態:被保険者がA、保険料負担者がB、受取人がC

  • 所得税や住民税がかかる契約形態:被保険者がA、保険料負担者と受取人がB

契約形態に関係なく、みなし相続財産だと思い込んでしまうと、非課税枠の適用や申告方法を間違えるので注意してください。

生命保険の解約返戻金がみなし相続財産になるケース

生命保険の満期金や、中途解約で発生する解約返戻金もみなし相続財産になりますが、保険料を亡くなった人が負担していた場合に限られます

たとえば、親が保険料負担者となり、自分が被保険者になっていた場合、親が亡くなったために保険を解約して解約返戻金を受け取ると、みなし相続財産になります。ただし、掛け捨ての保険は保険満期金や解約返戻金が発生しないため、相続税の課税対象にはなりません。

借金返済の免除がみなし相続財産になるケース

被相続人から借金している相続人がいる場合、遺言書で返済を免除、または極端に低い金額の返済のみで免除されたときは、借金の免除額がみなし相続財産になります。借金の免除は財産をもらったことと同等の効果があるため、1,000万円の借金を免除された場合、免除額の1,000万円が相続税の課税対象になるので注意してください。

個人年金保険などがみなし相続財産になるケース

定期的に金銭を受け取る権利を「定期金の権利」といい、みなし相続財産や相続税の課税対象になります。個人年金保険などから保険金を受け取っていた人が亡くなり、相続人が保険金の受け取りを引き継ぐようなケースが該当します。ただし、国民年金と厚生年金は対象外となっており、みなし相続財産や相続税の課税対象にはなりません。

法定相続人以外は相続税が2割加算される

生命保険金を法定相続人以外の人が受け取った場合、相続税の2割加算が適用されるので注意してください。具体的には、亡くなった人の兄弟姉妹や、代襲相続人ではない孫が生命保険金を受け取ると、相続税が1.2倍となり、生命保険金の非課税枠も適用できません。また、亡くなった人と親子関係になっている孫養子も2割加算の対象になります。

まとめ

生命保険金などのみなし相続財産を受け取っても遺産分割は不要ですが、相続税の課税対象になってしまうため、かなり特殊な相続財産といえるでしょう。しかし、活用次第では不公平な遺産分割の解消策になりますし、受取人を指定できるため、特定の人へ確実に財産を残したい場合も有効な手段になります。死亡退職金や生命保険金には非課税枠もあるので、相続税の節税効果も期待できます。

なお、受け取った財産がみなし相続財産になるかどうかわからない方や、相続税計算や申告方法がわかない方は、早めに税理士などの専門家へ相談してください。相続税は「相続開始を知った日の翌日から10カ月以内」が申告期限になっているので注意しましょう。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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